こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

理科

雑木林の1年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第24号)

子供お気に入りの公園は、ちょっとした起伏のある土地に、雑木林が広がっている自然豊かな公園だ。野鳥や昆虫など知らなかった頃から行きたがっていたので、琴線に触れる何かがあるのだろう。ほどよく管理された公園は近隣の人びとに愛され、季節毎に植物や…

宇宙人に会いたい(第205号)

7年くらい前、はやぶさの帰還が話題になった時、私たちは鹿児島にいた。 はやぶさが打ち上げられたのは内之浦宇宙空間観測所。住んでいたところから遠くないこともあり、何回か施設見学に訪れたことがある。中にある宇宙科学資料館は、トリップアドバイザー…

ものまね名人 ツノゼミ (たくさんのふしぎ傑作集) (第238号)

本書の著者である森島氏も、『バシリスク 水の上を走るトカゲ(第316号)』の嶋田氏と同じく、偶然出会って一目で恋に落ちたものを追っかけ始めたクチだ。 仕事でボリビアに行くことになった森島氏は、前々からの憧れ、ヘルクレスカブトムシやモルフォチョウ…

お姫さまのアリの巣たんけん (たくさんのふしぎ傑作集) (第150号)

ここ3年、毎年のように参加しているのが近隣大学の公開講座「身近なアリを知ろう」。 アリについての講義の後、“アリエンテーリング”の活動が始まる。先生お手製の吸虫管を使って構内のアリを採集しては顕微鏡を使って同定し、レア度に応じて点数を競うもの…

バシリスク 水の上を走るトカゲ(第316号)

本号は、 1995年、ぼくははじめて中央アメリカのコスタリカを訪れました。 という一文から始まる。 コスタリカと聞いて思い出したのが「水曜どうでしょう」の「中米・コスタリカで幻の鳥を激写する!」という企画。鳥関連には目ざとい子供がTOKYO MXで放送し…

昆虫の体重測定(第373号)

本号はタイトルそのまんま、あらゆる昆虫の体重を量ってみたというものだ。 そんなシンプルな内容なのに、これがまたすごく面白い。世界最大のカブトムシだの、世界最大のチョウだの、体長に関しての話題は多いが、体重にスポットが当てられることは少ないか…

カブトムシの音がきこえる 土の中の11か月(第396号)

家の子は、驚くほどカブトムシに興味がない。バッタ類は頑張って飼おうとしていたこともあるが、カブトムシは一顧だにしなかった。市内にはカブトムシがよく捕れる公園もあるし、時期にはトラップが仕掛けられていたりする。興味を持つ環境は整っていると思…

水辺の番人 カワウ(第392号)

カワウの扱いはカラスのそれと良い勝負だ。 どちらもありふれた鳥で、はっきり言えば嫌われもの。むしろ害鳥としてマークされる存在でもある。子供とバードウォッチングしていても、あれ何かな?あ~カワウかあ……という感じで、あまり観察されることもない。…

石ころ 地球のかけら (たくさんのふしぎ傑作集)(第77号)

今住んでいる市では「水辺の楽校」というイベントを開催している。市内を流れる川で川遊びしたり、自然観察をしたりと身近な自然に親しむ活動だ。子供が1年生のときから参加していて、都合が付く時には必ず申込しているが、抽選に当たらないこともある人気…

ミクロの世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第81号)

昨冬の、子供のクリスマスプレゼントは双眼鏡だった。夏に谷津干潟に行ったときに借りたのと同じものだ。レンジャーの方がおすすめしてくださったのもあり、クリスマスに贈ろうと予てより考えていた。小学生への双眼鏡のプレゼントとしては分不相応*1かなー…

モグラの生活 (たくさんのふしぎ傑作集)(第267号)

表紙タイトルの「モグラの生活」、よく見ると“グ”の濁点がもぐらを模していてとても可愛らしい。 身近にいながら、これほど姿を見ない動物もないだろう。近所の河原の土手や近隣大学の構内などでモグラ塚は見かけるけれど、モグラ自体を見るのは皆無だ。どん…

野生動物の反乱(第313号)

白山から下りた後、宿泊したのが一里野温泉にある岩間山荘。ここのご主人は“マタギ”をしておられる。熊や猪の料理を堪能できる宿だ。女将さんのお料理は、家庭料理の延長線上にあるものだが、どれもこれもホッとできる味。本当においしかった。家庭料理とい…

動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた(第389号)

本書のテーマである、バイオロギングのことを初めて知ったのは『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』という本だった。タイトルの物理という言葉に怯みつつも、ジェンツーペンギンが表紙とあれば、読まないという選択肢はない。残念なことにジェンツーペン…

立山に咲くチングルマ(第323号)

夏の旅行の一部は、山登りをした。場所は白山。学生の頃以来なので、およそ20年ぶりとなる。我が子と一緒にふたたび山頂に立つなんて、学生時代の自分が知ったらさぞかし驚くことだろう。 この時期の白山は、お花(高山植物)がいっぱい。ということは人もい…

