こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

理科

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起こすと…

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集) (第361号)

バス待ちをしている時、突然、子供が手近にいるアリを手に乗せて、 「このアリもぼくの祖先なんだよ」 とか言い出した。 何のこっちゃという感じだが、ああ、借りてきている『いのちのひろがり』を読んだんだなと思い当たった。 この本は雑誌発行時に読んで…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか? 私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらい。こんなの知っているうちには入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集) (第137号)

数年前、学習塾主催の理科実験教室「メダカ博士になろう」というイベントに参加し、メダカの卵を持って帰ってきたことがあった。イベント自体は楽しんでいた子供だが、大して興味があるわけでもない。その後の世話まで気が回るはずもなく、飼育当番はもっぱ…

石油のものがたり(第387号)

私が子供のころ、あと数十年で石油は枯渇するだろうと予測されていた。 幸いにして?その数十年に近くなった現在でも、取りあえず当分は使うことができそうな雰囲気だ。そんなあいまいな言葉でもごもご言うしかないくらいに、石油の可採埋蔵量というのはよく…

かしこい単細胞 粘菌 (たくさんのふしぎ傑作集)(第332号)

このエントリーに引き続き、粘菌の「ふしぎ」。著者の中垣氏は、なんとこの粘菌ネタで、イグノーベル賞を2回も受賞している。すごい! 『変形菌な人びと(第219号)』を書いた越智典子氏も、粘菌にはエサの好みがあることを語っていたが、やはり食べ物の好…

虫こぶはひみつのかくれが?(たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したもの。 昆虫以外にもダニや菌類によって作られるのもある。 本書はシロダモタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ行われた調査を中心に書かれたものだ。 虫こぶは一見安全で住み心地が良…

変形菌な人びと(第219号)

変形菌とは、粘菌とも呼ばれ、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ、不思議な生物である。 学生時代、のちの夫と国立科学博物館に行ったとき「森の魔術師 - 変形菌(粘菌)の世界 -」展をやっていて、シャーレに入った粘菌をもらえたので、それぞれ持っ…

ゆかいな聞き耳ずきん クロツグミの鳴き声の謎をとく (たくさんのふしぎ傑作集)(第303号)

先日また「東京都檜原都民の森」の自然観察イベントに参加した。 指導してくださるのも前回と同じ先生方だ。この日はあいにくの天気。初日は屋内での講義が中心となった。それでも、雨の合間に少しだけ外に出て、蜂の巣の空き家にミソサザイが間借りしている…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる……と思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者は鐘尾みや子氏。 『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳の…

時をながれる川(第172号)

主人公は、北海道沼田町にある「幌新太刀別川(ほろにたちべつがわ)」。 冒頭、 この、どこにでもあるような小さな川が、私たちを遠い昔に案内してくれるふしぎな川なのです。 と紹介されている。 この川に沿って見られる崖や川床からは、たくさんの化石が…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいた。 みな一様に気にしていたのが「離島ノルマをいつやるか?」ということ。子供が大きくなってしまうと動きづらくなる。末子が小学校を卒業するまでに離島勤務を終えたいということなの…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたようだが、事情があって引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をしたいというの…

スズメのくらし(第345号)

このイベントでの自然観察では、早朝に野鳥観察の時間もあったのだが、野鳥の可愛らしさにすっかり夢中になった子供は、自宅に帰ってからも、カメラを片手に外を駆け回るようになった。先生は「身近にいる鳥もぜひ観察してみてください」とおっしゃっていた…

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)(第228号)

先日、前年度のプリント類を整理していたら、夏休みの「おすすめの本を紹介する」宿題が出てきた。題材はこの『ツバメ観察記』。子供は文を作るのが苦にならないらしく、与えられた用紙以上に書くことが多い。1年生のときなど、同じ「おすすめ本紹介」の宿…

野生のチューリップ(第386号)

野生のチューリップ、というと思い出すのがこの曲。 運転中かけるとついつい気持ちよく唄ってしまうスピッツだが、よくよく詞を見ると、黒目がちの草野正宗の瞳にも似た、深い闇が見えるから恐ろしい。 「野生のチューリップ」も夜空とか星とかロマンティッ…

ヤマネはねぼすけ? (たくさんのふしぎ傑作集)(第90号)

著者は和歌山の小学校の先生。学生時代からヤマネの研究をしてきた人だ。本書は、子供たちと一緒にそのヤマネの生活を調べた記録を元に書かれたもの。 春、みんなで近くの山にのぼって、森の木に巣箱80個を設置する。 観察を続けた3ヶ月後のある日、2匹…

