こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

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過去と未来とわたしたち(第457号)

『宇宙とわたしたち(第385号)』のきょうだい本といえるものかもしれない。 私たちの体を作る物質は、100億年間も宇宙をめぐってきたものです。宇宙の中で、星や星間ガスと形を変えながら、100億年以上の時間をかけて、めぐりめぐって、いま、私たちの体の…

津津浦浦(第456号)

ぼくは大の鉄道ずきだ。あちらこちらの路線の、いろいろな列車に乗るのがすきだ。列車の写真をとるのもすきだ。 野坂さん、のっけから乗り鉄撮り鉄宣言ですか……。 次のページは、 ぼくがこれまでに乗った鉄道路線をごらんいただこう。 ですよ? 「ぼくが愛用…

字はうつくしい わたしの好きな手書き文字(第455号)

冬休みがきた。 中学に入っても相変わらず出るのが書き初めの宿題(『みらくるミルク (たくさんのふしぎ傑作集)(第131号)』)。ていねいに書くのが苦手な上、お習字の習い事などしたこともない子供が、数時間ぽっちの書写の授業だけで、まともな書を仕上げ…

ヘリコプターのしくみ(第454号)

主役はドーンとど真ん中真正面にご登場。 衒いのない表紙、そしてタイトル。紛うことなくヘリコプターが主人公の絵本だ。 表紙の絵、よくよく見ると操縦席に人の影が見えるのだが、あくまで脇役。 ヘリコプター(とそれに類するもの)が登場しないページはほ…

名前のチカラ(第453号)

名前をつけてやる 本気で考えちゃった 誰よりも立派で 誰よりもバカみたいな ースピッツ「名前をつけてやる」アルバム『名前をつけてやる』より 人生でもっとも悩んだ名前。 それは子供の名付けだ。 お腹にいるときは夫と意見が割れ、なかなか決まらなかった…

なぜ君たちはグルグル回るのか 海の動物たちの謎(第452号)

今年も彼らがやってきた。 マガンたちだ(『からだの中の時計(第440号)』)! 今年の初飛来確認日は9月17日。去年より1日だけ早い。 10月に入り、続々と到着し始めている。 よくもまあ何千キロも離れた繁殖地から、毎年毎年ジャストなタイミングで渡って…

ヒキガエルとくらす クロちゃんとすごした18年(第451号)

今年度のラインナップをながめてた時、「ヒキガエルとくらす」が目に飛び込んできた。 『アマガエルとくらす (たくさんのふしぎ傑作集)(第168号)』の山内さんだな、と思ったら案の定だ。アマガエル14年なら、ヒキガエルは18年!どんだけカエル好きなんだ。…

星空をながめて(第450号)

英題は"IMAGINATION OF THE STARRY SKY"。 星空の「科学」の絵本ではない。 「作者のことば」で言われるとおり「星空を眺めてきた人類がどんな想像を楽しんできたのかを描こう」とする本なのだ。 主人公はルナ。10歳の女の子*1だ。夏休み、八ヶ岳の高原近…

石は元素の案内人(第449号)

子供は「石に執着する子」。 おまけに、いま学校で学習してるのは、元素など化学分野だ。 この『石は元素の案内人』に飛びつくだろうなと思ってたら、案の定届いてすぐに飛びついた。 学校にも“石友”がいて、石談義や石の交換みたいなのもしてるらしい。先日…

植物でシャボン玉ができた!(第403号)

7月の日曜日、子どもをつれて、近くの公園にでかけました。 本号はこんな軽やかな一文から始まる。しかし実はすごい本なのだ。 お話の枕は、著者が小学1年生のときの思い出。高柳さんは1948年生まれなので、かれこれ60年以上前のことだ。 掃除の時間のこと…

ホタルの光をつなぐもの(第448号)

今年度のラインナップで福岡先生の名前を見た時。 この号の記事はきっと書きあぐねるだろうなあと思っていた。読了してその予断をいい意味で裏切る……こともなく、やっぱり書きあぐねている。 私にとって福岡伸一は、魅力を感じられるサイエンスライターでは…

うんこ虫を追え(第447号)

舘野さんが、満を持して「ふしぎ」に登場。 しかもうんこ虫と来たよ。 舘野鴻氏との出会いは『しでむし』が最初だった。シデムシという“日陰者”に、美しくスポットを当てた作品。ひと目でつかまれた。その後も『ぎふちょう』『つちはんみょう』『がろあむし…

地球縦断の旅 北極から南極へ(第446号)

“世界がどれだけ同じで、どれだけ違うのか(『カーニバルがやってきた!(第279号)』)” 自分の目で確かめてきた男が、本号の作者、石川直樹だ。 ときに2000年、22歳の時だ。 「POLE TO POLE」と名づけられたその壮大な旅は、北極点から南極点まで一年をか…

家をまもる(第445号)

“houseとhomeってどう違うの?” お。そういう質問が出てくるようになったのか。 子供は中学生。英語の学習真っ最中*1だ。 この号のタイトルは『家をまもる』。こんな文章から始まる。 家は、その中で人がくらす入れものです。 家は、雨や嵐、地震などの自然…

都会で暮らす小さな鷹 ツミ(第444号)

ツミ。 野鳥に詳しくない方は初めて聞く名前ではないだろうか。 「ダーウィンが来た!」で取り上げられたことがあったので、覚えている方もいるだろう。 「住まいは東京!幻のタカ」 - ダーウィンが来た!・選 - NHK 私も子供が鳥屋じゃなかったらたぶん知らな…

