こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

和菓子のほん (たくさんのふしぎ傑作集) (第231号)

洋菓子好きの母親に似ず、子供の好みは和菓子にあるようだ。 バターをふんだんに使ったクッキーや、クリームたっぷりのケーキには見向きもしない。好きなものを選んできなさいと菓子売場に送り出した後、子供が持ってきたのは「かりんとう」。そして「かわら…

みんなでつくる1本の辞書 (たくさんのふしぎ傑作集)(第338号)

「たくさんのふしぎ」は、何ページで構成されているか知ってるだろうか? なんと、どの号も40ページで作られているのだ! ずっと読んできて、今さらながら気づいた。なんと!とか感心しなくても、公式サイトには“本文40ページ”ってちゃんと書いてあるんだけ…

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代(『桜島の赤い火(第334号)』)だったように思う。 降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きはいちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化するということを、否応無しに実感させら…

観覧車をたずねて(第310号)

「たくさんのふしぎ」を子供に読み始めたのは、確かこの号からだったように思う。 子供とどこかに出かけたりする前とか後とか、関連した本を探して読むようにしていた。たいがいは「かがくのとも」で、あとは小さな子供向けの科学絵本や写真絵本など。 観覧…

分類ごっこ(第52号)

ちょっと前から子供のブームは、“生物分類”である。 ねーねーアリって何の仲間か知ってるー?ハチ目、つまりハチの仲間なんだよーとか、イロハモミジって前はカエデ科だったけど、今はムクロジ科なんだよーとか。 図鑑を読み込んでは教えてくれるのだが、家…

暗闇の釣り師グローワーム(第358号)

子供が虫にどっぷりハマり始めた頃の週末。きょうはここに行きたい!と言い出した。虫好きになったはいいけど、そのころ季節は秋。今は冬だ。虫シーズンの営業は終了している。そこで昆虫生態園に目をつけたというわけだ。 ふるえるような寒い日、小高い山に…

あみださま大修理(第263号)

私は長らく、仏像など寺社仏閣に関わるものを「美術品」としてしか見てこなかった。 変わったのは、子供が生まれてからだ。これまではおざなりに手を合わせ、頭を下げていたものを、真剣に礼拝するようになった。子供が大病や大怪我をすることなく、無事育ち…

さくら 私のスケッチブックから(第312号)

花といえば桜。今年もお花見のシーズンがやってくる。 子供の写真を見返してみたら、呆れるほど毎年のように桜をバックにした写真がある。これほど愛されている花なのに、一度としてじっくり見たことがない。いつもいつも早くお花見行かなきゃ、早くしないと…

バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)

ふだん「たくさんのふしぎ」を選ぶのは私だ。 子供の興味や季節に合わせて購入したり、図書館で借りたりする。 『バッタのオリンピック』は、珍しく子供自身で学校から借りてきたものだ。それまで息子の頭は鉄分でできていたので、ムシには興味がないものと…

カタツムリ 小笠原へ(第366号)

冒頭、東京に住むカタツムリたちの、こんな会話が出てくる。 海のずーっとむこうの島にカタツムリの楽園があるらしいよ 「海のずーっとむこうの島」小笠原はカタツムリだけの楽園ではない。人間にとっても楽園だ。こーんなに美しい海が広がっているのだ!こ…

ゆきがうまれる(第383号)

冬になると、学校での読み聞かせ(高学年)で『雪の写真家ベントレー』という絵本を読むことがある。 Wilson Alwyn Bentleyという、アメリカに実在した男を描いたものだ。雪の結晶に魅せられた彼は、両親が購入してくれた顕微鏡付きカメラで、生涯にわたって…

木? それとも草? 竹は竹(第307号)

以前『春の妖精たち―スプリング・エフェメラル (たくさんのふしぎ傑作集) (第241号)』で書いたイベントでは、クラフト体験の時間もある。 が、正直クラフト体験には興味が持てないでいた。子供の方も小刀などを使いなれないので、作業を放り出して遊び出し…

宇宙のつくりかた(第91号)

ものを知らないというのは、子供の最大の強みだと思う。 なまじいい加減に、理科系教科を勉強した大人としては、素粒子だの重力係数だのいう言葉が出てくるだけで、へなへなへな〜と力が抜けていくような気がするのだが、その点、何の先入観もなしに突入でき…

アイヌネノアンアイヌ(たくさんのふしぎ傑作集) (第55号)

『本のれきし5000年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第56号)』で、「大学生であるならば、“何のために勉強するの?”という問いかけをするはずがない」と書いた。 しかしながら彼自身、勉強してないわけではないし、本を読まないわけでもない。彼の名誉のために…

本のれきし5000年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第56号)

読書離れを子供の問題にしてはいけないと思う - スズコ、考える。 この記事の元になった新聞の読者投稿は、私もリアルタイムで読んでいる。 “読書をしなければいけない確固たる理由があるならば教えて頂きたい” と問う彼に、答える言葉を持ち得ているだろう…

ほらふきおじさんのホントの話(第185号)

伝言ゲームをしたことがあるだろうか? 子供が幼稚園の頃、出し物で伝言ゲームをしたことがあるが、ごくごく簡単な言葉さえ、正確には伝わらないのに驚いた覚えがある。幼稚園児の言語能力のせいもあるし、もちろん面白くするため、途中わざと改変した大人も…

