こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ぼくは盆栽(第126号)

これは盆栽についての本ではない。

『ぼくは盆栽』というタイトルどおりの本である。すなわち、

ぼく=盆栽

"I am a Bonsai"

ということ。

巻頭にはこんな言葉が書いてある。

そんな盆栽がすきですきでとりつかれてしまったぼくは、ある時、盆栽の精となって、旅に出ました。

「ぼく」の名前は、盆栽小僧の松ちゃん

「旅」というのは、東京から京都までの500km、昔の東海道五十三次を、1ヶ月あまりかけて歩くという徒歩旅行。リヤカーに53個の盆栽を積み、各宿場ごとお世話になった人々にひとつずつ手渡していくという。

盆栽の精こと松ちゃんのコーディネートは、2ページ目に「松ちゃん大図解」として載っている。下半身の重要アイテム「鉢パンツ」の重さはなんと約15kg!トラベルセット一式が詰められている。

私も学生時代、サークルのグループで1週間くらいの徒歩旅行をしたことがあるが、皆で手分けしても、荷物は一人10kgくらいにはなった。これを背負って1日およそ20〜30km歩くというのはけっこうしんどい。ザックでもキツいのに、鉢パンツ15キロまとって徒歩、というのは正気の沙汰ではない。

当然のことだが、途中職務質問されていたり、泊めてくれる旅館が見つからなかったり。徒歩旅行で大変なのは、やはり宿なのだなあと(私はテント泊だったが、適当な設営場所を見つけるのに苦労した)。でも、地元の人の、身にしみるほどの親切に触れられるのは、徒歩ならではの醍醐味だと思う。

作者が旅したのは1985年。それから30年あまりが経った。各地に進呈された盆栽たちは今どうしているだろう。元気で暮らしているだろうか?