こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

201-300

トルコのゼーラおばあさん、メッカへ行く(第271号)

トルコに旅行したのは、かれこれ20年前。初めて訪れるムスリムの国だった。 正教徒の国(ギリシャ)からムスリムの国(トルコ)へ。バスで国境を越えるという経験も初めて。当時のパスポートを見ると、アテネを出発した後ギリシャ側のKipiを出国し、トルコ…

宇宙人に会いたい(第205号)

7年くらい前、はやぶさの帰還が話題になった時、私たちは鹿児島にいた。 はやぶさが打ち上げられたのは内之浦宇宙空間観測所。住んでいたところから遠くないこともあり、何回か施設見学に訪れたことがある。中にある宇宙科学資料館は、トリップアドバイザー…

ものまね名人 ツノゼミ (たくさんのふしぎ傑作集) (第238号)

本書の著者である森島氏も、『バシリスク 水の上を走るトカゲ(第316号)』の嶋田氏と同じく、偶然出会って一目で恋に落ちたものを追っかけ始めたクチだ。 仕事でボリビアに行くことになった森島氏は、前々からの憧れ、ヘルクレスカブトムシやモルフォチョウ…

鳥の巣(第229号)

ここ1年、子供の趣味に付き合ってバードウォッチングをしている。 夫がすぐに影響を受けて自分もやり始めた(登山のついでだが)のとは対照的に、私の方はいつまでも初心者の域から抜け出せないでいる。私は、本質的には「自然」に興味がないのだろう。その…

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)(第222号)

大根はエライ!高い! 今年の大根は高嶺の花。いつもなら今ごろ、おでんに煮物、鍋物、大根餅などなど大活躍しているはずなのに、今年と来たら、小さいくせに値ばかり張ってとても買えるものではない。生産者の皆さんも頑張っているのだろうが、こればかりは…

好奇心の部屋 デロール (たくさんのふしぎ傑作集) (第225号)

『モグラの生活 (たくさんのふしぎ傑作集)(第267号)』でいろいろ調べていて行き当たったのが「モグラ博士」のお話。 印象的だったのが、さまざまな動物たちの標本を、地道に収集することの大切さだった。先日参加したここのイベントでも、野外利用指導員の…

モグラの生活 (たくさんのふしぎ傑作集)(第267号)

表紙タイトルの「モグラの生活」、よく見ると“グ”の濁点がもぐらを模していてとても可愛らしい。 身近にいながら、これほど姿を見ない動物もないだろう。近所の河原の土手や近隣大学の構内などでモグラ塚は見かけるけれど、モグラ自体を見るのは皆無だ。どん…

しめかざり (たくさんのふしぎ傑作集)(第274号)

スーパーで買い物していたら、サッカー台に「年末お買い物チェックリスト」なるものが置いてあった。我が家は年末年始、毎年双方の実家で過ごしており、正月準備をすることはない。このリストは不要のものということになるが、何となく気になって持ち帰って…

あったよ! 野山のごちそう(第291号)

一緒に行こうよ"こくわ"の実 また採ってね ーDREAMS COME TRUE「晴れたらいいね」より 野山のごちそう……といえば、動物植物キノコなど、いろいろなものが思い浮かぶ。 英題にあるのは"Wild Fruits and Nuts"。だから『あったよ! 野山のごちそう』は、木の実…

こおり (たくさんのふしぎ傑作集)(第281号)

『ゆきがうまれる(第383号)』に先駆けて描かれた、同じコンビによる「氷」の本。 この号も雑誌と傑作集の表紙が異なっている。傑作集の方がインパクトはあるけれど、青系でシンプルにまとめられた雑誌の方が、私は好きだ。透かした氷の中に、ペンギンらし…

ことば観察にゅうもん (たくさんのふしぎ傑作集)(第277号)

『みんなでつくる1本の辞書 (たくさんのふしぎ傑作集)(第338号)』で、 ところが、この号だけ(だと思うが)は、48ページなのだ。 と書いたが、この『ことば観察にゅうもん』も同じく48ページ構成だ。 ちなみに、この本でイラストを担当する祖父江慎氏は『…

ニワシドリ あずまやを作るふしぎな鳥(第276号)

作者の鈴木まもる氏は、鳥の巣に特化した絵本を多く描いている。 本号も、鈴木氏の本領が発揮された、素晴らしい絵本だ。鳥そのものもさることながら、やはり圧巻は巣の絵だ。いや、ニワシドリのそれは巣ではない。あくまで“あずまや”だ。あずまやを作るのは…

夜へ行こう(第278号)

夜が好きだ。 就職して一人暮らしをしていた頃、夜を自由に使えるのがうれしくて、都会の夜を過ごすのがうれしくて、あてもなく街をうろついたことがある。都会といっても、そこは学生時代を過ごしたなじみの街。実家暮らしの頃は決して見ることのなかった深…

アリクイサスライアリ(第267号)

身近にいながら、アリほど“知らない”虫もない。 知っていることといえば、地中に巣を作るとか、集団生活してるとかくらい?アリとハチが仲間というのも、そういえば同じような集団生活してるなーとか、ヒアリでアナフィラキシーってそういやハチ毒と同じだな…

シュヴァル 夢の宮殿をたてた郵便配達夫 (たくさんのふしぎ傑作集) (第215号)

子供に戦国時代ブームが来ていた頃、戦国ごっこを繰り広げていたことがあった。 実物を真似して自分の考える布陣図を書き付けたり、厚紙と棒で軍旗を作ったり、プラレールの橋脚を使って城郭っぽいものを建てたり。 思い返せば自分も、理想の家を考えてはお…

