実は、この本の作者に会ったことがある。中川雄三氏は、このイベントでの「生物観察の先生」だったのだ。その時は知らなかったのだが、後から先生の名前を調べて驚いた。「たくさんのふしぎ」で2冊も担当されているではないか。そしてそのどちらも読んだことがある!1つは『ヤマネはねぼすけ?』(写真)、そしてもう1冊がこの『水中さつえい大作戦』だ。とくにこの『水中さつえい大作戦』は、取り分け面白かったので、よく覚えていた。
「たくさんのふしぎ」の著者に会えるなんて思いもしなかったので、本当に嬉しかった。印象に残っていた本なのでなおさらだ。
カモたちのゆかいな逆立ちのすがたを見るたびに、かれらの水中の行動を見てみたい!それを写真にうつしてみたい!ぼくはそう思うようになりました。
そういうわけで、先生(作者)は、作戦を開始する。
- カモぼうし作戦
- カモロボット作戦
- べんとうばこ作戦
試行錯誤しながら、上の3つの作戦を繰り出していく先生。それぞれの作戦の計画図や、決行の様子の写真も盛り込まれており、本当に面白い。
正直「カモたちの水中行動」の写真自体は、それほどきれいなものではない。水の濁りがあるので、どうしてもクリアな画像にはならないのだ。
しかしながら、そんなことはどうでもいい。やりたいことを計画し、実際にやってみて、うまくいかなければ原因を考えて、また計画する。粘り強く3年間、工夫と失敗を繰り返しながら、ついに成功するまでの過程こそ、大事なことだからだ。しかもその過程の中で、いろいろな角度から写真を撮ることを試してみたり、変な写真が撮れるとそれを面白がってみたりと、作戦を楽しむことも忘れていないのだ。
何かに夢中になって心から楽しんでいる大人の姿を見せる、自分もこんな大人になりたいと思わせる、「たくさんのふしぎ」には子供の”夢のかけら”がいっぱい詰まっていると思う。
公式サイトで、今年度のラインナップを見ると、先生は11月号の『カワウ』を担当される予定になっている。今からとても楽しみだ。