おいしさつながる 昆布の本(第474号)
この本は、
松田 真枝 文 / キッチン ミノル 写真 / 得地 直美 絵
という3人の力が合わさって出来上がっている。昆布のような絵本だ。
昆布が主人公なので昆布(文章)がなけりゃ始まらないけど、写真と絵が、昆布(文章)のおいしさを存分に引き立たせているのだ。昆布は「ほかの素材のうま味を持ち上げる縁の下の力持ち」。昆布(文章)があるからこそ絵も写真も引き立ってくる。1ページ1ページ、昆布を使ったおいしい料理を食べてるみたいだ。
表紙めくって真っ先に飛び込んでくるのが、昆布を抱えた漁師さんの姿。ど〜だ!とばかりのいい笑顔。こんな絵見せられたらワクワクしてくるじゃん。
次のページもそう。ど〜んと広がる写真は、うどんに目がいっちゃう感じがするけど、ちゃんとつゆの方に意識がいく。うどんをすするんじゃなく、おつゆを飲みたくなってくるのだ。ちょこっと添えられた絵もかわいい。あるのとないのとではぜんぜん違う。文章にもひと工夫。キーとなる言葉にはマーカーが引かれているのだ。これも昆布みたい。目立つでもなく、さりげなく付けられている。気づかない人もいそうだが、ちょっとしたアクセントになっている。
見出しも昆布。昆布っぽい形に切り抜いた黒地に白抜きで文字が乗っている。見出しの字数や向きがそれぞれ違うので、昆布の黒地もそれぞれ形が違う。自由研究っぽい雰囲気で夏休みの号ならではだ。
30〜35ページはイラストをメインに描かれる。どこか西村繁男を思わせるテイストだ。誰か一人にスポットライトが当たるのではなく、そこにいるそれぞれの人の動きが自然と目に入ってくる。ちょこっと添えられたタラとニシンの絵がかわいらしい。
なんや写真とか絵とかデザインの話ばかりか。肝心の内容には触れんのか。と思わないでほしい。なんの事前情報なく一から読んでほしいからだ。松田さんの昆布の旅をそのまま味わってほしい。読み終わったら昆布、しかも羅臼昆布を買いに走りたくなるはずだ。そしてあれもこれも作ってみたくなる。でもでも羅臼昆布お高くないんですか!?そもそもその辺のスーパーに売ってるかな?昆布じめ作りたいけど、こんな贅沢に使えないかも……。残った昆布どうするんだろう?佃煮?ついつい主婦目線で考えてしまうのが悲しいところだ。
でも知ったからには羅臼昆布を味わってみたい。手に入れてあれもこれも作ったらまた報告に来るかも?
