こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

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種採り物語(第233号)

『種採り物語』の種は、野菜の種だ。ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ネギ。菜っ葉にトマト、キュウリ、カボチャ、ジャガイモ。みんなスーパーでフツーに見かける野菜だけど、種など見たことがない。カボチャはあるか。トマト、キュウリの種は口に入るだけだ。 …

じいちゃんの自然教室(第209号)

『ぼくの島(第138号)』で紹介した『おじいちゃんの小さかったとき』は、おじいちゃんが孫にむかし語りをするおはなしだった。むかし話を聞くのもいいけれど、おじいちゃんと一緒に遊べたらもっと楽しいのではないだろうか。自然のフィールドの遊びなら、な…

大きな 巨きな木(第270号)

地球に生きているすべてのなかで、もっとも大きな生き物が、じつは木などだということを、みなさん、知っていましたか?ゾウだって、クジラだって、木の大きさにはかないません。 「たくさんのふしぎ」は、判型が決まっているし、ページ数もほぼ決まっている…

じゃがいものふるさと(第275号)

夕食は、ゆでたジャガイモ、ニンジンと白米。そしてスープは、きょう、おばあちゃんがさばいてくれた、牛肉のこま切れとパスタのはいった、自家製チーズをのせた野菜スープだった。なんだか肌寒いなと思って、柱の温度計を見ると、氷点下3度。 「ジャガイモ…

石のたんじょうび(第212号)

作者のスティーヴン・ギル氏、この人も間違いなく「石に執着する」人だろう。私もたいがい「石に執着する」をキーに何度となく記事を書いているけれども*1。 作者が石に惹かれる理由、それは「変わらない」というところかもしれない。 ほんとは、このまん中…

風を見たことある?(第260号)

気づいたのは、写真にうつる案内標識がきっかけだった。国道398号の案内標識。 迫(Hazama)29km 中田(Nakada)20km と書かれている。見たことのある地名だ。「防犯協会志津川支部」作成の「自転車は登録鍵かけ心がけ」の標語看板。志津川町もとい南三陸町…

“豪華客船ミステリーツアー”へようこそ!(第234号)

『その先どうなるの?(第142号)』では架空の遊園地「きりなしランド」を、『7つ橋のぎもん(第180号)』では古都ケーニヒスベルクを案内してくれた作者が、次に手掛けるのはなんと豪華客船クルーズ。作者は「数学旅行作家」を名乗るからにして、ただのク…

オルカの夏(第232号)

そのころ、ぼくは何の目的もなく、だらだらと毎日会社にかよっていました。次の夏休みにモンゴルで馬に乗るという計画だけが楽しみでした。 5月のある晩、夢をみました。枕元にごろりとオルカが横たわっています。 あまりに妙な夢だったので、朝目ざめた時…

プーヤ・ライモンディ 100年にいちど咲く花(第245号)

プーヤ・ライモンディは、アンデスの高山帯に生息する植物だ。「百年に一度花を咲かせる」と言われ、開花した後は枯れてしまう。まるで竹や笹のような植物だ。 アンデスの女王、百年に一度だけ咲く花 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト 著者は、ワラ…

なぞのサル アイアイ (たくさんのふしぎ傑作集)(第226号)

『9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく(第415号)』の「作者のことば」には、次のようなことが書かれている。 15年前の『なぞのサル アイアイ』(たくさんのふしぎ傑作集)の最後の頁は、アイアイが食べるラミーの実の小さな芽でした。…

雪がとけたら 山のめぐみは冬のごちそう(第243号)

先日近隣の山に登っていたら、上空をヘリが飛んでいた。ふもとの駐車場に警察が来ていたので、捜索救難だと思われる。下りてからニュースを見ると、山菜採りに出かけたまま行方が分からない70代の男性が見つかったということ。遺体の回収が行われていたよ…

人と自然がであう場所  僕のデナリ国立公園ガイド(第297号)

ダーウィンが来た!を見ていたら、野村哲也氏*1があらわれた! 「南米で目撃!ホタル謎の大乱舞」 - ダーウィンが来た! - NHK で「情報を寄せた日本人写真家」として、取材スタッフと共に撮影に臨んでいた。世界各地を飛び回っている野村氏のこと、ダーウィン…

サーカスの学校 (たくさんのふしぎ傑作集)(第247号)

これは、サーカスに魅せられた人たちのお話だ。 サーカスといっても本書で紹介されるのは、「ヌーヴォー・シルク」につながる新しい形のサーカス。人のパフォーマンス中心のもので、動物を使った曲芸は一切出てこない。ある夏の日、公演を見た作者はすっかり…

漁師とヒグマ(第287号)

NHKスペシャル「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」を見た。 NHKオンデマンド | NHKスペシャル 「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」 知床の海でサケやマスをとってきた一人の漁師が、ヒグマとともに生きる様を描いたものだ。その漁師…

おおふじひっこし大作戦 (たくさんのふしぎ傑作集)(第206号)

3月末、東北地方に引越した。夫の転勤が決まったからだ。 このご時世に? このご時世でも。 会社というところは、長年の慣例と既成概念を変えられないものらしい。どこぞの元検事長様のように「余人をもって代えがたい」業務があるでなし、定期異動なぞ不要…

飛行船にのって(第296号)

