こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

社会

旅をするチョウ(第211号)

わたしが、はじめてアサギマダラを知ったのは、1996年11月9日の新聞の夕刊でした。 その年の秋、アサギマダラというチョウが、宮城県の蔵王山から愛知県の知多半島まで飛んできたことや、知多半島から鹿児島県の喜界島へ飛んでいったことが確かめられたとい…

おんまつり(第429号)

「おんまつり」とは、春日若宮おん祭のこと。 世界遺産 春日大社/春日若宮おん祭 12月15日に最初の神事がおこなわれるから、もうすぐだ。 若宮、なので、春日大社御祭神そのもののおまつりではない。神様のお子様である若宮さまをおまつりしたものなのだ。…

地下にさくなぞの花(第186号)

『地下にさくなぞの花』は、なんの予備知識もなければ、知らないまま読んだ方が断然面白い。私自身一人の子供にかえって、ワクワクしながら読み進めたからだ。「地下にさく花」というワード、表紙の写真にピンと来なかった人は、ぜひともこのエントリーを見…

ノイバラと虫たち (たくさんのふしぎ傑作集)(第123号)

『ぼくが見たハチ(第161号)』と同じ、藤丸篤夫氏による「ふしぎ」。 舞台となるのはひと株のノイバラ。5月、たくさんの花を咲かせる時期に、小さないのちのドラマがいくつも繰り広げられる。 “いのちのドラマ”なんて書くと、ウェットな感じがするが、集り…

キタキツネのおとうさん (たくさんのふしぎ傑作集)(第289号)

『キタキツネのおかあさん (たくさんのふしぎ傑作集) (第304号)』 より一足先、およそ1年前に書かれたのがこの『キタキツネのおとうさん』だ。 『おかあさん』では、 雌ギツネがこんなにいそがしくしているのに、雄ギツネは楽でのんきな毎日をおくってい…

種採り物語(第233号)

『種採り物語』の種は、野菜の種だ。ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ネギ。菜っ葉にトマト、キュウリ、カボチャ、ジャガイモ。みんなスーパーでフツーに見かける野菜だけど、種など見たことがない。カボチャはあるか。トマト、キュウリの種は口に入るだけだ。 …

大きな 巨きな木(第270号)

地球に生きているすべてのなかで、もっとも大きな生き物が、じつは木などだということを、みなさん、知っていましたか?ゾウだって、クジラだって、木の大きさにはかないません。 「たくさんのふしぎ」は、判型が決まっているし、ページ数もほぼ決まっている…

球根の旅(第171号)

今年も春、お花のイベントは軒並み中止になったところが多かったのではないだろうか。佐倉ふるさと広場(千葉県)では「チューリップフェスタ」が中止になったが、見物に来る人が後を絶たなかったため、やむなくすべて刈り取ることになってしまった。約100種…

かべかべ、へい!(第114号)

かべかべ、へい! 軽やかなタイトルだ。しかし、軽さに対して内容は盛りだくさんだ。 冒頭、倭名抄(平安時代に作られた百科事典のような本)による、かべの説明*1から始まり、古今東西さまざまな壁の話、壁の種類、壁画、トリックアートを施された壁*2、万…

マチュピチュをまもる アンデス文明5000年の知恵(第343号)

昨年のお正月、初詣で高幡不動を訪れたとき、参道沿いにペルー料理のお店を見つけた。 Las Papas【公式】(現在閉店) エスニック好きの我が家が飛びつかないわけがない。ランチに寄ることにした。私はハチノスが大好きなので「カウカウ(Cau Cau)」という…

マダガスカルのバオバブ(第357号)

バオバブは、サン=テクジュペリが書いた童話『星の王子さま』にも登場する、アフリカを代表する木です。種類は約10種で、アフリカ大陸に1種、オーストラリア大陸に1〜2種、マダガスカルには8種ものバオバブがあると言われています。ぼくは全種類のバ…

クジラの家族(第413号)

「子どものころから、クジラという動物にあこがれをいだいてきた」作者。『クジラの家族』は、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、コククジラ、セミクジラ、シャチ、マッコウクジラと6種のクジラのなかまを、躍動感あふれる写真とともにたっぷり紹介した1冊…

走れ、LRT ー路面電車がまちをかえた(第198号)

LRTとはライト・レール・トランジットのこと。 環境用語集:「ライト・レール・トランジット」|EICネット によると、 欧米を中心とする各都市において都市内の道路交通渋滞緩和と環境問題の解消を図るために導入が進められている新しい軌道系交通システム。…

9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく(第415号)

マダガスカルのカメレオンたちが、島のさまざまな場所にわかれて生活しているように、マダガスカルに棲むレムールの仲間、シファカも島のさまざまな森に分かれて暮らしている。 レムール?シファカ?マダガスカルの動物に詳しくない人には聞き慣れない言葉だ…

ぼくはカメレオン(第144号)

冒頭登場するパンサーカメレオンの色味ときたら、まるで『アレクサンダとぜんまいねずみ』に出てくる “まほうのとかげ”そのものではないか。 本号の「主人公」は、このパンサーカメレオンだ。 19ページまでには、目玉の動きに着目した写真、体色が変わる様子…

