こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

暗闇の釣り師グローワーム(第358号)

子供が虫にどっぷりハマり始めた頃の週末。きょうはここに行きたい!と言い出した。虫好きになったはいいけど、そのころ季節は秋。今は冬だ。虫シーズンの営業は終了している。そこで昆虫生態園に目をつけたというわけだ。

ふるえるような寒い日、小高い山にある園はいや増しの寒さ。昆虫生態園だけは常春の温度設定であったかいけど、昆虫だけで済むわけがない。アップダウンのある広い園内を一日中歩き回ることになった。

その昆虫生態園にいるのが本号の主人公、グローワームだ。

グローワームというのは一般名称。正しくは「ヒカリキノコバエの幼虫」になる。オーストラリアとニュージーランドだけにすむ生きものだ。本文にも描写があるが、展示室に入ってちょっとの間眺めていると、まさに、

そこには青白く光りかがやく満天の「星空」

が広がってくる。

ここは何回も訪れているが、きれいだねーとしばらく眺めるだけ。室内は真っ暗なので、見えるのは光だけなのだ。だから、本体がどういうものか、拡大模型が展示されるまで長らく知らないままだった。この本を読まなければ、生態について詳しく知ることもなかったかもしれない。

多摩動物公園のグローワームの拡大模型を作りました。 | 有限会社ティーアンドティー

「作者のことば」には、グローワームが住み着ける場所には、二つの条件が必要だと書かれている。湿度が高いこと、そして風がないこと。人工的に作り出すのは簡単なように思えるけれど、動物園での展示は、自然環境とは違う工夫が必要となる。美しく光る満天の星空は、飼育員さんたちの努力の賜物なのだ。

暗闇の釣り師グローワーム (月刊たくさんのふしぎ2015年1月号)

暗闇の釣り師グローワーム (月刊たくさんのふしぎ2015年1月号)