こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

2019-01-01から1年間の記事一覧

琉球という国があった(第326号)

現在、かつてはお城だったグスクにも按司や王様は住んでいませんが、グスクにある御嶽にはお参りにくる人の姿が絶えません。グスクは過ぎ去った大昔の遺跡なんかではありません。今でも沖縄の人々の生活のなかに心のよりどころとして生きている場所なのです…

粉がつくった世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第33号)

私は、余った食品を何かしら加工して食べきるのが好きだ。たとえば、節分の豆。じゃこと炊き合わせて煎り豆ご飯にしたり、五目豆に仕立てたり。きな粉を作ったこともある。ミルサーで粉砕して、ちょこっと味見。香ばしくておいしいが、舌触りはよくない。そ…

飛行船にのって(第296号)

本というのは失われたもの、失われゆくものの記録でもあると思う。「たくさんのふしぎ」はニッチなもの、耳目を集めにくいトピックを取り上げているが、そういう事物のなかには、ひっそりと消えてゆくようなものもある。 飛行船もその一つだ。 もちろん、飛…

ジミンちのおもち(第327号)

突然、韓国に行こうと思い立ったことがある。新聞広告に「世界陶磁器エキスポ2001」が紹介されていたからだ。陶磁器にすごく興味があるというわけでもない。海外に行くなら、何かイベントに合わせたら面白いかなと思っただけだ。結婚前だった夫に言ったら、…

7つ橋のぎもん(第180号)

『数字であそぼ。』を読んでいる。主人公横辺は、理学部に合格したが、高度な数学の授業を全く理解できず、二留中の身。高校までのテストや入試は得意の暗記で乗り切ってきた。1回生の初っ端、理解できない講義に挫折を味わうが、親にも言えず下宿を続けな…

おぼん ふるさとへ帰る夏(第293号)

子供には、“おばあちゃんち”がない。夫の両親も私の両親も健在なので、おばあちゃんちはある。しかしながら、双方とも、ふるさと、帰省という言葉からかけ離れた場所だ。私の実家は田舎っぽさが残る地域だけれど、ニュータウンと呼ばれる住宅地。夫の実家に…

ブラックホールって なんだろう?(第412号)

学校から帰った子供が、ちょっと不機嫌そうに言った。「今日の読み聞かせの本、間違ってるところがあった。」 子供の学校では、朝の時間、月2回程度、ボランティアによる読み聞かせが行われている。私もメンバーの一人だ。 何の本だったの?「『このよで い…

一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして(第414号)

今朝、NHKを見ていた子供が、きょうは「なつぞら」やらないんだね、と言い出した。平和記念式典が始まっていた。8時15分、子供と一緒に黙祷を捧げる。 中学高校と多感な時期を広島で過ごした夫は、毎年黙祷を捧げている。私も山口、広島と転勤先で過ごす…

チョウのすきな葉っぱの味(第384号)

チョウの幼虫はめちゃくちゃ偏食だ。 タイトルは「すき」になっているが、そんなレベルではなく、特定の葉っぱしか食べないのだ。「食草」もしくは「食樹」という。たとえ食べ尽くして飢えたとしても、決して他の植物には手を出さない。挙げ句の果て死んでし…

青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし(第408号)

見開きいっぱいに広がるエメラルドグリーンの海。生き生きとカヌーを操る人々。温かみのある手書きの題字。表紙を見るだけでわくわくしてくる本だ。表紙が、この『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』のすべてを表しているといっても過言で…

水のかたち(第214号)

山の朝は美しい。 朝焼けに染まる山肌。輝く緑。朝露が日を受けてきらきら光っている。白山に登った時もそうだった。足もとの草には、蜘蛛の巣。露がおりて繊細なレースを作り出している。写真に撮っておきたいと思った。だがしかし。カメラに残されたのは、…

きみはなにどし?(たくさんのふしぎ傑作集)(第94号)

今年も早一か月が過ぎた。 年末年始ならともかく、こんな中途半端な時に「きみはなにどし?」もクソもないもんだ。そういえば節分というのも年女年男が関係するではないか。しかし、節分もとうに三日を過ぎている。時期を逸していることに変わりはない……。 …

スウェーデンの 変身する家具(第405号)

本号を寝っ転がって読んでいた子供が、 「ねえねえ、スエーデンでは、人んちの森にも自由に入っていいんだって。そこでキャンプしてもいいんだって。すごいねー」 と言い出した。 実はこれ、『森はみんなの保育園(第320号)』にも書いてあったことなのだ。…

盆栽をそだてる(第406号)

これは盆栽についての本だ。ついに出た。 "I am a Bonsai"ではなく、"Living with Bonsai"だ。 しかし、これは盆栽の本ではないのではないか。いや、盆栽の本なのだが……。 すうっと読めてしまって、なにか物足りない、もっと盆栽について知りたい、飢餓感と…

病院の子どもたち チャイルド・ライフ・スペシャリストのしごと(第407号)

家庭教師の仕事をしていた頃、病院に教えに行ったことがある。入試を間近に控えた中学生だった。何で入院していたのかはわからないが、特にしんどそうな様子は見られなかったので、重篤な状態ではなかったのだと思う。ほんの数日だけの指導でどうにかなるも…