こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた(第389号)

本書のテーマである、バイオロギングのことを初めて知ったのは『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』という本だった。タイトルの物理という言葉に怯みつつも、ジェンツーペンギンが表紙とあれば、読まないという選択肢はない。残念なことにジェンツーペンギンはあまり出てこなかったが(ペンギン好きとしての感想です)、案外面白かったので、その後『バイオロギング-「ペンギン目線」の動物行動学-』も読んだりして、ちょっとペンギンに釣られ過ぎているような気もしないではないが、とにかく今年の「たくさんのふしぎ」のラインナップでバイオロギングが取り上げられているのを見て、発売を楽しみにしていたのである。

ちなみにバイオロギングとは、本書の言葉を借りると、

動物にデータロガーという小型の記録計をとりつけて、私たちが直接観察できない海中の行動を動物たちに直接教えてもらうのだ。動物たちが自分の行動データをとってくるこのやり方には、バイオロギング(バイオ〈生物が〉+ロギング〈記録する〉)という名前がついている。(本文より) 

ということで、1960年代ごろには始まっていた観察手法らしいが、初期の装置が水筒ほどもあったのに対し、技術開発が進んだ結果、今や人差し指ほどの大きさになったということだ。いつだったかに見た、ペンギンに取り付けられた記録装置は、確かに大きくて、チョッキみたいなものを着せられて背負うように付けられており、そんな格好で海中にドボンさせられるのかーと思うと、可笑しみを感じるともに、何ともいえない哀れさを漂わせていて、背中にちょこんと付けられた今の記録装置と比べると、かなりの負担であったであろうことが想像できる。

サボり上手な動物たち』によると、元々バイオロギングと名付けられる前の、こういった調査方法を始めたのはアメリカのクーイマン博士だったそうだが、2003年に第1回シンポジウムが開かれたのは他ならぬ日本。これは、日本のグループが装置の小型化や開発などに次々関わり、この分野を牽引してきたからだという。“バイオロギング”という名称もその時に考案されたということだ。

動物自身が記録を取ってくれるんだから、観察も簡単だろうと思われることだろうが、そこはやはり自然相手のこと、

本書で紹介したわれわれの研究成果は、おせじにも効率よく得られたものとはいいがたい。いつ帰ってくるかわからないどころか、帰ってくるかどうかも定かでないウミガメを延々と砂浜で待ち続けたり、見つかるかどうかわからないイルカを探して二週間の船旅に出かけてみたり、高価なデータロガーや音響機器をいくつも海の藻屑にしながら、アホみたいに膨大なエネルギーと時間を費やして右往左往しながら、ようやく見つけ出してきたものだ。(『サボり上手な動物たち』より)

という艱難辛苦の上に、この『動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた』も出来上がっているのであった。

サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)

サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)