これは植田正治の写真に「かくれんぼ」をテーマにした文章を付けた、写真絵本だ。
『生きる(第342号)』はできている詩に、絵を付けたものだった。
一方、こちらは写真を元に、文章を書いたもの。
詩を元に絵を描くというのは、案外難しい作業だと思う。詩からイメージされる映像は、人それぞれ違うからだ。『生きる』も「(略)2年をかけて完成しました。この間に画家の岡本よしろうさんと担当編集者の間でかわされたラフスケッチは、40冊をこえました」とある。詩をどういう形で絵本にするか、相当な時間をかけて話し合われたことがわかる。
一方、写真からイメージされる言葉は、言葉から映像をイメージするほどの広がりはないように思われる。もちろん、ある写真を見て文章を付けるのも、人それぞれ違うものが出てくるとは思う。しかし、違和感を持ってもこういう言葉もありなんだ、という許容があるような気がするのだ。
これは、私が植田正治の写真に思い入れを持たないからであって、彼の写真を深く愛し理解している人から見れば、この言葉は違うと思われることもあるかもしれない。
私個人は、この『かくれんぼ』の写真と文章は素晴らしくマッチしていると思う。“植田調”といわれる写真そのものも雰囲気があって良いが、文章を付けることで、さらなる奥行きが生まれるような感じがするのだ。
大人である私は植田正治の名前も写真も知っているから、先入観なしには見られないが、全く知らない子供たちは、この絵本をどう感じるのだろう?怖いと思うのだろうか?怖いけどもう1回見てみたいと思うだろうか?