こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

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石ころ 地球のかけら (たくさんのふしぎ傑作集)(第77号)

今住んでいる市では「水辺の楽校」というイベントを開催している。 市内を流れる川で川遊びしたり、自然観察をしたり。身近な自然に親しむ活動だ。1年生のときから参加しているが、イベントによっては抽選に外れることもある人気ぶりだ。 中でも「石ころウ…

ミクロの世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第81号)

昨冬の、子供のクリスマスプレゼントは双眼鏡だった。 夏に谷津干潟に行ったときに借りたのと同じもの。レンジャーの方もおすすめしてくださっていた。小学生へのプレゼントとしては分不相応*1かなあとも思ったが、直後からさっそく活躍中。鳥見に熱中するあ…

クリスマス・クリスマス (たくさんのふしぎ傑作集) (第57号)

クリスマスが嫌いだ。 気忙しい年末に、異教のイベントを突っ込まなくてもいいじゃないか。夫との交際中も、クリスマス・イヴを過ごすなんて一度たりともしたことがなかった。頭の中身も若過ぎた当時は、たとえ子供ができたとしても、クリスマスなんてやるも…

ズボンとスカート(第47号)

ブログのデザインテーマを一時的にでも変えてみて(『もじのカタチ(第305号)』)思ったのは、「たくさんのふしぎ」のロゴの変わらなさ。 創刊号から一貫して、基本のデザインは変わっていないのだと思う。「こどものとも」や「かがくのとも」は、ときどき…

龍をおう旅(第83号)

本書は「作者のことば」によると、 龍は空想動物ですが、生きているがごとく東西の世界にいます。 その龍を見るために、中国からヨーロッパまでの大きな拡がりの中に旅立ちました。 ということで、古今東西の龍を求め旅したものだ。 龍を見つけるたびに、そ…

鳥の目から見たら(第39号)

子供は今、コンパスを使った作図を勉強中だ。 先生には「急がなくてもいいので、もう少していねいに線を引きましょう」と言われている。それでも初めて使うコンパスが楽しいようで、とくに垂線を引くのが好きらしい。 それにしてもなぜこんなに線が曲がって…

カメラをつくる(第22号)

先日、子供と「ピンホール写真体験教室」に参加してきた。 カメラ自体はキットを使って作るものだが、作製したカメラを使って印画紙に撮影し、暗室で現像ネガ作りやプリント作りをする、本格的な写真体験だ。日本写真協会の先生方が、一人一人に作り方を指導…

はてなし世界の入口 (たくさんのふしぎ傑作集) (第2号)

「はてなし世界の入口」として、始めに登場するのがマトリョーシカ。 このマトリョーシカについて何気なく調べてみたら、沼田元氣氏の名前が出てきたのに驚いた。盆栽小僧の松ちゃん(『ぼくは盆栽(第126号)』)はマトリョーシカ(或はこけし)になってい…

かぼちゃ人類学入門 (たくさんのふしぎ傑作集) (第75号)

かぼちゃ?人類学?はてさて何のことやら……と思うのも無理はないタイトルだ。 『迷宮へどうぞ (たくさんのふしぎ傑作集) (第46号)』で挿絵を担当した人物こそ、著者の川原田徹氏だ。『迷宮へどうぞ』には、“『かぼちゃ島』迷宮”という絵があり、カボチャの…

ニレの中をはじめて旅した水の話 (たくさんのふしぎ傑作集) (第98号)

本書の英題は、"The Water Tells his First Trip into the Elm Tree"。 主人公の「水」が、ニレの木の中を旅するという態で作られたお話だ。 水を擬人化した科学絵本といえば、名作『しずくのぼうけん』 がある。中学年の読み聞かせでよく使っているが、独特…

迷宮へどうぞ (たくさんのふしぎ傑作集) (第46号)

はてなキーワード(現「はてなブログ タグ」)で「たくさんのふしぎ」には、 “マニアックな題材、作家選びがされており” との説明がある。 『迷宮へどうぞ』の著者、種村季弘ほどマニアックという言葉が合う人もいないのではないか。私が彼の名を知ったのは…

セミのおきみやげ (たくさんのふしぎ傑作集) (第29号)

『バッタのオリンピック (たくさんのふしぎ傑作集)(第6号)』と同著者による本。 セミの種類、分布場所、身体の図解、「絵とき検索」による同定の仕方まで、詳しくていねいに描かれている。もちろんメインの“セミのおきみやげ”=ぬけがらについても、ぬけが…

音楽だいすき (たくさんのふしぎ傑作集) (第27号)

「作者のことば」は、題して“音楽をすきになった日”。 作者である翠川敬基氏は、こんなことを告白している。 今のぼくの仕事は、音楽を演奏することです。もちろん音楽は大好きです。でもぼくが君たちの年齢のころは、あまり音楽が好きではありませんでした…

河童よ、出てこい (たくさんのふしぎ傑作集) (第87号)

カッパといえば思い出すのが、西炯子の『Stayネクスト夏休みカッパと』。 幼なじみ3人(男2&女1)が、カッパ探しに遠野まで出かけるが……というお話。3人が住むのは、おそらく作者の故郷である鹿児島県。鹿児島から岩手ってかなりの距離だ。かつて東京か…

小麦・ふくらんでパン (たくさんのふしぎ傑作集)(第92号)