本というのは失われたもの、失われゆくものの記録でもあると思う。「たくさんのふしぎ」はニッチなもの、耳目を集めにくいトピックを取り上げているが、そういう事物のなかには、ひっそりと消えてゆくようなものもある。 飛行船もその一つだ。 もちろん、飛…

おぼん ふるさとへ帰る夏(第293号)

子供には、“おばあちゃんち”がない。夫の両親も私の両親も健在なので、おばあちゃんちはある。しかしながら、双方とも、ふるさと、帰省という言葉からかけ離れた場所だ。私の実家は田舎っぽさが残る地域だけれど、ニュータウンと呼ばれる住宅地。夫の実家に…

水のかたち(第214号)

山の朝は美しい。 朝焼けに染まる山肌。輝く緑。朝露が日を受けてきらきら光っている。白山に登った時もそうだった。足もとの草には、蜘蛛の巣。露がおりて繊細なレースを作り出している。写真に撮っておきたいと思った。だがしかし。カメラに残されたのは、…

砂漠の花園(第224号)

ここ最近の「ダーウィンが来た!」は、なぜか鳥ばかり連続している。 第568回「住まいは東京!幻のタカ」(※リンク切れ) に始まり、 第569回「進化するだまし合い!鳥の托(たく)卵最前線」(※リンク切れ) 第570回「ヒナを守れ!島を作る鳥」(※リンク切れ…

メコン 源流をもとめて(第284号)

私は川の絵本が好きらしい。 加古里子の名作『かわ』に始まり、村松昭の「鳥瞰地図絵本」シリーズは全部読んでやっている。たまがわ、ちくごがわ、ちくまがわ・しなのがわ、よしのがわ、いしかりがわ、よどがわ、あらかわ・すみだがわ。子供も読み返したりし…

おじいちゃんのSLアルバム (たくさんのふしぎ傑作集) (第239号)

撮りためた写真を元に、自分の「SLアルバム」を作ってみた。 子供が鉄道好きだったこともあり、まあまあSLの写真がある。人物をカットしたためトリミングが変な写真も多いが、もちろん腕がマズいせいもある。 D51426 C57180 C57186 台糖355號蒸汽機車(高雄…

一枚の布を ぐるぐるぐる(第285号)

『すてきなタータンチェック(第402号)』にも書かれているが、「タータン柄のスカート」はもともと男性用衣装だった。キルトと呼ばれるスコットランドの民族衣装だ。下着をつけず、つまりノーパンで着るものだった。キルトの元になったのは、Belted plaid(…

絵とき 生きものは円柱形 (たくさんのふしぎ傑作集) (第235号)

6月に、多摩動物公園の開園60周年記念講演会「生き物は円柱形──ゾウの鼻もライオンの足も、それからミミズも円柱形!」に参加してきた。息子含め小学生たちは真ん前のかぶりつき席、という贅沢仕様だ。 風船始めさまざまな小道具を駆使しての講演。子供たち…

クサレケカビのクー(第256号)

同僚の人が以前こんな話をしていた。 娘がネイルしてるんだけどカビ生えちゃってね〜。爪が緑になってるのよ。でも懲りずに削ってまた新しいネイルするんだよねー。止めようって気はないらしいわー。 私はネイルをしたことがないので知らなかったが、グリー…

トーテムポール(第257号)

小学生だった頃、校庭にトーテムポールが立っていた。 そびえ立つ木の工作物が、トーテムポールと呼ばれるものであることは知っていたが、どういう謂れのものなのか、文化的背景や由来などを知ることはなかった。 「作者のことば」を見ると、 ぼくが小学生の…

ウナギのふるさとをさがして(第244号)

夏休みが来た。宿題もやってきた。 どういう風の吹き回しか、初日からブッ飛ばして課題に取りかかり始めている。長期休暇恒例の「おすすめ本の紹介」も早々に仕上げた。書いたのは『ウナギのふるさとをさがして』。 冒頭には選んだ動機が書かれているが「丑…

ウミウシ (たくさんのふしぎ傑作集) (第221号)

夫が「まだ夫ではなかった」時、一緒に、どこだったかの海に遊びに出かけたことがある。 砂浜で砂を掘って遊んだり、箱メガネを使って生きものを観察したり。夏休みの小学生みたいなことをしていた。磯にはアメフラシがたくさんいて、触ると紫の液を吐き出す…

ぼくの南極越冬記(第250号)

つい先日、南極からハガキが届いた。 昨夏訪れた情報通信研究機構のイベントで「南極ゆうびん」をやっていたので、子供と一緒に自宅宛てに書いてみたのだ。「投函したハガキは船で南極に運ばれ、NICT職員が局長を務める南極昭和基地郵便局の消印が押印されて…

おじいちゃんのカラクリ江戸ものがたり(第299号)

『おじいちゃんのカラクリ江戸ものがたり』は、後に増補改訂されて『カラクリ江戸あんない』という本として出版された。 月刊誌は、いまいち読みにくいところがあるなあと感じていたが、『カラクリ江戸あんない』は、そこをていねいに描き直し、シーンも付け…

吸血鬼のおはなし(第288号)

受験シーズンも終盤にさしかかっているが、二十数年前の2月のある日、私は翌日の大学入試に備え、都内のホテルに宿泊していた。アラームをかけ、さあ寝ようと思ったところ、ヘッドボードにラジオが付いていることに気がついた。青春アドベンチャーを聴くの…