こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

みらくるミルク (たくさんのふしぎ傑作集)(第131号)

冬休みも終盤戦に入り、宿題の追い込みに余念がない。もっとも追い込むのも、余念がないのもあくまで私の方だけであり、肝心の子供はというと、なんのこっちゃという感じで鳥の本を読み耽っているわけで…。夏休みとまったく代り映えしない光景に加え、またもやドリルの丸付けをしなければならないことに気づいて、比喩ではなく本当に頭が痛くなってくる。

先生!宿題、冬休みにしては多過ぎやしませんかね?帰省やら何やらで時間がつぶれて、かーなーり押せ押せなんですが。だいたい書き初めって、家でやんなきゃいけないものですか?床を汚さないように準備、もとい子供を指導するのは大変なんですが。えーっと家の子、書き初めの準備をする前に、厚紙でスリッパみたいなのを作り始めてますけど…なになに?これを着ければ、靴下が汚れないで済むと。いやいやそんな工作物を作る暇があるなら、とっとと筆持って始めてくれや!

熱心に練習すること1時間あまり。しかし!本番の紙3枚中2枚を失敗。ラスト1枚何とか書き上げたものの、小筆を使った名前書きに失敗。それでも本人は「正月らしく勢いのある良い字が書けた!」と自画自賛するので、もう脱力するしかない。我が子ながら良い性格をしているものだと思う。

書き初めは済んでも、後片付けが残っている。すっかり終わった気でいる本人の尻を引っぱたきながら、筆の手入れ、道具の後始末も「書道」のうちだよと、したり顔で説教をする母親に向かって、学校でやってるのは書道じゃないもん「書写」だもん、と宣うのには撃沈するしかなかった。書き初めという「伝統行事」より、家の汚れの方を気にかける親が「道」なんぞ説けるわけがないのである。

残る宿題は、夏休みにも出ている「おすすめ本の紹介」。子供は、借りてきている本の中からなぜか、この『みらくるミルク』を選んで書き始めた。出来映えはというと、あらすじをちゃちゃっと書いて、面白いから読んで下さいと結んだだけのやっつけ仕事で、どこがどう面白いのかまったく書かれていないのが気になるところだが、取りあえず終わったので良しとするか。

本書は軽やかなタイトルとは裏腹に、人間が利用している搾乳動物の話から始まり、その代表格である牛の話ー牛の胃の話や、絞り方、牛乳の利用方法に至るまでたくさんの情報を詰め込んで書かれている。しかし、

ミルクを作るときにウシのおっぱいを流れる血液は、ミルク1リットルあたり血液400〜500リットルにもなります。ウシはずいぶん一生けんめいになって、ミルクを作っているのですね。

との記述は、人間にもそのまま当てはまること、この母だってかつて、自分の血を元に一生懸命ミルクを作ってお前に与えていたのだということは、おそらく子供の想像の埒外にあることだろう。子供がまるまると肥え太っていくのとは逆に、食べても食べてもやせ細っていく自分の身体は、

ミルクのことを「乳」ともいいますが、「血」と同じ音なのもふしぎな感じがします。

と書かれている通りで、まさに「血(乳)を分ける」という言葉が相応しい。今やすっかり大きくなり、墨汁で汚れた顔でにんまり笑う姿は、乳汁を吸っていた頃のあどけない笑顔と同じだとは、とても思えないのであった。みらくるミルクだ。

みらくるミルク (たくさんのふしぎ傑作集)

みらくるミルク (たくさんのふしぎ傑作集)