こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

自転車ものがたり (たくさんのふしぎ傑作集)(第160号)

 それからは、どこに行くにも自転車でした。大きな川をこえて、今まで知らなかったところへも行ってみました。だんだん自転車とぼくのからだがひとつのものになっていって、ぼくは自転車乗りの名手になったようなきもちがしました。(本文より)

自転車乗りの名手、とまでは感じていないだろうが、家の子供と自転車も今まさに蜜月期。自分だけの力で、うるさい親に気兼ねすることなく出かけられる自転車は、最強のパートナーだ。

東北地方に来てからも、東京から連れてきたちょっと小さくなりかけている相棒に乗って、今日はこの道をずっと行ってみる!と町探検に出かけている。一度など、着いたと電話をかけてきたところは、家から40キロばかり離れた町だったことがある。

 夏休みに、お父さんと北海道351キロメートルを走った小学校5年生の女の子や、日本一周の自転車旅行をした、小学校5年生と3年生の兄弟もいます。(本文より)

には負けるものの、なかなか頑張っていると思う。とはいえ交通事故だけは心配だ。危険予測などおぼつかない年齢でもあり、そろそろ危険な行動を制御できない時期(ティーンエイジャー)にも入ってくる。口を酸っぱくして言い聞かせてはいるものの、親の心配などどこ吹く風だ。

本書はおもに、自転車の歴史を紹介した絵本だ。自転車が発明されたのは自動車の後、なんと蒸気自動車が走り始めてから50年近く経ってからのことなのだという。確かに自転車のように車輪を縦にならべた形だと、バランスをとるのが難しく、そのままでは乗り物として使いものにならない。自転車の元祖を作ったのはカール・フォン・ドライスというドイツの男で、ドライジーネと名付けられたその乗り物は、今でいうキックバイクのようなものだった。

この号は1998年に発行されているが、2016年に傑作集として出すにあたって一部変更された箇所があるらしい。比べてみると、フリーホイールの説明が少し詳しくなっていたり、「チェーンと歯車を組み合わせると小さい車輪でも速く走れることがわかる」という実験について記述が変わっていたり、オーディナリー型自転車の来日時期について訂正があったり。大きくは変わっていないものの、少しだけ手直しされていることがわかる。ちなみに、明治時代にやってきたこのオーディナリー型自転車、実際に乗れる場所がある。乗るといってもサドルに跨るだけだけれど。乗れたとしても、普通の人はとてもこぎ出せるような代物ではないからだ。展示が変わっていなければ、今も江戸東京博物館で試乗できるはずだ。

「作者のことば」では、裏表紙の絵について、

うら表紙の絵はサーフボードと自転車をくみあわせるというアイデアからうまれた新しい水上自転車です。いろいろなアイデアの自転車をきみも考えてみませんか。

と書かれている。

https://www.youtube.com/watch?v=VABp84h15Jg

見ると、実に楽しそうだ。

自転車ものがたり (たくさんのふしぎ傑作集)

自転車ものがたり (たくさんのふしぎ傑作集)

  • 作者:高頭 祥八
  • 発売日: 2016/04/01
  • メディア: 単行本

子供の、「東京から連れてきた*1ちょっと小さくなりかけている相棒」は、少しして買い換えることとなった。試乗するために、いい感じの自転車をいくつか出してもらうことにしたのだが、「こちらの自転車はなんとか乗れるでしょうが、あちらはお子さんの身長ではおすすめできません」と言う店員さん。いずれすぐ大きくなりますよね?と言うと「今お乗りになるなら、いまの丈に合うものしかお売りできないんですよ」ときっぱり。

1台に子供を乗せつつ、中学になっても使うことを考えて「中学はチャリ通じゃないみたいですが、部活などで学校に乗って行ったりもするんですよね?私たち最近引越してきたばかりで、その辺の事情はわからないんですが」と聞いてみた。すると店員さんは真顔になって「中学に乗っていくとしたら、これはマズいですよ」「この辺りはまだまだ保守的なので、こういうスポーツタイプは目ぇ付けられます。“先輩”に。私は○○中(子供の進学予定校)出身ですが、派手なの乗ってる子のタイヤに釘刺さってたことありますからね」そして、中学でも使うんだったらこちらがおすすめです、と何の変哲もないシティサイクルを指さした。「見た目は地味ですが、頑丈で壊れにくくパンクしにくい。友達同士で出かけるのも、この辺は自転車で遠出することが多いです。中学生に必要なのはこういう自転車です」

夫がこれでも遠乗りできるのかと尋ねると、「10〜20キロくらいなら十分ですよ、友達とのお出かけもそれくらいですからね」そこで、子供があの小っさい自転車で●●まで往復80キロ走ってきたことを話すと、店員さんは絶句して少し考えた後、そんなに走れるならこちらが良いかもしれませんと、見た目は変わらない別の自転車を薦めてきた。「これならロングライドでも大丈夫ですよ!いやーそれにしてもすごいね、君は」「高校生なったら何乗っててもなんも言われないから、ロードバイク買いにきてね。この辺でも大会とかあるから」店員さんの声を後に、子供はチューニングの済んだ新車にまたがってさっそうと飛び出して行った。

 

店で自転車を選ぶあいだ、子供は不機嫌そうにしていて、そんなにこの小っちゃい自転車がお気に入りなんだろうか、よほど気に入らないものばかりなんだろうかと思っていたが、そうではなかった。子供はおそらく、選び方がわからなかったのだ。前の自転車にしろランドセルにしろ、迷うことなくこれがいいと即決してきた子供も、直観で気に入ったものを選ぶだけの年ではなくなってきたのかもしれない。今回の買い物で、悩んだ時迷った時は「店員さんに聞いてみる」という方法があることを、教えることができたと思う。整備の最中、子供が以前の愛車についていたコンパスを付けたいと言い出したのを、方角がわかると迷いにくいもんねと快く付け替えてくれたりで、前の自転車の思い出も引き継ぐことができてとても満足していた。

今週のお題「好きなお店」

*1:搬出時、引越屋さんが3人分の自転車を積み忘れるという痛恨のミス。自転車は忘れものトップ3に入るらしい。引越の見積時、IKEAの家具はありますか?としっかり聞かれたのが面白かった。