こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集) (第246号)

本書は、これまで紹介してきた、大竹英洋の”ノースウッズシリーズ”の最初の作品である。出版順はまずこの第246号、続いて『春をさがして カヌーの旅(第253号)』、『森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して(第330号)』、『カリブーの足音 ソリの旅(第381号)』の順ということになる。

つい最近、大竹英洋のナショジオの連載をまとめた本が出たので、読んでみた。

 

著者の道を決めたのは、ある晩見た夢だった。大学4年当時、自然を相手にした写真家になることを決心していたが、最初の撮影テーマについては決められずにいた。その晩見た夢の中で、彼は北国を思わせる針葉樹の森にいて、そこで一頭の立派なオオカミと「出会った」のだった。ふだんは夢のことなど興味すらなかったのに、

夢に現れたオオカミはあまりにリアルだったし、その夢を見たタイミングが、ぼくにとっては大きな意味をもっていたのです。

ということで、次の日、オオカミのことをもっと知りたいと思って、近くの図書館に足を運んだ彼は、そこで『ブラザー・ウルフ―われらが兄弟、オオカミ』という写真集と出会うのだ。その著者こそが、ジム・ブランデンバーグだった。ジムの写真集に衝撃を受けた大竹は、『Chased by the Light』を購入し、そして私がはじめにジムの写真を見た「ナショジオの1997年11月号」も手に入れることになる。

ジムに弟子入りしたいと願うようになった著者は、手始めに「ナショナル ジオグラフィック日本版」の編集部に電話をしてアドバイスをもらい、ジムに宛てて手紙を書くことにする。しかし、三ヶ月を過ぎても返事はなく、何も進路が決まらないまま大学を卒業した彼は、ジムに直接会いにアメリカへ渡る決心をするのだ。

ジムの家の場所など知っているわけではない。前述のナショジオの記事に載っていた「Ely」という町『ブラザー・ウルフ』の中に写っていたジムの小屋の写真、そして、『ブラザー・ウルフ』にあった手描きの絵地図、という3つの、何とも頼りない手がかりを元に、ジムの家を、ジムを探しに、とりあえずミネソタ州ミネアポリスまで飛ぶことにするのだ。

彼がジムと出会えたかどうか…それは、本書を手に取ってぜひ確認してみて欲しい。ジムを探す旅の過程は、人との出会いに満ちていて、縁というものを感じさせる、まさに”スピリチュアル・クエスト”と呼ぶに相応しいものになっている。私はふだん、日本語のスピリチュアルという言葉に、気恥ずかしさを感じてしまうたちだが、こればかりはこの言葉を使うほかはないと思う。

 

残されたふしぎは…なぜ大竹英洋は「たくさんのふしぎ」をかくことになったのか?ということだ。『家をせおって歩く』は、たまたま巣鴨で福音館書店の人たちに目撃されたことからできた本らしいが、大竹氏はどういう縁で「たくさんのふしぎ」と結ばれたのだろうか?

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集)

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集)

 
そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ

そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