こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

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ニレの中をはじめて旅した水の話 (たくさんのふしぎ傑作集) (第98号)

本書の英題は、"The Water Tells his First Trip into the Elm Tree"ということで、主人公の「水」がニレの木の中を旅するという態で作られたお話だ。水を擬人化した物語でつくられた科学絵本といえば、名作『しずくのぼうけん』 が真っ先に思い浮かぶ。中学…

迷宮へどうぞ (たくさんのふしぎ傑作集) (第46号)

はてなキーワードで「たくさんのふしぎ」は、"マニアックな題材、作家選びがされており"との説明がなされているが、この『迷宮へどうぞ』の著者、種村季弘ほどマニアックという言葉が似合う人もいないのではないか。私が種村季弘の名前を知ったのは、高校生…

セミのおきみやげ (たくさんのふしぎ傑作集) (第29号)

『バッタのオリンピック』と同著者による本。バッタの時と同じく、セミの種類から分布場所、身体の図解や「絵とき検索」による同定の仕方まで、ていねいに詳しく描かれている。本書のメインはセミの"おきみやげ"=ぬけがらであるので、ぬけがらの図解やぬけ…

音楽だいすき (たくさんのふしぎ傑作集) (第27号)

“音楽をすきになった日"と題された「作者のことば」で、翠川敬基氏はこんなことを言っている。 今のぼくの仕事は、音楽を演奏することです。もちろん音楽は大好きです。でもぼくが君たちの年齢のころは、あまり音楽が好きではありませんでした。 小学生の頃…

河童よ、出てこい (たくさんのふしぎ傑作集) (第87号)

カッパといえば思い出すのが、西炯子の『Stayネクスト夏休みカッパと』。幼なじみ3人(男2・女1)が、カッパ探しに遠野まで出かける…という話だが、3人が住む、作品の舞台はおそらく作者の故郷である鹿児島県。けっこう遠いよなーと、かつて東京から自分…

小麦・ふくらんでパン (たくさんのふしぎ傑作集)(第92号)

学生時代、初めてイタリアを旅した時、感動したのがパンのおいしさだった。それまでも、スーパー併設のベーカリーで買った、焼きたてフランスパンのおいしさに、まるまる1本平らげるみたいなこともありはしたが、とにかくローマに来て、初めて食べた朝食の…

さかさまさかさ (たくさんのふしぎ傑作集) (第17号)

昔、高校の書道の授業で、篆刻をやったことがあるが、篆書体という特殊な漢字を使っていてもなおそれが単なる図形とも思えなくて、反対向きの文字を彫ることに、不思議な感じがしたことを覚えている。その学期の書道の成績は良かったので、器用さとは無縁の…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

本書の最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか?私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらいで、これは知っているうちにも入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

虫こぶはひみつのかくれが? (たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは、その名の通り昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したものである。昆虫以外にもダニや菌類によって作られるものもあるらしい。 本書はその虫こぶの中でも、作者の研究対象であるシロダマタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる…と一瞬思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者の鐘尾みや子氏は『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳…

絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) (第96号)

電車に乗って、ぼーっと車内広告を眺めていた時のこと。『ゾウの時間 ネズミの時間』というタイトルが目に入って、あ、たくさんのふしぎ?と思ったところ、中公新書の新刊『ウニはすごい バッタもすごい』の宣伝のおまけとして、本川達雄氏の既刊本を紹介さ…

カレーライスがやってきた (たくさんのふしぎ傑作集)(第45号)

初っ端から出てくるのが「カエルカレー」。買えるカレーではない。『西洋料理指南』という100年以上も前の本に出てくる、日本で最初のカレーのレシピらしい。 どこかのレストランか何かで再現してもらうのかと思いきや、 ぼくは、どんな味かわからないけれど…

いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集) (第1号)

創刊号というのは、あらゆる要素が詰まっている。その雑誌が何を目指しているのか、誰に向けて何を伝えたいのか、いちばん良くわかるのが創刊号だ。 このブログでは、私の趣味で、小学校の教科に合わせてカテゴリー分けをしているが、「たくさんのふしぎ」を…

青函連絡船ものがたり(第34号)

母のふるさとは北海道にある。学校の長期休みのたび、飛行機に乗って、北海道の祖父母の元へ遊びに行っていた。 ある時、青函トンネルの完成に伴い、青函連絡船が廃止されるというニュースを知った母は、最後に乗りに行こうと言い出した。飛行機に慣れている…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいたが、みな一様に気にしていたのが「いつ離島ノルマをやるか?」ということだった。子供が大きくなってしまうと一緒に動きづらくなるので、下の子が小学校を卒業するまでには離島勤務を…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったのだが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたらしいが、事情があってここに引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をした…

