こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

理科

すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)

わたしは蜘蛛が何より苦手で、家に現れるムカデに熱湯をかけることも、ゴキブリを叩き潰すことも厭わないが、蜘蛛だけはどうしてもダメだ。さすがにハエトリくらいでぎゃあぎゃあ言ってたら暮らしていけないのでそこは慣れた(見なかったふりをする)が、ジ…

人がねむる 動物がねむる(第178号)

わが家の息子がいちばん口うるさく言われるのは、勉強のことではなく「寝る時間」のことだと思う。「早く寝なさい!」という直接的な言葉から「時間の管理ができてないよ」「せっかく早くご飯にしたのに寝る時間が遅かったら意味ないんだよ」「睡眠不足にな…

セミのおきみやげ (たくさんのふしぎ傑作集) (第29号)

『バッタのオリンピック』と同著者による本。バッタの時と同じく、セミの種類から分布場所、身体の図解や「絵とき検索」による同定の仕方まで、ていねいに詳しく描かれている。本書のメインはセミの"おきみやげ"=ぬけがらであるので、ぬけがらの図解やぬけ…

ニワシドリ あずまやを作るふしぎな鳥(第276号)

作者の鈴木まもる氏は、鳥の巣に特化した絵本を多く描いている。本号も、その鈴木氏の本領が発揮された、素晴らしい絵本だ。鳥そのものもさることながら、やはり圧巻は巣の絵の方だ。いや、ニワシドリのそれは巣ではない。あくまで「あずまや」であった。あ…

アリクイサスライアリ(第267号)

アリというのは本当に身近な虫だが、これほど"知らない"虫もない。私が知っていることと言えば、地面に巣を作ること、集団で生活していること、くらいだろうか。アリはハチと仲間というのも、そういえば同じような形態の集団生活をしているなーと、言われて…

みんなそれぞれ 心の時間(第350号)

時間 それは全ての人間に同じように流れているわけではないと思うよ時間 それは感覚であって 生きたということはただの記憶でしかないって本で読んだ ーゆらゆら帝国「時間」アルバム『ゆらゆら帝国のしびれ』より 子育て中の親(おもに母親だろうが)で、「…

アオムシの歩く道(第336号)

先日、授業参観に行ったら、理科の授業でモンシロチョウについて学習していたので、この号を借りてみた。最近はめったに読み聞かせをすることもなくなっているが、寝る準備をいつもより早めに済ませた子供が、珍しく何か読んで欲しいというので、久しぶりに…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

本書の最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起…

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集) (第361号)

バス待ちをしている時、突然、子供が手近にいるアリを手に乗せて、 「このアリもぼくの祖先なんだよ」 とか言い出した。 何のこっちゃという感じだが、ああ、借りてきている『いのちのひろがり』を読んだんだなと思い当たった。 この本は雑誌発行時に読んで…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか?私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらいで、これは知っているうちにも入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集) (第137号)

数年前、学習塾主催の理科実験教室で「メダカ博士になろう」というイベントがあり、メダカの卵を持って帰ってきたことがあった。イベント自体は楽しんでいた子供だが、メダカに大して興味もないのだから、その後の世話まで気が回るはずもなく、飼育当番はも…

石油のものがたり(第387号)

私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていたような気がする。その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気ではあるが、そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量とい…

かしこい単細胞 粘菌 (たくさんのふしぎ傑作集)(第332号)

このエントリーに引き続き、粘菌の「ふしぎ」。著者の中垣氏は、なんとこの粘菌ネタで、イグノーベル賞を2回も受賞している。すごい! 『変形菌な人びと』を書いた越智典子氏も、粘菌にはエサの好みがあることを言っていたが、やはり食べ物の好き嫌いがいろ…

虫こぶはひみつのかくれが? (たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは、その名の通り昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したものである。昆虫以外にもダニや菌類によって作られるものもあるらしい。 本書はその虫こぶの中でも、作者の研究対象であるシロダマタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ…

変形菌な人びと(第219号)

変形菌とは、粘菌とも呼ばれ、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ、不思議な生物である。 学生時代、のちの夫と国立科学博物館に行ったとき、粘菌の企画展があって、シャーレに入った粘菌をもらえたので、二人でそれぞれ持って帰ったことがあった。しかし…

ゆかいな聞き耳ずきん クロツグミの鳴き声の謎をとく (たくさんのふしぎ傑作集)(第303号)

先日また、ここでの自然観察イベントに参加した。指導してくださる方も前回と同じ先生方だ。この日はあいにくの天気で、初日は主に屋内での講義が中心となった。それでも、雨の合間に少しだけ外に出て、蜂の巣の空き家にミソサザイが間借りしている様子など…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる…と一瞬思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者の鐘尾みや子氏は『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳…

