こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

かんたんレストラン 世界のおやつ(第122号)

今号は、巻末の「作者のことば」から引くと、 『かんたんレストラン・世界のおやつ』を作るのに、私は10か国の方々にお会いして、おやつのレシピを教わりました。お隣の韓国や中国、ハワイやアフリカ、南アメリカやヨーロッパから来た人たちです。 「あな…

アジアの台所たんけん(第213号)

3ヶ月分のパンを、皆で一斉に手作りするトルコの村*1。食事の順番こそ男性優先だが、二人で協力して夕食作りをするスリランカの夫婦。親類や近所の女の子たちに囲まれて、料理を教えながらごはん作りをするインドのおばあちゃん。家族総出で市場に出す、ソ…

河童よ、出てこい (たくさんのふしぎ傑作集) (第87号)

カッパといえば思い出すのが、西炯子の『Stayネクスト夏休みカッパと』。幼なじみ3人(男2・女1)が、カッパ探しに遠野まで出かける…という話だが、3人が住む、作品の舞台はおそらく作者の故郷である鹿児島県。けっこう遠いよなーと、かつて東京から自分…

虹をみつけに(第248号)

これは「虹の科学」の本ではなく、いわば「虹の芸術」の本だ。 昔の西洋や中国などでも、虹は神話や伝説、絵画や彫刻の題材として取り上げられてきたが、なぜか日本では、虹の絵さえ、中世になるまでほとんど描かれなかったということなのだ。 確かに、西洋…

街は生きている(第340号)

この本について的確に説明するのは、なかなか難儀なので福音館の内容紹介から引用してみる。 街は、毎分、毎秒、変わり続けている。いつもわたる横断歩道の信号機の黄色いスイッチのケースも。駐車場にある真っ赤な自動販売機も。川沿いの階段横の壁も。僕ら…

マーシャルの子どもたち-水爆の島(第139号)

本号の最後は、こう結ばれている。 太平洋のまん中の小さな島でおこっていることは、けっしてマーシャルの人びとだけの問題ではありません。核実験や原子力発電所の事故による放射能でくるしんでいる人びとが世界の各地にいます。もしも核戦争や原子力発電所…

小麦・ふくらんでパン (たくさんのふしぎ傑作集)(第92号)

学生時代、初めてイタリアを旅した時、感動したのがパンのおいしさだった。それまでも、スーパー併設のベーカリーで買った、焼きたてフランスパンのおいしさに、まるまる1本平らげるみたいなこともありはしたが、とにかくローマに来て、初めて食べた朝食の…

さかさまさかさ (たくさんのふしぎ傑作集) (第17号)

昔、高校の書道の授業で、篆刻をやったことがあるが、篆書体という特殊な漢字を使っていてもなおそれが単なる図形とも思えなくて、反対向きの文字を彫ることに、不思議な感じがしたことを覚えている。その学期の書道の成績は良かったので、器用さとは無縁の…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

本書の最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起…

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集) (第361号)

バス待ちをしている時、突然、子供が手近にいるアリを手に乗せて、 「このアリもぼくの祖先なんだよ」 とか言い出した。 何のこっちゃという感じだが、ああ、借りてきている『いのちのひろがり』を読んだんだなと思い当たった。 この本は雑誌発行時に読んで…

ハクチョウの冬ごし(第309号)

本号は「作者のことば」によると、 私の住む山形県鶴岡市大山には、今でも貴重なブナ林のある高舘山と八森山があります。 八森山のふもとに上池があり、高舘山のふもとに下池があります、このふたつの山も池も、私の幼いころからの動植物の観察の場であり、…

ぼくは少年鉄道員 (たくさんのふしぎ傑作集) (第242号)

この号は珍しく、雑誌と傑作集の表紙が異なっている(ほかには『みんなでつくる1本の辞書 』が異なっている)。雑誌の写真は、地味目の背景に正面からやってくる列車の色が映えて、かわいらしい感じが良く出ているが、傑作集の方は傑作集で、空の色と列車の…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか?私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらいで、これは知っているうちにも入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

