私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていた。
幸いにして?その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気だ。そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量というのはよくわからないものなのだ。
石油は化石燃料の1つ。おもに大昔のプランクトンの死骸からできるということはぼんやりと知っていたが、そのエネルギーの源については考えたことがなかった。
「作者のことば」によると、
地球という星は、太陽エネルギーを何にでも変身することができる石油としてたくわえるという、すごい力をそなえています。その原動力は生き物、特に植物がもつ力です。みなさんは理科で「光合成」を習ったかもしれません。光合成は植物が育つためだけでなく、地球ぜんたいという広いスケール、何億年というすごく長い時間スケールで見ると、エネルギーをためる力となります。
私たちは、そんなエネルギーを地面の下に見つけ、掘り出して利用しているわけです。まるでお宝発見ですね。
石油はもはや、私たちの生活になくてはならないものになっている。石油によって出来上がっているひとつひとつの物に、太陽や地球や植物、そして膨大な時間が関わっていることを想像すると、普段何の気なしに使っている物が、何だか有り難いような違ったものに見えてくる。
作者の大河内直彦氏についてちょっと調べてみたら、「科学探偵」という面白い言葉が出てきた。”生まれたばかりのウナギが食べるのは?”というタイトルに、石油の人なのにウナギ!?と驚いたが、記事を読むとちゃんとつながっていることがわかる。科学者の遊ぶフィールドというのは、縦横無尽に広がっているものなのだなあとつくづく思う。