こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

100まで生きる? (たくさんのふしぎ傑作集)(第44号)

ここ数年で、夫の父方祖父母が相次いで亡くなった。

二人とも80代後半だった。平均寿命を超えて長生きしたことになる。

夫の母方祖母は90を過ぎてなお矍鑠としている。足腰こそ弱っているが、食欲旺盛で認知症とも無縁。施設でお世話になりつつ元気に暮らしている。

対して、私の祖父母は大学卒業前に、4人とも亡くなっている。

死というものを初めて実感したのは、その祖母の死だった。当時私は12才。

取り分けかわいがってもらっていたので、本当に悲しくて葬式の間じゅう泣いていた。一方で祖母の冷えきって硬くなった身体に触れた時、これが遺体なんだ!私は初めて人間の遺体に触れている!と思った覚えがある。悲しみを感じる心の隅には、初めて訪れる火葬場、火葬という儀式に対する好奇心があった。

 

夫の祖父母の葬儀には子供も参列した。

義父は棺の中(つまりご遺体)を子供に見せない方がいいのではないかと言っていたが、何と言うかやはり……私の子供も「初めてのお葬式」に対する好奇心を隠せない様子だった。

曾孫(私たちの子)が生まれるのを楽しみにしていた、曾孫に会えたことをうれしそうに話していた、というエピソードを聞いて涙する私を尻目に「初めての火葬・骨上げ」を興味津々で見つめる息子。

自身の死は、ひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんが子供にくれた最後の、そして最大の贈り物なのかもしれない。