こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ズボンとスカート(第47号)

ブログのデザインテーマを一時的にでも変えてみて思ったのは、「たくさんのふしぎ」のロゴの変わらなさである。おそらくではあるが、創刊号から一貫して基本のデザインは変わっていないのだと思う。一方「こどものとも」や「かがくのとも」はさすがに、創刊…

もじのカタチ(第305号)

子供が突然、広告の裏に「ふ」の字をいろいろ書き始めたので、何かと思ったらこの『もじのカタチ』に触発されてのことだとわかった。最近はいちばん最初に「たくさんのふしぎ」を読むのは子供で、私はブログを書くために後から読むということが多い。にして…

龍をおう旅(第83号)

本書は「作者のことば」によると、 龍は空想動物ですが、生きているがごとく東西の世界にいます。 その龍を見るために、中国からヨーロッパまでの大きな拡がりの中に旅立ちました。 ということで、古今東西の龍を求めて旅をし、写真を集めたものだ。その後、…

海のかたち ぼくの見たプランクトン(第391号)

プランクトン、と言われてはじめに何を思い浮かべるだろうか?ミジンコ?アオミドロ?しかし、この本に出てくるプランクトンは、そのような「典型的」なものではなく、サルパやゾエア、ヒラメやアンコウの稚魚など、私が"プランクトン"として認識していない…

いちくんと古太鼓(第379号)

飯野和好の絵は私にとって、あくが強すぎる。正直なところ、大好きとは言いがたい。それでも、名作『あのときすきになったよ』や『おならうた』は飯野氏の絵がぴたりとはまっていて、好きな作品のひとつだ。とくに『あのときすきになったよ』は、飯野氏以外…

野生動物の反乱(第313号)

白山から下りた後、宿泊したのが一里野温泉にある岩間山荘。ご主人が"マタギ(猟師)"をしておられるということで、熊や猪の料理を堪能できる宿だ。女将さんが作るお料理は、家庭料理の延長線上にあるものだが、どれもこれもホッとできる味で本当においしか…

ドイツの黒い森(第153号)

昨日のエントリーでいただいたコメントの、返信で書いたことについて補足すると、「マイナスの面も含めた身近にある自然の姿」というのは、自然自体のマイナス面というより、人間活動の影響で生じたマイナス面、とするべきだったと思い直した。もっと言えば…

森はみんなの保育園(第320号)

「たくさんのふしぎ」で自然科学系の分野を書いている方々の多くは、子供の頃野山を駆け回っていたとか、虫取りに夢中だったとかいう自己紹介が見られて、ああ幼少期の自然体験というのは後々「役立つ」ものなんだなーとつい短絡的なことを思ってしまう、 が…

木の実は旅する(第362号)

『あったよ! 野山のごちそう』には、 どんなにおいしそうに見えても毒をもっている実もあるよ。 と書かれていたが、その「どんなにおいしそうに見えても毒をもっている実」の一つが、本書に出てくるドクウツギの実だ。「鳥と旅する木の実」ということで紹介…

鳥の目から見たら(第39号)

子供は今、コンパスを使った作図を勉強しているが、生来の不器用さを発揮して、先生に「急がなくてもいいので、もう少していねいに線を引きましょう」と言われている。それでも初めて使うコンパスがとても楽しいようで、とくに垂線を引くのが好きらしい。 そ…

ウミガメは広い海をゆく(第174号)

先日、この記事にある、ウミガメ放流会についてのマンガを見た。実は小笠原に行った時、私たちも「ウミガメの放流」イベントを見に行っている。 生後1年くらいのアオウミガメ 海へ向かう様子 このイベントは、マンガでも問題とされている「日中の放流」で、…

あったよ! 野山のごちそう(第291号)

一緒に行こうよ"こくわ"の実 また採ってね ーDREAMS COME TRUE「晴れたらいいね」より 野山のごちそう…といえば、動物植物キノコなど、いろいろなものが思い浮かぶが、英題に書かれているのは"Wild Fruits and Nuts"なので、本書は主に野山の木の実類を紹介…

月へ行きたい (たくさんのふしぎ傑作集)(第311号)

月へ行きたい!今すぐに。 夏休みもあとわずか。ぴりぴりムードな私と対照的に、肝心の子供はといえば、寝っ転がってのほほんと鳥の本を眺めているだけ。子供の宿題は子供のもの、私は関係ない!と吹っ切れればいいけれど、まったく子供任せというわけにもい…

カメラをつくる(第22号)

先日、子供が「ピンホール写真体験教室」に参加してきた。 ピンホールカメラ自体はキットを使って作るものだが、作製したカメラを使って印画紙に撮影し、暗室で現像ネガ作りやプリント作りをする、本格的な写真体験だ。日本写真協会の先生方が、子供たち一人…

はてなし世界の入口 (たくさんのふしぎ傑作集) (第2号)

「はてなし世界の入口」として、いちばん始めに登場するのがマトリョーシカ。このマトリョーシカについて何気なく調べてみたら、沼田元氣氏の名前が出てきたのに驚いた。盆栽小僧の松ちゃんはマトリョーシカ(或はこけし)になっていたのだ。さらに驚くべき…

動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた(第389号)

