こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

宇宙のつくりかた(第91号)

ものを知らないというのは、子供の最大の強みだと思う。

なまじいい加減に、理科系教科を勉強した大人としては、素粒子だの重力係数だのいう言葉が出てくるだけで、へなへなへな〜と力が抜けていくような気がするのだが、その点、何の先入観もなしに突入できる子供はすごい。

もともとこの号は読み聞かせではなく、子供が一人で読んだものだ。私自身はささっと読んだだけで図書館に返却してしまっていた。これを書くためにもう一度借りてきたのだが、見つけた子供は、

「あ、これ面白かったんだよー、ほらほら〜」

とすぐさま手に取って熱心に読み始めたのである。

え、これ面白かったのか……すごいな。

もちろん面白くないわけではない。しかし、私は「科学の読み物」として読んだため、自分の理解の追いつかなさに、もやもやした思いを抱いていたのだ。

子供は「わかったかどうか」なんてどうでもいいことなのだろう。単純に「面白い物語」として読んだのだと思う。そのお話が佐々木マキの絵で具現化されているとなれば、これほど面白いものはない。作者だってこう書いているのだから。

佐々木マキさんの絵という望外の喜びが実現して、理系出身の身としてできた時はちょっと得意だった。あの絵本たちの思い出 池澤夏樹 |こどものとも創刊60周年より ※リンク切れ)

陽子や中性子みたいな言葉も、ただの登場人物と思えば、頭の中にはわくわくするほど壮大な“創世の物語”が広がってゆくのかもしれない。つくづく子供がうらやましい。