アジアの台所たんけん(第213号)

3ヶ月分のパンを、皆で一斉に手作りするトルコの村*1。食事の順番こそ男性優先だが、二人で協力して夕食作りをするスリランカの夫婦。親類や近所の女の子たちに囲まれ、料理を教えながらごはん作りをするインドのおばあちゃん。家族総出で、市場に出すソム…

虹をみつけに(第248号)

これは「虹の科学」ではなく、いわば「虹の芸術」の本だ。 昔の西洋や中国などでも、虹は神話や伝説、絵画や彫刻の題材として取り上げられてきたが、なぜか日本では、虹の絵さえ、中世になるまでほとんど描かれなかったという。 確かに、西洋画では何度も見…

ぼくは少年鉄道員 (たくさんのふしぎ傑作集) (第242号)

この号は珍しく、雑誌と傑作集の表紙が異なっている。 雑誌は、地味目の背景に正面からやってくる列車の色が映えて、かわいらしい感じだ。傑作集は傑作集で、空の色と列車のカラーと地面の緑が調和してとても美しい。どちらも捨てがたい。 本の舞台は、ドイ…

変形菌な人びと(第219号)

変形菌とは、粘菌とも呼ばれ、動物的な性質と植物的な性質を併せ持つ、不思議な生物である。 学生時代、のちの夫と国立科学博物館に行ったとき「森の魔術師 - 変形菌(粘菌)の世界 -」展をやっていて、シャーレに入った粘菌をもらえたので、それぞれ持っ…

海べをはしる人車鉄道(第261号)

子供が鉄“道”を邁進していた頃、本号の作者、横溝英一氏の本には大変お世話になった。福音館から出ている本はすべて読んでいるし、小峰書店の本もほとんどを読んでやっている。横溝氏の描く線や色づかいは、きちっとしていながらも温かみがある感じで、読ん…

おかし (たくさんのふしぎ傑作集) (第300号)

300号という記念すべき本が、このテーマで、このお二人の手で作られたというのは、幸せなことだと思う。 内容としては、他の「ふしぎ」のように、未知の世界を知って感心するとか、驚かされるということはない。おばあちゃんちに来たような、ホッとする時間…

ぼくの影をさがして(第216号)

子供のころほどではないが、影というものの不思議さに、とらわれることがある。 影を使った美術作品は、いつまで見ても飽きない。子供も楽しんでいた「動きのカガク展」では、 クワクボリョウタの《ロスト #13》という作品に魅入られてしまったし、「鉄道美…

かくれんぼ(第249号)

これは植田正治の写真に「かくれんぼ」をテーマにした文章を付けた、写真絵本だ。 『生きる(第342号)』はできている詩に、絵を付けたものだった。 一方、こちらは写真を元に、文章を書いたもの。 詩を元に絵を描くというのは、案外難しい作業だと思う。詩…

土の色って、どんな色? (たくさんのふしぎ傑作集)(第252号)

著者、栗田宏一氏の作品を、2回ほど見たことがある。 作品とは?と思われるかもしれないが、各地で採集した土を使って、こういう作品を作っているのだ。 SOIL LIBRARY / JAPAN - YouTube 最初に見たのは、東京都現代美術館の常設展。《ソイル・ライブラリー…

どうして、お酒飲むの?(第204号)

ホントにどうして、でしょうねえ……おいしいから、かな? 私は酒飲みの端くれで、若いときは失敗も数多くあった。恥ずかしくて思い出したくもないことだ。晩ご飯の買い物する時、その日飲みたい酒に合うおかずから考える始末。お察しである。 生活を一変させ…

カステラ、カステラ!(たくさんのふしぎ傑作集) (第251号)

子供の好みはわからない。瓦せんべい系は好きなのに、クッキーは食べなかったり。アイスクリームは食べるのに、生クリームのケーキは嫌いだったり。ケーキは食べないくせに、カステラは大好きなのだ。 カステラといえば、長崎。長崎にはこれまで何回行ったこ…

コアジサシ ふるさとをなくした渡り鳥(第266号)

“ふるさと”というのは、日本にある「営巣地」。 コアジサシは春、日本に渡ってきて繁殖期をむかえ、子育てをするのだ。 著者は野鳥調査をする中で、子育て中とおぼしきコアジサシたちが、不自然な方向に飛び去っていくのを目撃する。追って捜索してみると、…

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集) (第246号)

本書は、”ノースウッズシリーズ”の最初の作品だ。 出版順は、 『ノースウッズの森で(第246号)』 『春をさがして カヌーの旅(第253号)』 『森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して(第330号)』 『カリブーの足音 ソリの旅(第381号)』。 つい最近、…

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)(第228号)

先日、前年度のプリント類を整理していたら、夏休みの「おすすめの本を紹介する」宿題が出てきた。題材はこの『ツバメ観察記』。子供は文を作るのが苦にならないらしく、与えられた用紙以上に書くことが多い。1年生のときなど、同じ「おすすめ本紹介」の宿…

春をさがして カヌーの旅(第253号)

『日本じゅうの4月1日(第37号)』で「4月1日に子供と家のまわりを観察してみる」と書いた。この日は近隣の県に出ていたので、そこでの観察について「日本中の4月1日」風に記してみる。出かけたのは千葉県にある「我孫子市鳥の博物館」。我孫子駅から手賀…