街のネズミ(第424号)

甲本ヒロトはかつて、 ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから と歌ったものだが、どうしてどうして表紙のドブネズミのなんと愛らしいことか。 本号は、東京の繁華街に棲むドブネズミの姿を激写した「写真集」だ。激写というの…

ポリネシア大陸(第422号)

『イースター島 ちいさくて大きな島(第359号)』の「作者のことば」で、野村哲也氏は次のようなことを語っている。 イースター島にやって来た最初の人々は、ポリネシアから渡ってきましたが、イースター島からさらに東の南米へ向かった人や、または逆に南米…

漁師とヒグマ(第287号)

NHKスペシャル「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」を見た。 NHKオンデマンド | NHKスペシャル 「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」 知床の海でサケやマスをとってきた一人の漁師が、ヒグマとともに生きる様を描いたものだ。その漁師…

琉球という国があった(第326号)

現在、かつてはお城だったグスクにも按司や王様は住んでいませんが、グスクにある御嶽にはお参りにくる人の姿が絶えません。グスクは過ぎ去った大昔の遺跡なんかではありません。今でも沖縄の人々の生活のなかに心のよりどころとして生きている場所なのです…

一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして(第414号)

今朝、NHKを見ていた子供が、きょうは「なつぞら」やらないんだね、と言い出した。平和記念式典が始まっていた。8時15分、子供と一緒に黙祷を捧げる。 中学高校と多感な時期を広島で過ごした夫は、毎年黙祷を捧げている。私も山口、広島と転勤先で過ごす…

青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし(第408号)

見開きいっぱいに広がるエメラルドグリーンの海。生き生きとカヌーを操る人々。温かみのある手書きの題字。表紙を見るだけでわくわくしてくる本だ。表紙が、この『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』のすべてを表しているといっても過言で…

きみはなにどし?(たくさんのふしぎ傑作集)(第94号)

今年も早一か月が過ぎた。 年末年始ならともかく、こんな中途半端な時に「きみはなにどし?」もクソもないもんだ。そういえば節分というのも年女年男が関係するではないか。しかし、節分もとうに三日を過ぎている。時期を逸していることに変わりはない……。 …

空のみち 飛行機と航空管制官(第331号)

先日、式根島に行った。行きは船で、帰りは新島から飛行機に乗った。 飛行機が到着するのは調布飛行場。この飛行場を舞台とする絵本がある。『ちいさなひこうきのたび』だ。かつての転勤先だった鹿児島にいた頃、よく読んでやっていた。場所こそ違えど「ちい…

ブラックバス(第16号)

この本の最後は次のように締めくくられている。 アメリカでは、つり場をだいじにする法律があって、魚がすくすくそだち、このあいだは、なんと体長83センチメートル、おもさ10キログラムというすばらしいブラックバスがつれた。 日本でも、そんな魚がそだつ…

砂漠の花園(第224号)

ここ最近の「ダーウィンが来た!」は、なぜか鳥ばかり連続している。 第568回「住まいは東京!幻のタカ」(※リンク切れ) に始まり、 第569回「進化するだまし合い!鳥の托(たく)卵最前線」(※リンク切れ) 第570回「ヒナを守れ!島を作る鳥」(※リンク切れ…

メコン 源流をもとめて(第284号)

私は川の絵本が好きらしい。 加古里子の名作『かわ』に始まり、村松昭の「鳥瞰地図絵本」シリーズは全部読んでやっている。たまがわ、ちくごがわ、ちくまがわ・しなのがわ、よしのがわ、いしかりがわ、よどがわ、あらかわ・すみだがわ。子供も読み返したりし…

浜辺のたからさがし(第97号)

桜島で大規模噴火による大量降灰を想定した車両走行実験を実施、というニュースを見た。 7月24日、本日も快晴のなか、「大量軽石火山灰を想定した車両走行・道路啓開作業検証実験」の準備走行を実施しました。#降灰 #走行実験 #桜島 pic.twitter.com/xwEDPSI…

ぼくらの天神まつり (たくさんのふしぎ傑作集) (第48号)

はやぶさが打ち上げられた内之浦は鹿児島県肝属郡肝付町にある。この町には、高山やぶさめ祭という面白いお祭りがある。 高山やぶさめ祭 | イベント | 【公式】鹿児島県観光サイト かごしまの旅 流鏑馬そのものは珍しくはないが、ここの射手は中学生が務める…

おおきな石(第335号)

BIG ROCKS, BIG WORLD! なんて素敵な英題だろう。これ以上の説明は要らないのではないか。 表紙を見開きにしてみる。 真っ青な空を背景にしたエアーズロックがどーんと現れて、圧巻だ。月刊誌の背表紙は薄めなので、見開きにしても邪魔にならない。「たくさ…

ある都市のれきし―横浜・330年 (たくさんのふしぎ傑作集) (第10号)

運転免許証の更新に行ってきた。 自分の本籍地が横浜にあることを久々に思い出した。婚姻届を作成した時、夫の実家の住所にしたからだ。しかしのちに夫の実家は家を売って引越をし、今やその住所にいる関係者は誰もいない。自分とそれに関わる者が、関係のな…