時をながれる川(第172号)

この本の主人公は、北海道沼田町にある「幌新太刀別川(ほろにたちべつがわ)」。冒頭では、 この、どこにでもあるような小さな川が、私たちを遠い昔に案内してくれるふしぎな川なのです。 と紹介されている。この川に沿って見られる崖や川床からは、たくさ…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいたが、みな一様に気にしていたのが「いつ離島ノルマをやるか?」ということだった。子供が大きくなってしまうと一緒に動きづらくなるので、下の子が小学校を卒業するまでには離島勤務を…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったのだが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたらしいが、事情があってここに引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をした…

スズメのくらし(第345号)

このイベントでの自然観察では、早朝に野鳥観察の時間もあったのだが、野鳥の可愛らしさにすっかり夢中になった子供は、自宅に帰ってからも、カメラを片手に外を駆け回るようになった。先生は「身近にいる鳥もぜひ観察してみてください」とおっしゃっていた…

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)(第228号)

先日、前年度の学校のプリント類を整理していたら、夏休みの「おすすめの本を紹介する」宿題が出てきた。題材はこの『ツバメ観察記』。子供は文を作るのが苦にならないらしく、与えられた用紙以上に書いてくることが多い。1年生のとき、同じ「おすすめ本紹…

野生のチューリップ(第386号)

野生のチューリップ、というと思い出すのがこの曲。 運転中かけるとついつい気持ちよく唄ってしまうスピッツの歌だが、よくよく詞を見ると、黒目がちの草野正宗の瞳にも似た、深い闇が見えるから恐ろしい。 「野生のチューリップ」も夜空とか星とかロマンテ…

ヤマネはねぼすけ? (たくさんのふしぎ傑作集)(第90号)

本書は、学生時代からヤマネの研究をしてきた和歌山の小学校の先生が、子供たちと一緒にヤマネの生活を調べた記録を元に、書かれたものだ。 春、みんなで近くの山にのぼって、森の木に巣箱80個を設置する。 観察を続けた3ヶ月後のある日、2匹のヤマネが…

エゾクロテンのすむ森で(第314号)

先日家族で、ここの自然観察イベントに参加した。 生物観察の先生、星座観察の先生、それぞれ机上の講義あり、解説つきの実地観察あり、で盛り沢山の内容だった。 昼間は付近の森をゆっくり散策しながらの自然観察。先生の他ボランティアの方々も付いている…

あっ、流れ星!(第53号)

流れ星といえば、いつだったかの冬、夫がふたご座流星群を見に行こうとか言い出して、大きな公園に繰り出したことがあった。市街地から離れたここなら、きれいに見られるだろうという目論みだったのだが、思いのほか街灯が明るくて、じゃあ帰ろうかと引っ返…

宇宙とわたしたち(第385号)

仙厓義梵を知っているだろうか? 江戸絵画を特集した何処だったかの展覧会で、一目見て気に入ってしまったのだった。以来わが家では、仙厓の画らしきものをどこかで見るたびに、あれギボンだよねー?とか、やっぱりギボンだったよ、とかいう会話が繰り返され…

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代だったと思う。降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きは、いちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化する、ということを否応無しに実感させられたのも桜島のおかげだ。 風は目には…

暗闇の釣り師グローワーム(第358号)

子供が、虫にどっぷりハマり始めた頃の週末、きょうはここに行きたい!と言い出した。虫好きになったはいいものの、その頃季節はすでに秋。今は冬で虫シーズンの営業は終了している。そこで、この園内にある昆虫生態園に目をつけたというわけだった。 ふるえ…

さくら 私のスケッチブックから(第312号)

花といえば桜。今年もお花見のシーズンがやってくる。 子供の写真を見返してみたら、呆れるほど毎年のように桜をバックにした写真があった。これほど愛されている花なのに、一度としてじっくり見たことがあっただろうか?いつもいつも早くお花見に行かなきゃ…

バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)

ふだん、たくさんのふしぎを選ぶのは私だ。子供の興味や季節に合わせて探し、図書館で借りてくる。 『バッタのオリンピック』は、珍しく、子供自身が学校の図書室で借りてきたものだ。それまで息子の頭は、主に鉄分でできていたので、ムシには興味がないもの…

カタツムリ 小笠原へ(第366号)

冒頭、東京に住むカタツムリたちの、こんな会話が出てくる。 海のずーっとむこうの島にカタツムリの楽園があるらしいよ 「海のずーっとむこうの島」小笠原はカタツムリだけの楽園ではない。人間にとっても楽園だ。こーんなに美しい海が広がっているのだ!こ…

ゆきがうまれる(第383号)

