こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)(第228号)

先日、前年度のプリント類を整理していたら、夏休みの「おすすめの本を紹介する」宿題が出てきた。題材はこの『ツバメ観察記』。子供は文を作るのが苦にならないらしく、与えられた用紙以上に書くことが多い。1年生のときなど、同じ「おすすめ本紹介」の宿題を裏まで書いていた。廊下に貼り出されているのを見て、皆に見てもらうという前提なら、今回は用紙内に収まるように「指導」しようと思っていたのだった。

だが正直、作文の指導なんて気が進まないことだ。巧拙はともかく、低学年のうちは書きたいことを書きたいだけ書けばいいんじゃん?下手に指導して、やる気を削ぐのも逆効果だし……と(親のスタンスとして)思っていた。

取りあえず好きに書かせてみたら、案の定裏面までびっしり小汚い字で綴っている。そこで、あのね、これは皆に見てもらうものらしいよ、だから裏まで書いたら読めないでしょ?いっぱい書いてすごいと思うし、伝えたいことがたくさんあるのはわかるけど、先生のサンプル(本の内容で一文、面白かったところを一文)を参考に、ちょっと作り直してみない?と“提案”してみた。

書き直しを拒否されたらあきらめる、気分よくできるようならやらせる……と事前に想定していたが、案外すんなり納得して、すらすらと書き直し始めた。

ツバメかんさつきは、ツバメの子そだてや、海をわたってとうなんアジアに行くところなどをかいています。

おもしろいところは、生まれたときは5わだったのに20日目にはべつのひなが1わふえていたと言うところです。

伝わるかどうかは別として、まあまあ上手くまとめたもんだなーと我が子ながら感心してしまった。

「20日目にはべつのひなが1わふえていた」というのは、観察中のツバメの巣に、他の親から巣立ったばかりのヒナが、ちゃっかり居座ってエサをもらったりしていたことだ。親鳥は我が子でないそのヒナに警戒音を発して追い出そうとするが、最後にはあきらめて受け入れてしまうのだ。

その「巣立ちビナ」は、親鳥がエサを取りに行くとき、一緒に飛んでいったりしたので、エサ取りの練習でもしていたのかもしれない。数日後、そのヒナは本当に巣立っていくが、他の子のサポートも受け入れるという、子育ての奥深さを感じられる一場面だった。

 

さて、授業参観のとき、貼り出されたその宿題を見ていたが、ふと隣のクラスのに目をやると、1行を二つに分けて2行分にし、行数を増やして書いている子供たちがいた。そういう手があったか……。そのクラスのお母さんに聞くと、多めに書きたい人はそっちの用紙をもらったのよ、と言っていた。

もっとも、大きめでバランス悪い字を書く息子のこと、そんなせまい幅に収まるような字を、読めるような案配で書けるとは思えなかった。まあこれで良かったのだろう。

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)

ツバメ観察記 (たくさんのふしぎ傑作集)