世界の納豆をめぐる探検(第443号)

高野さんが!たくさんのふしぎに!! 今年度のラインナップを見たときの驚きときたら。思わず声をあげてしまったくらいだ。 角幡唯介(『極夜の探検(第419号)』)のときもびっくりしたけど、高野さんはそれ以上だった。まあ二人は探検部の先輩後輩同士、い…

コンクリートってなに?(第442号)

朝、ニュースを見てたら、コンクリートに関するトピックが紹介されていた。 『NHK NEWS おはよう日本』で自己治癒コンクリート『Basilisk』が紹介されました。 | AIZAWA 微生物を利用してひび割れなどを“自己治癒”するという。夢のような技術だ。 自己治癒コ…

からだの中の時計(第440号)

今年も彼らがやってきた! 彼らとは渡り鳥。 マガン、シジュウカラガン、オオハクチョウ、コハクチョウ、オオヒシクイなどなど……そして種々のカモたち。 なかでも大好きなのがマガンだ。恐ろしいほどの数で見せつけてくる群れのパワーも、決して警戒心を緩め…

シャチのくらし 伝統を受けついで生きる(第441号)

表紙からつかみは完璧だ。 シャチというと大海原でゆうゆうと泳ぎまわるイメージがあるが、主人公シャチの姿は緑濃き森に沈んでいる。一見沈んでいるようには見えるが、黒々とした体躯を光らせ、白いしぶきを上げる様子は存在感たっぷりだ。 なかの写真も素…

コケのすきまぐらし(第439号)

先日、子供の帰宅時間に間に合わなくて、駐車場で待ちぼうけ、ぽけーっと地面を見てる様子に出くわした。 ー実力テスト、間違えたわーこれ。 なんの話? ー雄株と雌株。やっぱ逆と思って書き直したら間違った。 あーコケ、ね。 子供は中学生。なんちゃらテス…

南米アマゾン 土を食う動物たち(第418号)

アマゾンは謎だ。 今や世界最大級となったオンラインストアが、その名を冠したのもわかる気がする。アマゾンは世界最大規模を誇る河川であり、謎に満ちたわくわくするような場所なのだ。この本だってアマゾンと名はついてるけれど、舞台となるのはほんの端っ…

家をかざる(第409号)

現在は残念ながら終了してしまったが、昨年の一斉休校期間に合わせて「たくさんのふしぎ試し読み」という企画が公開されていた(『ポスター(第258号)』参照)。 参照エントリーで、 ページ見開きの折れ目、「のど」の部分がないと、こんなにきれいに見える…

かんころもちと教会の島(第438号)

かんころもちは長崎は五島列島の郷土菓子。 本号はかんころもちをめぐる、土地と時間のお話だ。 舞台となるのは四つ。「佐世保のお菓子屋さん(※地名は本文では明記されていない)」「中通島」「小値賀島」「野崎島」だ。 作者は、いつもかんころもちを買う…

ギアナ高地 謎の山 テプイ(第437号)

表紙の濃い緑、一見地味に感じられると思うが、目の前で見るとなかに吸い寄せられてしまいそうなパワーがある。おもて表紙片面だけでいっぱいいっぱい。これを両面見開きで展開したら、すごいことになってしまいそうだ。 中の写真も圧倒的なエネルギーに満ち…

釣って 食べて 調べる 深海魚(第436号)

まず深海とは? 深海とは海面から200メートルより深い海のこと。 明確な定義があるわけではないらしい(深海 - Wikipedia) 。 日本は深海がご近所にある国。相模湾、駿河湾、富山湾、室戸沖など、数十分も船を走らせればすぐ深海にアクセスできるのだ。深海…

日本海のはなし(第410号)

『日本海のはなし』。 いつもながら「たくさんのふしぎ」のタイトルはシンプルすぎる。 知らんで書店や図書館にあったとしたら、私は手に取るだろうか。興味を引くタイトルでなかったとしても、各号欠かさず読む(読みたいと思う)のは、ひとえに「たくさん…

ハチという虫(第435号)

今年度のラインナップを見て、もちろん楽しみにしていた。 『ぼくが見たハチ(第161号)』で、寄生バチに興味をもった身としては、楽しみにしないわけがない。 期待に違わず、素晴らしい絵本だった。 どのハチもキラキラ輝いている。 ともすれば暗くなりがち…

山里でくらす 中ノ俣の一年(第434号)

山菜採りもするといって出かけていった(『写真の国のアリス(第192号)』参照) 我が家の男どもは、フキノトウだのよくわからない草だのを袋に詰めて帰ってきた。 よくわからない草(名前忘れたけど、食べられる草)はおひたしに、フキノトウは天ぷら風にし…

ひと粒のチョコレートに(第433号)

菓子づくりはむずかしい。分量をきちっと計り、レシピどおり手順を踏んでるつもりが、うまくできない。 とくに厄介なのがチョコレートの扱いだ。テンパリングなんて繊細すぎる作業に懲りて、チョコレート菓子を作るのは早々にあきらめた。プロのもの買ったほ…

海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原(第432号)

大きな地震があった。 こんな規模の地震は初めてだ。とりあえずという感じの対策はしていたけど、食器棚が倒れてなかの物がだいぶ割れてしまった。 先の震災は鹿児島にいたし、その前も比較的地震の少ない地域にいた。東京含め関東で暮らしていた頃も、さい…