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)(第281号)

『ゆきがうまれる(第383号)』に先駆けて描かれた、同じコンビによる「氷」の本。 この号も雑誌と傑作集の表紙が異なっている。傑作集の方がインパクトはあるけれど、青系でシンプルにまとめられた雑誌の方が、私は好きだ。透かした氷の中に、ペンギンらし…

まちぼうけの生態学 アカオニグモと草むらの虫たち (たくさんのふしぎ傑作集)(第317号)

本書は、遠藤知二氏による“生態学”シリーズの一作目にあたる本だ。 三作目『すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)』の「作者のことば」には、三部作の紹介が書かれている。 虫たちの出会いをめぐる3部作の完結です。第1作の『まち…

おいかけっこの生態学 キスジベッコウと草むらのオニグモたち(第364号)

『すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)』の主人公が、キオビベッコウなら、こちらはキスジベッコウ(キスジクモバチ)という別のクモバチのなかまだ。 その名の通り、こちらもクモ狩りをするハチ。獲物となるのはコガネグモ科のクモ…

すれちがいの生態学 キオビベッコウと小道の虫たち(第388号)

わたしは蜘蛛がなにより苦手だ。 ムカデに熱湯をかけることも、ゴキブリを叩き潰すことも厭わないが、蜘蛛だけはどうしてもダメだ。さすがにハエトリくらいは慣れた(見なかったふり)が、ジョロウグモ、コガネグモサイズは冷や汗もの。アシダカグモは問題外…

人がねむる 動物がねむる(第178号)

わが家の息子がいちばん口うるさく言われるのは、勉強ではなく「寝る時間」のことだ。「早く寝なさい!」という直接的な言葉はもちろん、「時間の管理ができてないよ」「せっかく早くご飯にしたのに寝る時間が遅かったら意味ないんだよ」「睡眠不足になると…

セミのおきみやげ (たくさんのふしぎ傑作集) (第29号)

『バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)』と同著者による本。 セミの種類、分布場所、身体の図解、「絵とき検索」による同定の仕方まで、詳しくていねいに描かれている。メインはセミの“おきみやげ”=ぬけがらなので、ぬけがらの図解、ぬ…

ニワシドリ あずまやを作るふしぎな鳥(第276号)

作者の鈴木まもる氏は、鳥の巣に特化した絵本を多く描いている。 本号も、鈴木氏の本領が発揮された、素晴らしい絵本だ。鳥そのものもさることながら、やはり圧巻は巣の絵だ。いや、ニワシドリのそれは巣ではない。あくまで“あずまや”だ。あずまやを作るのは…

アリクイサスライアリ(第267号)

身近にいながら、アリほど“知らない”虫もない。 知っていることといえば、地中に巣を作るとか、集団生活してるとかくらい?アリとハチが仲間というのも、そういえば同じような集団生活してるなーとか、ヒアリでアナフィラキシーってそういやハチ毒と同じだな…

みんなそれぞれ 心の時間(第350号)

時間 それは全ての人間に同じように流れているわけではないと思うよ時間 それは感覚であって 生きたということはただの記憶でしかないって本で読んだ ーゆらゆら帝国「時間」アルバム『ゆらゆら帝国のしびれ』より 子育て中の親(おもに母親だろうが)で、「…

アオムシの歩く道(第336号)

授業参観に行ったら、理科でモンシロチョウを学習していた。最近はめったに読み聞かせしてないが、夜、珍しく子供が何か読んでほしいという。モンシロチョウに関わる、この『アオムシの歩く道』を使って、久しぶりに読み聞かせをすることになった。 著者は、…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

本書の最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起…

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集) (第361号)

バス待ちをしている時、突然、子供が手近にいるアリを手に乗せて、 「このアリもぼくの祖先なんだよ」 とか言い出した。 何のこっちゃという感じだが、ああ、借りてきている『いのちのひろがり』を読んだんだなと思い当たった。 この本は雑誌発行時に読んで…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか? 私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらい。こんなの知っているうちには入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集) (第137号)

数年前、学習塾主催の理科実験教室「メダカ博士になろう」というイベントに参加し、メダカの卵を持って帰ってきたことがあった。イベント自体は楽しんでいた子供だが、大して興味があるわけでもない。その後の世話まで気が回るはずもなく、飼育当番はもっぱ…

石油のものがたり(第387号)

私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていた。 幸いにして?その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気だ。そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量というのはよく…

かしこい単細胞 粘菌 (たくさんのふしぎ傑作集)(第332号)

このエントリーに引き続き、粘菌の「ふしぎ」。著者の中垣氏は、なんとこの粘菌ネタで、イグノーベル賞を2回も受賞している。すごい! 『変形菌な人びと(第219号)』を書いた越智典子氏も、粘菌にはエサの好みがあることを語っていたが、やはり食べ物の好…