本書のテーマである、バイオロギングのことを初めて知ったのは『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』という本だった。タイトルの物理という言葉に怯みつつも、ジェンツーペンギンが表紙とあれば、読まないという選択肢はない。残念なことにジェンツーペン…

絵くんとことばくん (たくさんのふしぎ傑作集)(第181号)

本書の内容は次のように始まる。 ぼくはもう4年生なのにおこづかいが500円だ。 「これは少ない!」とぼくは思う。 で、お母さんに「1000円にして!」といいたいのだが、 口ではとてもかなかわないから、 ポスターをつくって、それをキッチンにはって…

アリになった数学者(第390号)

アリになった?数学者?何とも奇妙なタイトルだが、比喩ではなく本当に「アリになった数学者」の話であった。 数学者はなぜアリになったのか?それは「知るということ、わかるということは、自分ではない相手の心と、深く響きあうこと」だから。「数や図形の…

立山に咲くチングルマ(第323号)

夏の旅行の一部は、山登りをした。場所は白山。学生の頃以来なので、およそ20年ぶりとなる。後に我が子と一緒にふたたび山頂に立つことになろうとは、学生時代の自分が知ったらさぞや驚くだろうと思う。 この時期の白山は、お花(高山植物)がいっぱい。とい…

富岡製糸場 生糸がつくった近代の日本(第375号)

夏の旅行の一日は白川郷に行ったのだが、そこで訪れた和田家住宅の中にはカイコの幼虫の生体が展示されていた。富岡製糸場からいただいた、と説明書きが付けられていた。世界遺産つながりでのやり取りなのかはわからないが、往時に養蚕をしていたことから、…

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)(第281号)

『ゆきがうまれる』に先駆けて書かれた、同じコンビによる「氷」の本。この号も雑誌と傑作集の表紙が異なっている。傑作集の方がインパクトはあるが、青系でシンプルにまとめられた雑誌の表紙の方が、私は好きだ。透かした氷の中に、秘かにペンギンらしきも…

まちぼうけの生態学 アカオニグモと草むらの虫たち (たくさんのふしぎ傑作集)(第317号)

本書は、遠藤知二氏による"生態学"シリーズの第1作目にあたる本だ。3作目の『すれちがいの生態学』から「作者のことば」を引いて、3部作の紹介をする。 虫たちの出会いをめぐる3部作の完結です。第1作の『まちぼうけの生態学』(2011年8月号。現在「た…

線とあそぼう(第382号)

線は、いつから「字」になるのだろう。 小学校入学前に子供が書いた字が残っているが、それは字というより、拙い線を組み合わせて作った記号や図形といった風体なのだ。今どきにしては珍しく、子供はお勉強のようなものを一切しない幼稚園にいて、親もあえて…

ことば観察にゅうもん (たくさんのふしぎ傑作集)(第277号)

『みんなでつくる1本の辞書』で「ところが、この号だけ(だと思うが)は、48ページなのだ。」と書いたが、この『ことば観察にゅうもん』も同じく48ページ構成だ。ちなみに、この本でイラストを担当している祖父江慎氏は『もじのカタチ』という「たくさんの…

おいかけっこの生態学 キスジベッコウと草むらのオニグモたち(第364号)

『すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち』の主人公が「キオビベッコウ」なら、こちらは「キスジベッコウ(キスジクモバチ)」という別のクモバチのなかまだ。名前の通りこちらもクモ狩りをするハチで、コガネグモ科のクモを獲物として狩るらしい…

かぼちゃ人類学入門 (たくさんのふしぎ傑作集) (第75号)

かぼちゃ?人類学?はてさて何のことやら…と思うのも無理はないタイトルだが、実は『迷宮へどうぞ』で、挿絵を担当しているのが、本書の著者である川原田徹氏だ。『迷宮へどうぞ』には、"『かぼちゃ島』迷宮"という絵があり、カボチャの形をした島の内部に、…

南極の生きものたち(第369号)

南極といえば、以前書いたエントリーの『コウテイペンギン撮影記』が思い出されるが、南極へむかう行程さえハイテンションの感情をだだもれに書き綴っていた内山氏に対し、『南極の生きものたち』の水口博也氏が書く南極は、あくまでフラットな調子で綴られ…

クモと糸(第360号)

このエントリーで書いた自然観察イベントの2日目の朝、雨はかろうじて上がったものの、森は濃い霧につつまれ、野外観察には向かない天気だなーとちょっと憂鬱に思いつつ、森の道を歩き始めた。ところがベテランレンジャーの方は、ほらほらと道の脇の茂みを…

すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)

わたしは蜘蛛が何より苦手で、家に現れるムカデに熱湯をかけることも、ゴキブリを叩き潰すことも厭わないが、蜘蛛だけはどうしてもダメだ。さすがにハエトリくらいでぎゃあぎゃあ言ってたら暮らしていけないのでそこは慣れた(見なかったふりをする)が、ジ…

ニレの中をはじめて旅した水の話 (たくさんのふしぎ傑作集) (第98号)

本書の英題は、"The Water Tells his First Trip into the Elm Tree"ということで、主人公の「水」がニレの木の中を旅するという態で作られたお話だ。水を擬人化した物語でつくられた科学絵本といえば、名作『しずくのぼうけん』 が真っ先に思い浮かぶ。中学…