こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)(第281号)

ゆきがうまれる』に先駆けて書かれた、同じコンビによる「氷」の本。この号も雑誌と傑作集の表紙が異なっている。傑作集の方がインパクトはあるが、青系でシンプルにまとめられた雑誌の表紙の方が、私は好きだ。透かした氷の中に、秘かにペンギンらしきものが見えるのも楽しい。

本書は、水の分子というミクロの話から始まって、透明な氷はどうやって作るのか、そして色付きの氷はなぜできないのか、という話に続いてゆく。そして色付きの氷を作らせない、氷の頑固な性質のおかげで「深い海をめぐる大きな海流のはじめの一歩」がつくられ、「海流によって地球全体がほどよい気候にたもたれている」というマクロな視点へと流れる話は、ダイナミックな展開でとても面白い。

斉藤俊行氏の絵も素晴らしく、お話のミクロからマクロへと変わる展開を引き立てるように、見開きのページを効果的に使っている。絵の中の子どもたちがまた、とくに輪郭線もなく、一見単純な色の重なりで描いているにもかかわらず、表情がとても良い。氷の透明感、ガラスの透明感も見事な表現で、傑作集の表紙絵のかき氷の繊細さも捨てがたいが、それでもやはり月刊誌の表紙の、グラスと氷の透明感をシンプルな色づかいで描き分けている美しさが好きだ。

 

明日から夏休みの家族旅行だ。湖、山、川…と水の自然を楽しむ旅になりそうだが、美しい水の風景を見ながら、地球上で水がめぐりめぐっている一端に「氷」が関わっていることに、思いを馳せてみたいと思う。

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)