冬になると、学校での読み聞かせ(高学年)で『雪の写真家ベントレー』という絵本を読むことがある。 この本は、Wilson Alwyn Bentleyというアメリカに実在した男の物語を描いたものだ。雪の結晶に魅せられた彼は、両親が、彼のために購入してくれた顕微鏡付…

木? それとも草? 竹は竹(第307号)

以前にも書いた、このイベントでは、クラフト体験の時間もある。 が、正直、クラフト体験にはあまり興味が持てないでいた。子供の方も、小刀などを使い慣れていないこともあり、作業を放り出して遊び出してしまうことの方が多い。 しかし「先生」は言う。 昔…

宇宙のつくりかた(第91号)

ものを知らないというのは、子供の最大の強みだと思う。 なまじいい加減に、理科系教科を勉強した大人としては、素粒子だの重力係数だのいう言葉が出てくるだけで、へなへなへな〜と力が抜けていくような気がするのだが、その点、何の先入観もなしに突入でき…

消えたエゾシロチョウ(第264号)

エゾシロチョウは、日本では、北海道にのみに生息する蝶だ。札幌市のHPを見ると、なんと衛生害虫のひとつらしい。 蝶というと花の蜜を吸う成虫のイメージが強いが、チョウ目の幼虫は、たしかに「農作物を荒らす害虫」だ。中でも単独ではなく、集団で食害する…

野菜の花が咲いたよ(第220号)

今は亡き、子供の曾祖父母の家は専業農家だった。 たまに遊びに行くと、畑でとれた野菜をどっさり持たせてくれたものだった。米農家だったので、野菜はあくまで自家用に作ったもの。それでもさすがはプロ。商品としても通用するような立派なものだった。当然…

桜島の赤い火(第334号)

鹿児島県の、とある市に住んでいたころ、日課は「桜島の風向」予報を見ることであった。 引越して間もないころ、外に干したものを取り入れようとした時のこと。布団に点々と、砂のような粒がついていることに気がついた。洗濯物を見れば同じようなものがうっ…

熱はつたわる(第164号)

仮説実験授業というものに、興味をもっている。 子供には、できれば科学を好きになってもらいたい。たくさんのふしぎを読み聞かせするのも、そういう理由からだ。 でも本を読むだけではダメだ。目で見て、耳で聞いて、臭いを嗅いで、口で味わって、手で触れ…

石の卵 (たくさんのふしぎ傑作集) (第298号)

以前、息子は「石に執着する子」ではないかというようなことを書いた。 家のベランダには海や川や公園や道ばたや校庭や…で拾ってきた石が転がっているし、机の上にもどっかから持ち帰った石ころが置かれ、引き出しの空き箱にも石。そして洗濯後、ズボンのポ…

2本足と4本足 (たくさんのふしぎ傑作集) (第25号)

子供が赤ちゃんの頃、高バイが得意だった。 家の中はもちろんのこと、公園(芝生のある、だだっ広い所)に放すと、いつまでもどこまでもハイハイで移動していた。その姿はまさに、四足歩行する動物そのものだった。 つかまり立ちして、ちょっと歩いたかな?…

春の妖精たち―スプリング・エフェメラル (たくさんのふしぎ傑作集) (第241号)

週末、ときどき子供と行くイベントに、こういうものがある。 木を伐ったり、竹を伐ったり、草を伐ったり、とにかく楽しい。ノコギリを使って木を切り倒すとか、自分に、そして子供にできることとは思わなかった。指導してくれる地元のボランティア団体の方々…

100まで生きる? (たくさんのふしぎ傑作集)(第44号)

ここ数年、夫の祖父母が相次いで亡くなった。二人とも80代後半だったので、平均寿命を超えて長生きしたことになる。 夫のもう一方の祖母は90を過ぎてなお存命している。足腰こそ弱っているが、食欲旺盛で認知症とも無縁、施設でお世話になりつつも元気に…

海をこえてやってきた(第177号)

ごくたまに、パエリアを作ることがある。スーパーでムール貝を見かけた時だ(レシピは長年ここのを使っている。いつ作ってもかんたんでおいしい)。 ムール貝はムラサキイガイとも呼ばれ、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれているし、日本の侵略的外来…

小さな四角い海・谷津干潟(第254号)

これは子供が読み聞かせしてくれた。 学校では、音読の宿題が出るのだが、一定期間毎日毎日毎日毎日毎日同じ文を聞いていると、本当に飽き飽きしてくる。読んでいる子供の方もつまらなそうだ。初回〜5回目くらいまでは、何とか工夫して乗り切るのだが、それ…

火(第282号)

子供は水に執着する子、火に執着する子、石に執着する子と3種類に分かれる…なんて話を見たことがある。 私は間違いなく「火に執着する子」だった。小2の息子は火も好きで水も怖くはないが、たぶん「石に執着する子」。 親が留守の時、ちょっとした火遊びを…