初めてイタリアを旅した時、感動したのがパンのおいしさだった。 日本のベーカリーだってもちろん、焼き立ては格別だ。気がつくとバゲットをまるまる1本平らげていたこともある。しかしとにかくローマに来て初めて食べた朝食のパンは、味も食感もそして香り…

さかさまさかさ (たくさんのふしぎ傑作集) (第17号)

昔、高校の書道で篆刻をやったことがある。 篆書体という特殊な書体は単なる図形とも見えなくて、反対向きの文字を彫るのに不思議な感じを覚えたものだ。その学期の成績はまあまあ良かったので、不器用な私にしてはうまく仕上がったのだと思う。名字は画数が…

夢ってなんだろう (たくさんのふしぎ傑作集) (第11号)

最後のページには「おかあさんへのお願い」と題し、次のような文章が載せられている。 子どもたちが見る夢を大切にしてください。たのしい夢にしても、こわい夢にしても、その中で子どもたちはいっしょうけんめいに生きたのですから。 それから、朝起こすと…

海藻はふしぎの国の草や木 (たくさんのふしぎ傑作集)(第62号)

ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか? 私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらい。こんなの知っているうちには入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まな…

虫こぶはひみつのかくれが?(たくさんのふしぎ傑作集)(第86号)

虫こぶとは昆虫の寄生によって、植物の組織がこぶ状に変化したもの。 昆虫以外にもダニや菌類によって作られるのもある。 本書はシロダモタマバエの虫こぶについて、1989〜1990年にかけ行われた調査を中心に書かれたものだ。 虫こぶは一見安全で住み心地が良…

空をとぶ(第19号)

シンプルなタイトルが、作者の矜持を感じさせる……と思ったが、どちらかというと「空をとぶ」喜びを素直に表現しただけなのかもしれない。 作者は鐘尾みや子氏。 『お嬢さん、空を飛ぶ-草創期の飛行機を巡る物語』によると、 空を飛びたいという思いは12歳の…

絵とき ゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) (第96号)

電車に乗って、ぼーっと車内広告を眺めていた時のこと。 『ゾウの時間 ネズミの時間』というタイトルが目に入ってきた。あ、たくさんのふしぎ?と思ったら。中公新書の新刊『ウニはすごい バッタもすごい』の宣伝に合わせて紹介されていたものだった。 ゾウ…

カレーライスがやってきた (たくさんのふしぎ傑作集)(第45号)

初っ端に出てくるのが「カエルカレー」。 買えるカレーではない。『西洋料理指南』という100年以上も前の本に出てくる、日本で最初のカレーレシピだという。 どこかのレストランかで再現してもらうのかと思いきや、 ぼくは、どんな味かわからないけれど、こ…

いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集) (第1号)

創刊号というのは、あらゆる要素が詰まっている。 その雑誌が何を目指しているのか、誰に向けて何を伝えたいのか、いちばん良くわかるのが創刊号だ。 このブログは、私の趣味で小学校の教科に合わせてカテゴリー分けをしているが「たくさんのふしぎ」を教科…

青函連絡船ものがたり(第34号)

母のふるさとは北海道にある。 学校の長期休みのたび、飛行機に乗って祖父母の元へ行っていたものだ。 ある時、青函トンネルの完成に伴い青函連絡船が廃止されるというニュースを知った母は、最後に乗りに行こうと言い出した。飛行機に慣れている母が、長時…

海鳥の島(第72号)

鹿児島住みの頃、ご主人が公立学校の教師という友人・知人がちらほらいた。 みな一様に気にしていたのが「離島ノルマをいつやるか?」ということ。子供が大きくなってしまうと動きづらくなる。末子が小学校を卒業するまでに離島勤務を終えたいということなの…

町のスズメ 林のスズメ(第15号)

身近にいる鳥というのは、かえってその生態を知らなかったりするものだ。 先日、有料のふれあい動物園に行ったが、そこにいたのが一羽のカラス。ペットとして飼われていたようだが、事情があって引き取られて来たらしい。子供がエサやり体験をしたいというの…

ヤマネはねぼすけ? (たくさんのふしぎ傑作集)(第90号)

著者は和歌山の小学校の先生。学生時代からヤマネの研究をしてきた人だ。本書は、子供たちと一緒にそのヤマネの生活を調べた記録を元に書かれたもの。 春、みんなで近くの山にのぼって、森の木に巣箱80個を設置する。 観察を続けた3ヶ月後のある日、2匹…

あっ、流れ星!(第53号)

流れ星といえば、いつだったかの冬、夫がふたご座流星群を見に行こうとか言い出して、大きな公園に繰り出したことがあった。市街地から離れたところなら、きれいに見られるだろうという目論みだったのだが、思いのほか街灯が明るくて、じゃあ帰ろうかと引っ…

日本じゅうの4月1日(第37号)

4月1日といっても、エイプリルフールの本ではない。 今、この号を手に取る人はあまりいないと思うので、どんな内容か、表紙ウラの言葉から引用してみる。 ● この本ができるまで 日本は南北にほそ長い国です。冬、長いあいだ雪にうもれる北国もあれば、ぜん…

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代(『桜島の赤い火(第334号)』)だったように思う。 降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きはいちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化するということを、否応無しに実感させら…