アマガエルとくらす (たくさんのふしぎ傑作集)(第168号)

この本は、となり町の子供遊び場に出かけた時、そこの絵本コーナーに置いてあったものだ。暑さの残る秋の日、鉄道高架下の遊び場は、陽射しがさえぎられ、風がほどよく吹き抜けてとても気持ちがよかった。近隣の公園でもいつだったか、絵本を展示していて自…

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集) (第137号)

数年前、学習塾主催の理科実験教室で「メダカ博士になろう」というイベントがあり、メダカの卵を持って帰ってきたことがあった。イベント自体は楽しんでいた子供だが、メダカに大して興味もないのだから、その後の世話まで気が回るはずもなく、飼育当番はも…

ムクドリの子育て日記 (たくさんのふしぎ傑作集) (第110号)

先週末は○○公園と●●公園と◎◎公園に行って鳥の写真を撮りたい!という子供の要望に応えて、暑いなか、朝早くから自転車に乗って出かける羽目になった。 最初に着いた公園の池は、水辺の鳥たちの観察スポットになっていて、ウォッチャーの皆さんが思い思いの場…

石油のものがたり(第387号)

私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていたような気がする。その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気ではあるが、そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量とい…

おもしろい楽器 中南米の旅から(第318号)

中南米と音楽といえば、私が学生時代くらいの時は、駅前の路上でフォルクローレのライブをやっているのをよく聞いたものだ。あとは、俳優の田中健がケーナ奏者として有名だが、知っていることといえばそれくらいのものしかない。 …とか何とか詰まらない前置…

かしこい単細胞 粘菌 (たくさんのふしぎ傑作集)(第332号)

このエントリーに引き続き、粘菌の「ふしぎ」。著者の中垣氏は、なんとこの粘菌ネタで、イグノーベル賞を2回も受賞している。すごい! 『変形菌な人びと』を書いた越智典子氏も、粘菌にはエサの好みがあることを言っていたが、やはり食べ物の好き嫌いがいろ…

虫こぶはひみつのかくれが? (たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは、その名の通り昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したものである。昆虫以外にもダニや菌類によって作られるものもあるらしい。 本書はその虫こぶの中でも、作者の研究対象であるシロダマタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ…

変形菌な人びと(第219号)

変形菌とは、粘菌とも呼ばれ、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ、不思議な生物である。 学生時代、のちの夫と国立科学博物館に行ったとき、粘菌の企画展があって、シャーレに入った粘菌をもらえたので、二人でそれぞれ持って帰ったことがあった。しかし…

ゆかいな聞き耳ずきん クロツグミの鳴き声の謎をとく (たくさんのふしぎ傑作集)(第303号)

先日また、ここでの自然観察イベントに参加した。指導してくださる方も前回と同じ先生方だ。この日はあいにくの天気で、初日は主に屋内での講義が中心となった。それでも、雨の合間に少しだけ外に出て、蜂の巣の空き家にミソサザイが間借りしている様子など…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる…と一瞬思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者の鐘尾みや子氏は『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳…

絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) (第96号)

電車に乗って、ぼーっと車内広告を眺めていた時のこと。『ゾウの時間 ネズミの時間』というタイトルが目に入って、あ、たくさんのふしぎ?と思ったところ、中公新書の新刊『ウニはすごい バッタもすごい』の宣伝のおまけとして、本川達雄氏の既刊本を紹介さ…

村を守る、ワラのお人形さま(第356号)

今回のゴールデンウィークは、子供が野鳥ブームということで、野鳥観察中心の旅をした。初日は、野辺山高原一帯に行ってみたが、この本によると夏冬の方がおすすめらしい。それでも、以前から見たがっていたヒバリを見ることができたり、キビタキの愛らしい…

海べをはしる人車鉄道(第261号)

子供が鉄”道”を邁進していた頃、本号の作者、横溝英一氏の本には大変お世話になった。福音館から出ている本はすべて読んでいるし、小峰書店の本もほとんどを読んでやっている。横溝氏の描く絵の線や色づかいは、きちっとしていながらもどこか温かみがある感…

