ここ数年で、夫の父方祖父母が相次いで亡くなった。二人とも80代後半だった。平均寿命を超えて長生きしたことになる。
夫の母方祖母は90を過ぎてなお矍鑠としている。足腰こそ弱っているが、食欲旺盛で認知症とも無縁。施設でお世話になりつつ元気に暮らしている。
対して、私の方の祖父母は大学卒業前に、4人とも亡くなっている。
死というものを初めて実感したのは、その祖母の死だった。当時私は12才。
取り分けかわいがってもらっていたので、本当に悲しくて葬式の間じゅう泣いていた。一方で祖母の冷えきって硬くなった身体に触れた時、これが遺体なんだ!私は初めて人間の遺体に触れている!と思った覚えがある。悲しみを感じる心の片隅には、初めて訪れる火葬場、火葬という儀式に対する好奇心があった。
夫の祖父母の葬儀には子供も参列した。
義父は棺の中(つまりご遺体)を子供には見せない方がいいのではないかと言っていたが、何と言うかやはり……私の子供も「初めてのお葬式」に対する好奇心を隠せない様子だった。
曾孫(私の子供)が生まれるのを楽しみにしていた、曾孫に会えたことをうれしそうに話していた、というエピソードを聞いて涙する私を尻目に「初めての火葬・骨上げ」を興味津々で見つめる息子。自身の死は、ひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんが子供にくれた最後の、そして最大の贈り物なのかもしれない。

- 作者: 柳生弦一郎
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