仮説実験授業というものに、興味をもっている。
子供には、できれば科学を好きになってもらいたい。たくさんのふしぎを読み聞かせするのも、そういう理由からだ。
でも本を読むだけではダメだ。目で見て、耳で聞いて、臭いを嗅いで、口で味わって、手で触れて…要は感覚に訴えかける作業がないと楽しくない。好きにはなれない。
家で実験するのも限界があるし、何より親も面倒なので、科学館でのイベント(安い!)や学習塾の理科実験教室(無料!)にはずいぶんとお世話になっている。
仮説実験「授業」というからには、学校でないと、先生でないとできないのかな、とも思われるが、『熱はどこにたくわえられるか』というブックレットを読んで、これなら家でもできるかも?とやってみたくなった。
授業のとっかかりは石蒸し料理から始まる。石をがんがんに熱して、それを水と冷凍枝豆が入った鍋に投入する。そうすると…あら不思議、あっという間に茹で枝豆のできあがり。
次の実験は、100℃で沸騰しているお湯に、100gの銅を入れて100℃に熱したものを、水100gの中にいれたら、温度は何度くらい上がるかというもの。100gの銅というのはなんと十円玉22枚で代用するのだ。
続いて、100gの銅に替え、100gのアルミニウムで実験。100gのアルミというのはもうお分かりだと思うが、1円玉100枚で代用する。目的は、銅とアルミニウムを比べることによって「重さが同じなら、たくわえられる熱量もおなじか?」を調べること。
今度は同じく銅とアルミを使って「体積が同じなら、たくわえられる熱量も同じか?」という実験。
これらの実験から「銅とアルミニウムでは、重さや体積を同じにしても、同じ100℃にしたときに含まれる熱量はちがう」という結論が導き出された。
真骨頂はこの後だ。なんと続けて、
<熱というのは、原子や分子がはげしく運動しているためにおきるものだ>ということから、銅とアルミニウムの原子の数を同じくらいにしたら、そこに含まれる熱量も同じになるかもしれない、という仮説を立て「たくわえる熱量は原子の数できまるか」というところまで実験するのだ。
原子の数というところでは「モル個」の単位まで説明する。モル…molって、高校の化学で頭が痛くなった覚えしかないよ!!
というわけで、銅100gに含まれる銅原子の数「約1.6モル個」と、同じ1.6モル個のアルミニウム原子が含まれる42gのアルミを使って、実験スタート。結果は…銅もアルミも同じだけ水の温度が上がりました〜パチパチパチと、めでたしめでたしで終わった。
と思いきや、本当に「原子の数」で決まるか?というだめ押し実験が続く。今度は鉛と比べる実験だ。鉛はこれまた釣具屋で買ってきたおもり、という実用品。
最後はまた、しゃぶしゃぶ用のおもちで「もちしゃぶパーティ」という石蒸し料理をもって実験は本当に終了。
子どもたちの感想の、なんと楽しそうなこと。
子供にとって勉強は、楽しいことばかりではないのだろうが、楽しいと感じることが多いといいなとは思う。

- 作者: 板倉聖宣,大黒美和,犬塚清和
- 出版社/メーカー: 仮説社
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つらつら書いてきて、家でもできそうとは思ったけれど…石蒸し料理だけで終わってしまいそうだ。それでもいいのかもしれないが。
さて、子供はこのブックレットではなく、

- 作者:都築卓司 文
- メディア: 雑誌
を熱心に読んでいたのだが、電子レンジのページではたと止まり、質問を発した。
「電子レンジの光って見ちゃいけないの?ほら…太陽と同じで目に悪いの?」
えーと、息子よ、それはただの電球の光だよ。庫内を照らす灯りだよ。安心して見ているがいいよ。
目には見えないもの(マイクロ波)というのは、なかなか説明が難しいものだ。