こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

水辺の番人 カワウ(第392号)

カワウの扱いというのはカラスのそれと良い勝負だ。双方ともありふれた鳥で、はっきり言えば嫌われもの、むしろ害鳥としてマークされる存在でもある。子供とバードウォッチングをしていても、あれ何かな?あ~カワウかあ…という感じで、あまり観察されることもない。本文でも、

遠くから見ると、からだが真っ黒に見えるので、カラスと勘違いされることもあります。

と書かれている通り、外見もカラスと見紛うばかりだ。作者が言うところの「全国どこでも見られる水鳥」だからこそ、かえってその本当の姿を知らずに来たように思う。表紙のカワウの姿を見よ!カラスとは似ても似つかぬ鳥ではないか。もちろんカラスはカラスで別の美しさがあるけれども、作者はカワウの美しさを写真と共に次のように表現している。

羽は味わいのある金茶色のうろこ模様で、光を反射し、目は緑色にすきとおっています。

よく見れば美しい鳥であることがわかるカワウなのだが、

カワウがコロニーを長く使いつづけると、やがてそこは白い糞でおおわれて枯木が目立つようになります。

と言うことで、その美しさも人間に被害を及ぼす「害鳥」という不名誉の前では霞んでしまう。夏に訪れた湖北野鳥センターの方のお話によると、この植生被害に加え漁業被害のために、琵琶湖では駆除の対象になっているという。身近なところでは秋川でもカワウは鮎釣りや鮎漁の敵として目されており、このように漁業被害をも引き起こすところがまた、本文で言われるところの「川のギャング」と呼ばれる所以なのだ。

しかしながら、カワウはかつて1960年代〜1970年代にかけての水辺の開発に伴い、絶滅の危機に瀕していたこともあった。生息数が合わせてたったの3,000羽あまりにまで落ち込んだというのは今では想像もできないことだ。

著者である中川氏はカワウを「水辺の番人」だと言う。

いろいろな場所でカワウの姿を追いかけるようになってよくわかったことは、カワウのいる場所には必ず、かれらの食べ物となる多くの生きものたちが棲んでいるということです。むかしも今も、優れた自然の残る水辺に暮らし、まるで豊かな水辺の番人・守り人のように見えるのが、カワウたちの本来の姿なのだと思います。(「作者のことば」より

ごくごく身近な鳥、しかも害鳥として人間に敵視されているカワウの、その美しさを知らしめ、名誉回復を図ろうとするこの本は、カワウの大ファンだと言う著者の面目躍如と言ったところで、長年身近な自然を観察してきた「先生」だからこそ作れるものなのだと思う。

先生はカワウ好きが高じるあまり「作者のことば」の近影では、なんとカワウコスプレを披露されている。このカワウ衣装セットは藤前干潟の「稲永ビジターセンター」で借りられるらしい。一度訪れて子供に着せてみたいものだ。

水辺の番人 カワウ (月刊たくさんのふしぎ2017年11月号)

水辺の番人 カワウ (月刊たくさんのふしぎ2017年11月号)