こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

理科

野生動物の反乱(第313号)

白山から下りた後、宿泊したのが一里野温泉にある岩間山荘。ご主人が"マタギ(猟師)"をしておられるということで、熊や猪の料理を堪能できる宿だ。女将さんが作るお料理は、家庭料理の延長線上にあるものだが、どれもこれもホッとできる味で本当においしか…

動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた(第389号)

本書のテーマである、バイオロギングのことを初めて知ったのは『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』という本だった。タイトルの物理という言葉に怯みつつも、ジェンツーペンギンが表紙とあれば、読まないという選択肢はない。残念なことにジェンツーペン…

立山に咲くチングルマ(第323号)

夏の旅行の一部は、山登りをした。場所は白山。学生の頃以来なので、およそ20年ぶりとなる。後に我が子と一緒にふたたび山頂に立つことになろうとは、学生時代の自分が知ったらさぞや驚くだろうと思う。 この時期の白山は、お花(高山植物)がいっぱい。とい…

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)(第281号)

『ゆきがうまれる』に先駆けて書かれた、同じコンビによる「氷」の本。この号も雑誌と傑作集の表紙が異なっている。傑作集の方がインパクトはあるが、青系でシンプルにまとめられた雑誌の表紙の方が、私は好きだ。透かした氷の中に、秘かにペンギンらしきも…

まちぼうけの生態学 アカオニグモと草むらの虫たち (たくさんのふしぎ傑作集)(第317号)

本書は、遠藤知二氏による"生態学"シリーズの第1作目にあたる本だ。3作目の『すれちがいの生態学』から「作者のことば」を引いて、3部作の紹介をする。 虫たちの出会いをめぐる3部作の完結です。第1作の『まちぼうけの生態学』(2011年8月号。現在「た…

おいかけっこの生態学 キスジベッコウと草むらのオニグモたち(第364号)

『すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち』の主人公が「キオビベッコウ」なら、こちらは「キスジベッコウ(キスジクモバチ)」という別のクモバチのなかまだ。名前の通りこちらもクモ狩りをするハチで、コガネグモ科のクモを獲物として狩るらしい…

すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)

わたしは蜘蛛が何より苦手で、家に現れるムカデに熱湯をかけることも、ゴキブリを叩き潰すことも厭わないが、蜘蛛だけはどうしてもダメだ。さすがにハエトリくらいでぎゃあぎゃあ言ってたら暮らしていけないのでそこは慣れた(見なかったふりをする)が、ジ…

人がねむる 動物がねむる(第178号)

わが家の息子がいちばん口うるさく言われるのは、勉強のことではなく「寝る時間」のことだと思う。「早く寝なさい!」という直接的な言葉から「時間の管理ができてないよ」「せっかく早くご飯にしたのに寝る時間が遅かったら意味ないんだよ」「睡眠不足にな…

セミのおきみやげ (たくさんのふしぎ傑作集) (第29号)

『バッタのオリンピック』と同著者による本。バッタの時と同じく、セミの種類から分布場所、身体の図解や「絵とき検索」による同定の仕方まで、ていねいに詳しく描かれている。本書のメインはセミの"おきみやげ"=ぬけがらであるので、ぬけがらの図解やぬけ…

ニワシドリ あずまやを作るふしぎな鳥(第276号)

作者の鈴木まもる氏は、鳥の巣に特化した絵本を多く描いている。本号も、その鈴木氏の本領が発揮された、素晴らしい絵本だ。鳥そのものもさることながら、やはり圧巻は巣の絵の方だ。いや、ニワシドリのそれは巣ではない。あくまで「あずまや」であった。あ…

アリクイサスライアリ(第267号)

アリというのは本当に身近な虫だが、これほど"知らない"虫もない。私が知っていることと言えば、地面に巣を作ること、集団で生活していること、くらいだろうか。アリはハチと仲間というのも、そういえば同じような形態の集団生活をしているなーと、言われて…

みんなそれぞれ 心の時間(第350号)

時間 それは全ての人間に同じように流れているわけではないと思うよ時間 それは感覚であって 生きたということはただの記憶でしかないって本で読んだ ーゆらゆら帝国「時間」アルバム『ゆらゆら帝国のしびれ』より 子育て中の親(おもに母親だろうが)で、「…

アオムシの歩く道(第336号)

先日、授業参観に行ったら、理科の授業でモンシロチョウについて学習していたので、この号を借りてみた。最近はめったに読み聞かせをすることもなくなっているが、寝る準備をいつもより早めに済ませた子供が、珍しく何か読んで欲しいというので、久しぶりに…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