ヤマネはねぼすけ? (たくさんのふしぎ傑作集)(第90号)

本書は、学生時代からヤマネの研究をしてきた和歌山の小学校の先生が、子供たちと一緒にヤマネの生活を調べた記録を元に、書かれたものだ。 春、みんなで近くの山にのぼって、森の木に巣箱80個を設置する。 観察を続けた3ヶ月後のある日、2匹のヤマネが…

あっ、流れ星!(第53号)

流れ星といえば、いつだったかの冬、夫がふたご座流星群を見に行こうとか言い出して、大きな公園に繰り出したことがあった。市街地から離れたここなら、きれいに見られるだろうという目論みだったのだが、思いのほか街灯が明るくて、じゃあ帰ろうかと引っ返…

日本じゅうの4月1日(第37号)

4月1日、といっても、これはエイプリルフールの本ではない。 今、この号を手に取る人はあまりいないと思うので、どんな内容なのか、表紙裏の言葉から引用してみる。 ● この本ができるまで 日本は南北にほそ長い国です。冬、長いあいだ雪にうもれる北国もあ…

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代だったと思う。降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きは、いちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化する、ということを否応無しに実感させられたのも桜島のおかげだ。 風は目には…

分類ごっこ(第52号)

ちょっと前から子供のブームは、"生物分類"である。 ねーねーアリって何の仲間か知ってるー?ハチ目、つまりハチの仲間なんだよーとか、イロハモミジって前はカエデ科だったけど、今はムクロジ科なんだよーとか。 図鑑を読み込んでは教えてくれるのだが、家…

バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)

ふだん、たくさんのふしぎを選ぶのは私だ。子供の興味や季節に合わせて探し、図書館で借りてくる。 『バッタのオリンピック』は、珍しく、子供自身が学校の図書室で借りてきたものだ。それまで息子の頭は、主に鉄分でできていたので、ムシには興味がないもの…

宇宙のつくりかた(第91号)

ものを知らないというのは、子供の最大の強みだと思う。 なまじいい加減に、理科系教科を勉強した大人としては、素粒子だの重力係数だのいう言葉が出てくるだけで、へなへなへな〜と力が抜けていくような気がするのだが、その点、何の先入観もなしに突入でき…

アイヌネノアンアイヌ(たくさんのふしぎ傑作集) (第55号)

前回「大学生であるならば、”何のために勉強するの?”という問いかけをするはずがない」とは書いた。しかしながら彼自身、勉強していないわけではないし、本を読まないわけでもない。彼の名誉のために投稿の全文を載せておく。 読書はしないといけないの? …

本のれきし5000年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第56号)

この記事の元になった、新聞の読者投稿は、私もリアルタイムで読んでいて、 ”読書をしなければいけない確固たる理由があるならば教えて頂きたい” と問う彼に、自分は答える言葉を持ち得ているだろうかと考え込んでしまった覚えがある。なぜなら自分も、長い…

鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)(第23号)

子供が4歳くらいの頃、友人が、これすごいんだよーって見せてくれたのが、 「鬼から電話」 という、今では有名になった”子育てサポートアプリ”だった。 ー下の子はもう、お父さんに言うよ!も効かなくなっちゃってさ〜、試しに使ってみたらもう効果覿面よ〜…

アリジゴク 百の名前(第78号)

アリジゴク「で」遊んだことはあるだろうか? 子供のころからインドア派だった私でも、父親の田舎に行った時、軒先の砂地で見つけたアリジゴクで遊んだ覚えがある。夫に聞いたら、もちろん遊んだことがあった。そこでもう一つ聞いてみた。「アリジゴク」って…

2本足と4本足 (たくさんのふしぎ傑作集) (第25号)

子供が赤ちゃんの頃、高バイが得意だった。 家の中はもちろんのこと、公園(芝生のある、だだっ広い所)に放すと、いつまでもどこまでもハイハイで移動していた。その姿はまさに、四足歩行する動物そのものだった。 つかまり立ちして、ちょっと歩いたかな?…

100まで生きる? (たくさんのふしぎ傑作集)(第44号)

ここ数年、夫の祖父母が相次いで亡くなった。二人とも80代後半だったので、平均寿命を超えて長生きしたことになる。 夫のもう一方の祖母は90を過ぎてなお存命している。足腰こそ弱っているが、食欲旺盛で認知症とも無縁、施設でお世話になりつつも元気に…

すてきにへんな家 (たくさんのふしぎ傑作集)(第42号)

わが家は転勤族のため、家を持ったことがない。 持ち家がないのは気楽だなーと思う反面、自分ちがあったらこんなことするのに、あんなことするのにと想像することもある(例えば作り付けの本棚をつくるとか)。 借家住まいだと、子供に小言をいうことも増え…