エゾクロテンのすむ森で(第314号)

先日家族で「東京都檜原都民の森」の自然観察イベントに参加した。 生物観察の先生、星座観察の先生、それぞれ机上の講義あり、解説つきの実地観察ありで盛り沢山の内容だった。 昼間は付近の森をゆっくり散策しながらの自然観察。先生の他ボランティアの方…

あっ、流れ星!(第53号)

流れ星といえば、いつだったかの冬、夫がふたご座流星群を見に行こうとか言い出して、大きな公園に繰り出したことがあった。市街地から離れたところなら、きれいに見られるだろうという目論みだったのだが、思いのほか街灯が明るくて、じゃあ帰ろうかと引っ…

宇宙とわたしたち(第385号)

仙厓義梵を知っているだろうか? 江戸絵画を特集した何処だったかの展覧会で、一目見て気に入ってしまったのだった。以来わが家では、仙厓の画らしきものをどこかで見るたびに、あれギボンだよねー?とか、やっぱりギボンだったよ、とかいう会話が繰り返され…

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代(『桜島の赤い火(第334号)』)だったように思う。 降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きはいちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化するということを、否応無しに実感させら…

暗闇の釣り師グローワーム(第358号)

子供が虫にどっぷりハマり始めた頃の週末。きょうはここに行きたい!と言い出した。虫好きになったはいいけど、そのころ季節は秋。今は冬だ。虫シーズンの営業は終了している。そこで昆虫生態園に目をつけたというわけだ。 ふるえるような寒い日、小高い山に…

さくら 私のスケッチブックから(第312号)

花といえば桜。今年もお花見のシーズンがやってくる。 子供の写真を見返してみたら、呆れるほど毎年のように桜をバックにした写真がある。これほど愛されている花なのに、一度としてじっくり見たことがない。いつもいつも早くお花見行かなきゃ、早くしないと…

バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)

ふだん「たくさんのふしぎ」を選ぶのは私だ。 子供の興味や季節に合わせて購入したり、図書館で借りたりする。 『バッタのオリンピック』は、珍しく子供自身で学校から借りてきたものだ。それまで息子の頭は鉄分でできていたので、ムシには興味がないものと…

カタツムリ 小笠原へ(第366号)

冒頭、東京に住むカタツムリたちの、こんな会話が出てくる。 海のずーっとむこうの島にカタツムリの楽園があるらしいよ 「海のずーっとむこうの島」小笠原はカタツムリだけの楽園ではない。人間にとっても楽園だ。こーんなに美しい海が広がっているのだ!こ…

ゆきがうまれる(第383号)

冬になると、学校での読み聞かせ(高学年)で『雪の写真家ベントレー』という絵本を読むことがある。 Wilson Alwyn Bentleyという、アメリカに実在した男を描いたものだ。雪の結晶に魅せられた彼は、両親が購入してくれた顕微鏡付きカメラで、生涯にわたって…

木? それとも草? 竹は竹(第307号)

以前『春の妖精たち―スプリング・エフェメラル (たくさんのふしぎ傑作集) (第241号)』で書いたイベントでは、クラフト体験の時間もある。 が、正直クラフト体験には興味が持てないでいた。子供の方も小刀などを使いなれないので、作業を放り出して遊び出し…

宇宙のつくりかた(第91号)

ものを知らないというのは、子供の最大の強みだと思う。 なまじいい加減に、理科系教科を勉強した大人としては、素粒子だの重力係数だのいう言葉が出てくるだけで、へなへなへな〜と力が抜けていくような気がするのだが、その点、何の先入観もなしに突入でき…

消えたエゾシロチョウ(第264号)

エゾシロチョウは、日本では北海道にのみに生息する蝶。札幌市のHPを見ると、衛生害虫のひとつらしい。 チョウというと花の蜜を吸う成虫のイメージが強いが、チョウ目の幼虫は、たしかに「農作物を荒らす害虫」だ。集団で食害するものは、被害も大きくなる。…

野菜の花が咲いたよ(第220号)

今は亡き、子供の曾祖父母の家は専業農家だった。 たまに遊びに行くと、畑でとれた野菜をどっさり持たせてくれたものだった。米農家なので、野菜はあくまで自家用に作ったもの。それでもさすがはプロ。商品としても通用するような立派なものだった。当然、お…