本書の最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起…

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集) (第361号)

バス待ちをしている時、突然、子供が手近にいるアリを手に乗せて、 「このアリもぼくの祖先なんだよ」 とか言い出した。 何のこっちゃという感じだが、ああ、借りてきている『いのちのひろがり』を読んだんだなと思い当たった。 この本は雑誌発行時に読んで…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか?私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらいで、これは知っているうちにも入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集) (第137号)

数年前、学習塾主催の理科実験教室で「メダカ博士になろう」というイベントがあり、メダカの卵を持って帰ってきたことがあった。イベント自体は楽しんでいた子供だが、メダカに大して興味もないのだから、その後の世話まで気が回るはずもなく、飼育当番はも…

石油のものがたり(第387号)

私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていたような気がする。その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気ではあるが、そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量とい…

かしこい単細胞 粘菌 (たくさんのふしぎ傑作集)(第332号)

このエントリーに引き続き、粘菌の「ふしぎ」。著者の中垣氏は、なんとこの粘菌ネタで、イグノーベル賞を2回も受賞している。すごい! 『変形菌な人びと』を書いた越智典子氏も、粘菌にはエサの好みがあることを言っていたが、やはり食べ物の好き嫌いがいろ…

虫こぶはひみつのかくれが? (たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは、その名の通り昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したものである。昆虫以外にもダニや菌類によって作られるものもあるらしい。 本書はその虫こぶの中でも、作者の研究対象であるシロダマタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ…

変形菌な人びと(第219号)

変形菌とは、粘菌とも呼ばれ、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ、不思議な生物である。 学生時代、のちの夫と国立科学博物館に行ったとき、粘菌の企画展があって、シャーレに入った粘菌をもらえたので、二人でそれぞれ持って帰ったことがあった。しかし…

ゆかいな聞き耳ずきん クロツグミの鳴き声の謎をとく (たくさんのふしぎ傑作集)(第303号)

先日また、ここでの自然観察イベントに参加した。指導してくださる方も前回と同じ先生方だ。この日はあいにくの天気で、初日は主に屋内での講義が中心となった。それでも、雨の合間に少しだけ外に出て、蜂の巣の空き家にミソサザイが間借りしている様子など…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる…と一瞬思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者の鐘尾みや子氏は『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳…

時をながれる川(第172号)

この本の主人公は、北海道沼田町にある「幌新太刀別川(ほろにたちべつがわ)」。冒頭では、 この、どこにでもあるような小さな川が、私たちを遠い昔に案内してくれるふしぎな川なのです。 と紹介されている。この川に沿って見られる崖や川床からは、たくさ…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいたが、みな一様に気にしていたのが「いつ離島ノルマをやるか?」ということだった。子供が大きくなってしまうと一緒に動きづらくなるので、下の子が小学校を卒業するまでには離島勤務を…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったのだが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたらしいが、事情があってここに引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をした…

スズメのくらし(第345号)

このイベントでの自然観察では、早朝に野鳥観察の時間もあったのだが、野鳥の可愛らしさにすっかり夢中になった子供は、自宅に帰ってからも、カメラを片手に外を駆け回るようになった。先生は「身近にいる鳥もぜひ観察してみてください」とおっしゃっていた…

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)(第228号)

先日、前年度の学校のプリント類を整理していたら、夏休みの「おすすめの本を紹介する」宿題が出てきた。題材はこの『ツバメ観察記』。子供は文を作るのが苦にならないらしく、与えられた用紙以上に書いてくることが多い。1年生のとき、同じ「おすすめ本紹…

野生のチューリップ(第386号)

野生のチューリップ、というと思い出すのがこの曲。 運転中かけるとついつい気持ちよく唄ってしまうスピッツの歌だが、よくよく詞を見ると、黒目がちの草野正宗の瞳にも似た、深い闇が見えるから恐ろしい。 「野生のチューリップ」も夜空とか星とかロマンテ…

ヤマネはねぼすけ? (たくさんのふしぎ傑作集)(第90号)

本書は、学生時代からヤマネの研究をしてきた和歌山の小学校の先生が、子供たちと一緒にヤマネの生活を調べた記録を元に、書かれたものだ。 春、みんなで近くの山にのぼって、森の木に巣箱80個を設置する。 観察を続けた3ヶ月後のある日、2匹のヤマネが…