こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)(第222号)

大根はエライ!高い!

今年の大根は高嶺の花。いつもなら今ごろ、おでんに煮物、鍋物、大根餅などなど大活躍しているはずなのに、今年と来たら、小さいくせに値ばかり張ってとても買えるものではない。生産者の皆さんも頑張っているのだろうが、こればかりは自然のこと、どうにもしようがない。

そんな年に、この大根の傑作集が出てしまうとは、幸なのか不幸なのか……とはいえ『大根はエライ』の出版を記念した「特別おはなし会」が開かれると聞きつけ、子供と一緒に参加することにした。子供には2〜3年前くらいに、月刊誌のを読んでやっているが、ちゃんと覚えていた。

会場「星と森と絵本の家」は、古民家を改造した児童館のようなところ。何度か訪れたことがある。その名のとおり絵本がいっぱい並んでいて、数多くのおもちゃが置いてある。外庭ではクラフト体験や昔遊びなども体験できる。おばあちゃんちにきたようなゆったりした時間が流れている。赤ちゃん連れから小学生まで子供たち皆が楽しめる素敵な家だ。いつもは程よい数が思い思いに休んでいる畳の広間も、『大根はエライ』のおはなし会があるということで、子供と大人でぎっしりと埋め尽くされてしまった。

久住氏によると、もともと『大根はエライ』は歌を作るつもりだったという。絵本が先にできてしまったということで、2003年9月号の「たくさんのふしぎ」として出版された。その後歌の方も加藤千晶氏と制作して出来上がったらしいが、売り出すのを忘れていたというナゾの話。傑作集が出るのを機に、一緒にリリースすることにしたようだ。そういうわけで、この記事のカテゴリーも「音楽」にしている。

おはなし会の最初は、久住氏による『大根はエライ』の朗読から。続いて兄弟で制作した『まる・さんかく・しかく』の朗読、『じゃがいもコロコロ』の紙芝居。久住氏の読み聞かせは、大人の味はあるけれど、はっきり言ってうまくない。子供はうまくないところが面白かったという。読み聞かせは巧拙の問題ではないのだ。

その後は久住氏と加藤千晶氏、鳥羽修氏のトリオによる「大根はエライ」のライブ演奏。アルバム同時収録の「キャベツになりたい」も久住氏のソロで披露された。加藤千晶さんは知らなかったが、あのピタゴラスイッチの♪ピタゴラスイッチ♪を歌っている人だという。会場からおおーとどよめきが起こったのが面白かった。

彼女はかこさとしの大ファンということで、名作『どろぼう がっこう』の読み聞かせも行われた。前振りで、かこさとしに自分のアルバムのジャケットを描いてもらったエピソードを話していたが、これが滅法面白かった。読み聞かせの後、Eテレ0655で歌っている『あたし、ねこ』『ほっとけーきはすてき』(作詞・作曲)が演奏され、「おかあさんといっしょ」で聞いたことあるよ、これ!と子供もすごく楽しんでいた。

おはなし会の後は、外庭で大根のみそ汁と沢庵漬けが振る舞われた。ゆるゆるながらも最後まで温かい雰囲気のイベントで、子供と共に満足して家路についた。とはいえ……そのまま真っ直ぐ帰らせてくれるはずもなく、近くをながれる野川沿いに野鳥観察をしながら帰る羽目になったのは言うまでもない。

大根の生きざまが、人に教えてくれるもの『大根はエライ』|ふくふく本棚|福音館書店公式Webマガジン

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)