カレーライスがやってきた (たくさんのふしぎ傑作集)(第45号)

初っ端から出てくるのが「カエルカレー」。買えるカレーではない。『西洋料理指南』という100年以上も前の本に出てくる、日本で最初のカレーのレシピらしい。 どこかのレストランか何かで再現してもらうのかと思いきや、 ぼくは、どんな味かわからないけれど…

おかし (たくさんのふしぎ傑作集) (第300号)

300号という記念すべき号が、このテーマで、このお二人の手で作られたというのは、幸せなことだと思う。 内容としては、他の「ふしぎ」のように、未知の世界を知って感心するとか、驚かされるということはない。でもおばあちゃんちに来たような、ホッとする…

世界一の展覧会(第191号)

この本は、 「美術館の作品を使って、展覧会を自由に考えてつくりましょう」 という実際にあったワークショップを元に作られている。 参加者は学校も別々の子供たち26人。子供たちは4つのグループに分かれ、それぞれ1つずつ展覧会を作る。グループにはリ…

虹色いきもの図鑑(第346号)

この号は、前号のふしぎ新聞の「ポケットパズル」の答えを知りたいという、子供のリクエストで借りてきたものだ。 特筆すべきは色の美しさ、心地よさ。作者本人も「私の描くゾウやワニの色は、あなたが思っているのとはすこしちがうかもしれません」と書いて…

ぼくの影をさがして(第216号)

子供のころほどではないが、影というものの不思議さに、時々とらわれることがある。 影を使った美術作品を見ることがあるが、いつまで見ていても飽きない。子供も楽しんでいた動きのカガク展では、 クワクボリョウタの《ロスト #13》という作品に魅入られて…

いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集) (第1号)

創刊号というのは、あらゆる要素が詰まっている。その雑誌が何を目指しているのか、誰に向けて何を伝えたいのか、いちばん良くわかるのが創刊号だ。 このブログでは、私の趣味で、小学校の教科に合わせてカテゴリー分けをしているが、「たくさんのふしぎ」を…

かくれんぼ(第249号)

この本は、植田正治の写真に「かくれんぼ」をテーマにした文章を付けた、写真絵本である。『生きる』はできている詩に、絵を付けたものだったが、こちらは写真を元に、文章を書いたものだ。 詩を元に絵を描くというのは、案外難しい作業だと思う。詩からイメ…

生きる(第342号)

先日子供の授業参観があって、国語の時間は、谷川俊太郎の「どきん」という詩を、班で工夫して音読の方法を決め、それを練習して発表するというものだった。 それぞれの班の様子はさまざまで、役割をすぐ決めて練習に入るところもあれば、なかなか決まらず話…

土の色って、どんな色? (たくさんのふしぎ傑作集)(第252号)

この本の著者、栗田宏一氏の作品を、2回ほど見たことがある。 『土の色って、どんな色?』の著者の作品とは?と思われるかもしれないが、各地で採集した土を使ってこういう作品を作っているのだ。 最初に見たのは、東京都現代美術館を訪れた際、ついでに常…

美術館にもぐりこめ!(たくさんのふしぎ傑作集) (第140号)

子供連れで美術館に行くというのは、なかなかハード作業だ。子供にも、私の趣味に付き合わせたことが何度かあるが、どちらにとってもハッピーではなかったように思う。私は鑑賞に集中できないし、子供は早く出たいし…。先日のミュシャ展でも、小さい子供連れ…

時をながれる川(第172号)

この本の主人公は、北海道沼田町にある「幌新太刀別川(ほろにたちべつがわ)」。冒頭では、 この、どこにでもあるような小さな川が、私たちを遠い昔に案内してくれるふしぎな川なのです。 と紹介されている。この川に沿って見られる崖や川床からは、たくさ…

おしりをふく話 (たくさんのふしぎ傑作集)(第162号)

