こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ズボンとスカート(第47号)

ブログのデザインテーマを一時的にでも変えてみて(『もじのカタチ(第305号)』)思ったのは、「たくさんのふしぎ」のロゴの変わらなさ。

創刊号から一貫して、基本のデザインは変わっていないのだと思う。「こどものとも」や「かがくのとも」は、ときどきデザインの変更があったりするけれど。

およそ30年もの間、デザインが変わらないのはすごいことだ。コレクター気質にとって変化がないというのは大きな利点。創刊号からぴしっと同じデザインが並んだ様はさぞかし圧巻だろう。どなたかの家にあるかもしれない現物を、ぜひ拝見したいものだ。図書館に並ぶ「ふしぎ」を見ると、たまに背表紙タイトルのフォントが違うのもあったりするが、なにか事情でもあったのだろうか?

 

変わらないもの……日本では明治以降、服装文化は大きく様変わりしてしまったが、世界のなかには伝統の衣服を使い続けているところも多い。独自とはいっても、似通った気候や慣習のところは、共通した衣服が見られることもある。交易などで思わぬ地域に思わぬ用途で定着することもある。

たとえばサルワール・カミーズパキスタンアフガニスタン、インドなどで使われているが、サルワール(ズボン)の基本的な形は一緒だ。このサルワール、実は日本にも伝わっている。相撲の呼出が着用している裁付袴だ。

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裁付袴のルーツとなったのが軽衫かるさん。本書によると16世紀に来日したスペイン人・ポルトガル人によってもたらされたという。スペインやボルトガルのサルワールも、もともとはイスラーム時代ムスリムが着ていたのが伝わったものだ。

以前パキスタンに行った時、当時交際中だった夫へのおみやげに、サルワール・カミーズの「カミーズ(シャツ)」だけ買ってきたことがある。裾がちょっと長め、薄手の化繊製シャツだ。今でもパジャマとして愛用されている。にしても行ったのはかれこれ20年近く前、破れもせずよく保っているものだ。なんでサルワールは買ってこなかったかというと、使いづらいかなあと思ったからだ。日本の夏には案外合うのかもしれないが、裾がゆったりしただぶだぶのズボンは着慣れないとなかなか難しい。

気になるのがトイレ事情。あんなゆるいズボンをどうやって下ろして用を足すのだろう。イスラム式トイレは「和式」も多いが、用足しの後は水で洗い流すから、床が濡れているところもある。水で濡れたお尻はどうするのかとか、裾は汚れないのだろうかとか、いつも不思議に思ってしまう。