わが家は転勤族のため、家を持ったことがない。
持ち家がないのは気楽だなーと思う反面、自分ちがあったらこんなことするのに、あんなことするのにと想像することがある(作り付けの本棚をつくるとか)。
借家住まいだと、子供に小言をいうことも増える。
やれ汚すなだの、やれ傷をつけるなだの。
家を探す時はまず夫の通勤のことを考える。それから子供の学校のこと。間取りや古さは二の次だ。
それでもすぐに引越しを考えたくなるような、ひどい家に当たったことはない。
作者によると、家は「この世界にすがたをあらわした、もう一つの自分」。
ヤドカリが自分に合った殻を見つけるように、私たちは、もう一つの自分(=家)をちゃんと見つけているのかもしれない。
タイガー立石は「ひとところへの安住・現状への満足は拒否」という姿勢を貫いたという。彼はこの本の最後でこんなことを書いている。
家は、ひとりひとりの頭の中に生まれた<<願い>>が、元気に、うつくしくそだったものでなくては、いけないのです。