消えたエゾシロチョウ(第264号)

エゾシロチョウは、日本では北海道にのみに生息する蝶。札幌市のHPを見ると、衛生害虫のひとつらしい。 チョウというと花の蜜を吸う成虫のイメージが強いが、チョウ目の幼虫は、たしかに「農作物を荒らす害虫」だ。集団で食害するものは、被害も大きくなる。…

鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)(第23号)

子供が4歳くらいの頃。 友人が、これすごいんだよーって見せてくれたのが、 「鬼から電話」 という今では有名になった“子育てサポートアプリ”だった。 ー下の子はもう、お父さんに言うよ!も効かなくなっちゃってさ〜試しに使ってみたら効果覿面よ〜 彼女は…

野菜の花が咲いたよ(第220号)

今は亡き、子供の曾祖父母の家は専業農家だった。 たまに遊びに行くと、畑でとれた野菜をどっさり持たせてくれたものだった。米農家なので、野菜はあくまで自家用に作ったもの。それでもさすがはプロ。商品としても通用するような立派なものだった。当然、お…

ぼくは盆栽(第126号)

これは盆栽についての本ではない。 『ぼくは盆栽』というタイトルどおりの本である。すなわち、 ぼく=盆栽 "I am a Bonsai" ということ。 巻頭にはこんな言葉が書いてある。 そんな盆栽がすきですきでとりつかれてしまったぼくは、ある時、盆栽の精となって…

桜島の赤い火(第334号)

鹿児島県の、とある市に住んでいたころ、日課は「桜島の風向」予報を見ることだった。 引越して間もないころ、干したものを取り入れようとした時のこと。布団に点々と、砂のような粒がついていることに気がついた。洗濯物を見れば同じようなのがうっすらと付…

森をそだてる漁師の話(第132号)

わが家は転勤族のため、数年おきに日本各地を転々とする生活をしている。 新しい土地を巡る、旅のような暮らしも悪くはないが、一つの土地に根ざした生活にも憧れることがある。 先日、NHKの「小さな旅」で見たのは、開拓に入った土地で苦難の時代を分かち合…

アリジゴク 百の名前(第78号)

アリジゴク「で」遊んだことありますか? 私は筋金入りのインドア派だけど、意外にも子供の頃遊んだ覚えがある。父親の田舎に行った時、軒先の砂地で見つけたのだ。夫に聞いたらもちろん遊んだことがあった。 そこでもう一つ聞いてみた。アリジゴク、なんて…

熱はつたわる(第164号)

仮説実験授業というものに、興味をもっている。 子供には、できれば科学を好きになってもらいたい。「たくさんのふしぎ」を読み聞かせするのも、そういう理由からだ。 本を読むだけではダメだ。目で見て、耳で聞いて、臭いを嗅いで、口で味わって、手で触れ…

石の卵 (たくさんのふしぎ傑作集) (第298号)

以前、息子は「石に執着する子」ではないかというようなことを書いた。 家のベランダには、海や川や公園や道ばたや校庭や……で拾ってきた石が転がっている。机の上にもどっかから持ち帰った石ころが置かれ、引き出しの空き箱にも石。そして洗濯後、ズボンのポ…

2本足と4本足 (たくさんのふしぎ傑作集) (第25号)

子供が赤ちゃんの頃、高バイが得意だった。 家の中はもちろんのこと、芝生のあるだだっ広い公園に放すと、いつまでもどこまでもハイハイしていた。その姿はまさに、四足歩行の動物そのものだった。 つかまり立ちしてちょっと歩いたかな?と思うと、もう高バ…

コウテイペンギン撮影記(第201号)

私の夢の一つは「野生のペンギンを見ること」。 近年、動物園や水族館でのペンギンの展示はかなり進化して、南極風の真っ白い風景に置かれるだけ、ということも少なくなってきた。 長崎ペンギン水族館は、ふれあいペンギンビーチと称し、自然の海で泳がせる…

春の妖精たち―スプリング・エフェメラル (たくさんのふしぎ傑作集) (第241号)

週末、ときどき子供と行くイベントに、こういうものがある。 東京の自然にタッチ 里山へGO! 木を伐ったり、竹を伐ったり、草を伐ったり、とにかく楽しい。ノコギリ使って木を切り倒すなんて、自分にそして子供にできることとは思わなかった。指導してくださ…

100まで生きる? (たくさんのふしぎ傑作集)(第44号)

ここ数年で、夫の父方祖父母が相次いで亡くなった。 二人とも80代後半だった。平均寿命を超えて長生きしたことになる。 夫の母方祖母は90を過ぎてなお矍鑠としている。足腰こそ弱っているが、食欲旺盛で認知症とも無縁。施設でお世話になりつつ元気に暮…

海をこえてやってきた(第177号)

たまにパエリアを作ることがある。 スーパーでムール貝を見かけた時だ(レシピは長年ここのを使っている。いつ作ってもかんたんでおいしい)。 ムール貝はムラサキイガイとも呼ばれる。世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれ、日本の侵略的外来種ワースト10…