カーニバルがやってきた!
カラフルでパワフルな一冊。
人、人、人……色、色、色!
どのページも人と色で埋め尽くされている。
どのページからも歓声、歌声、音楽……さまざまな音がごっちゃになって漏れ出してくる。聞こえないのに、本当に聞こえてくる。
お祭りは非日常だ。
月刊誌の背表紙は赤く染め上げられ、「月刊 たくさんのふしぎ」の文字は白抜きであしらわれる。カーニバル、まさに“お祭り”にふさわしい仕様だ。
非日常は、日常(デフォルト)の装丁とは違うのだ。
作者は「日本で唯一、世界中でも二人しかいないカーニバル評論家」。
カラフルなページに負けじと、熱い言葉を繰り出してくる。
年に一度だけ、貧しい人たちが、リオの街の主役になれる夢のステージ。
奴隷たちは手には何ももたずに新しい世界にたどりついたが、心のなかにはアフリカの神さまを、身体の奥にはふるさとの音楽を隠しもってきた。
インドの聖人ガンジーが唱えた平和への思いが、遠いブラジルのカーニバルのなかに流れている。
ふだんはものしずかな人たちが、カーニバルのときだけは別人のように大騒ぎするのも、やっぱりお祭りがもっている魔法の力だろう。
お祭りはふだんとはちがう世界が現れ、いつもとはちがう人たちが主役になる。
カーニバルは、日常の「秩序」を、この時だけはひっくり返し打ち壊す一種の戦場なのだ。普段は押さえつけられているもの、なかに隠されている密やかな感情を、開放し爆発させるステージなのだ。カーニバルという“平和な戦場”の混沌で生まれるのは、分断ではなく連帯だ。肌の色もルーツも思想もそれぞれの人たちが、みな一体となってカーニバルという場を作り上げる。
ビバ カーニバル!
けんかも戦争もやめて、
みんなカーニバルに集まろう。
ラストの軽やかな声かけが、今は身にしみてくる。
でも、ひとつのことを続けていると、世界は違って見えてきます。世界がどんどんふくらんでいきます。世界がどれだけ同じで、どれだけ違うのか、実際に自分の目で確かめてみませんか。世界のどこかのカーニバルで会える日を楽しみにしていますね!(本号「作者のことば」より)