このエントリーで紹介した記事の伊沢氏は、葉っぱで拭いているということだったが、昔の人も、今のようなトイレットペーパーが登場するまでは、いろいろな物でお尻の始末をつけていた。 トイレットペーパーの前はチリ紙。そういえば、夫の祖父母の家に初めて…

どうして、お酒飲むの?(第204号)

ホントにどうして、でしょうねえ…おいしいから、かな? 私は一応酒飲みの端くれで、若いときはお酒の失敗も数多くあった。恥ずかしくて思い出したくもないことだ。晩ご飯の買い物をする時、その日飲みたいお酒に合うおかずをまず考えていたのだから、お察し…

青函連絡船ものがたり(第34号)

母のふるさとは北海道にある。学校の長期休みのたび、飛行機に乗って、北海道の祖父母の元へ遊びに行っていた。 ある時、青函トンネルの完成に伴い、青函連絡船が廃止されるというニュースを知った母は、最後に乗りに行こうと言い出した。飛行機に慣れている…

うたがいのつかいみち (たくさんのふしぎ傑作集)(第104号)

この本の登場人物は二人。ゴフムさんとソルテスさんである。 ゴフムさんは、”うたがいの名人”だということで、みんながあたりまえだと思っていることを、うたがってみせると言う。そのうたがいを解いてみせた人にはお金を進呈し、答えに詰まった人からはお金…

カステラ、カステラ!(たくさんのふしぎ傑作集) (第251号)

子供のおやつの好みはよくわからない。瓦せんべい系は好きなのに、クッキーは食べなかったり。アイスクリームは食べるのに、生クリームのケーキは嫌いだったり。そして、ケーキは食べないくせに、カステラは大好きなのだ。 カステラといえば、長崎。長崎には…

コアジサシ ふるさとをなくした渡り鳥(第266号)

ふるさとをなくした渡り鳥、の”ふるさと”というのは、日本にある「営巣地」のことである。コアジサシは春、日本に渡ってきて繁殖期をむかえ、子育てをするからだ。 著者は野鳥調査をする中で、子育て中とおぼしきコアジサシたちが、不自然な方向に飛び去って…

トイレのおかげ (たくさんのふしぎ傑作集)(第141号)

野糞をしたことがある、という人は案外にいるのではないだろうか? かくいう私も、山行で何回かしたことがある。人目さえ気にならなければ、最高に気持ちいい行為だ。あたかも、自然と一体になったかのような幸福感がある。都市部のマンション住まい、排便は…

貨物船のはなし(第349号)

下の画像の品に見覚えがある人は、私とほぼ同世代と前後の方だと思う。 SUNTORY サントリー アンクルトリス 爪楊枝ケース つまようじケース 非売品 1個 出版社/メーカー: サントリー メディア: ホーム&キッチン この商品を含むブログを見る 実家の食器棚にず…

分水嶺さがし(第377号)

子供はNHKの「ブラタモリ」が大好きで、毎週欠かさず見ている。 こちらでは、疑似社会科学という言葉が出てきて「どうもサイエンス的な裏付けが弱い気がする」と述べられているが、具体的にどこがどうという説明がないので、何とも言えない「気がする」。 ブ…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいたが、みな一様に気にしていたのが「いつ離島ノルマをやるか?」ということだった。子供が大きくなってしまうと一緒に動きづらくなるので、下の子が小学校を卒業するまでには離島勤務を…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったのだが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたらしいが、事情があってここに引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をした…

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集) (第246号)

本書は、これまで紹介してきた、大竹英洋の”ノースウッズシリーズ”の最初の作品である。出版順はまずこの第246号、続いて『春をさがして カヌーの旅(第253号)』、『森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して(第330号)』、『カリブーの足音 ソリの旅(第…

方言どこどこ?(第133号)

夫と二人暮らしだった頃、子供に勉強を教える仕事をしていたことがあった。 結婚した直後、夫に転勤の辞令が出て、私はそれまで勤めていた会社を辞め、生まれ育った関東地方から、まったく土地勘のない西日本方面へ引越すことになった。運転免許がなかったの…