こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

海のかたち ぼくの見たプランクトン(第391号)

プランクトン、と言われてはじめに何を思い浮かべるだろうか?

ミジンコ?アオミドロ

しかし、この本に出てくるプランクトンは、そのような「典型的」なものではなく、サルパゾエア、ヒラメやアンコウの稚魚など、私が“プランクトン”と認識していないものばかり。

プランクトンとはギリシア語で「放浪者」という意味で、水中をただよってくらす生きものたちをまとめた呼びかたです。

目に見えないほど小さいものが多いですが、体の大きさにかかわらず、潮の流れに逆らって泳ぐ力がないものたちです。

魚の子ども(稚魚)や数十センチメートルもあるクラゲにも泳ぐ力はありますが、流れに逆らえず、結果的にただよってくらしているので、プランクトンと呼ばれます。

なんとクラゲもプランクトンだったとは!プランクトンとして見えるものが変わってきそうだ。

写真をとっているあいだ、ぼくはまるで宇宙を旅行して、見たこともない生きものたちに遭遇したような気分でした。 

その通り、本書のプランクトンはどれもこれもみな、個性的な色かたちのものばかり。写真を見てるだけでも楽しい。

 

「作者のことば」で吉野雄輔氏が語るのは『ウミガメは広い海をゆく(第174号)』と同じく、水深30センチメートルの海の中にだって生き物があふれているということ。今回紹介した生き物たちも桟橋の上からだって観察することができる。大きくて深い海もすぐ目の前に見える海とつながっているのだ。

しかし、身近といっても、お台場のあたりの海じゃなかなか観察してみようという気分になれないものだ。子供が夫と釣りに行く三浦はともかく。地方で見た数々の美しい海と比べると、思わずため息が出るというものだ。まあ、お台場の海にだって生き物はたくさんいるだろうが……。でもあれは海じゃないよね?