こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

社会

コククジラの旅 (たくさんのふしぎ傑作集) (第40号)

ぼくは子どものころから、クジラという動物にあこがれていました。ぼくたち人間とおなじ哺乳類でありながら、一生を海のまっただなかですごすなぞ(・・)にみちたくらしと、それに何よりその大きさにひかれていました。 いつか、ほんとうに大海をおよぐクジ…

ひと粒のチョコレートに(第433号)

菓子づくりはむずかしい。分量をきちっと計り、レシピどおり手順を踏んでるつもりが、うまくできない。 とくに厄介なのがチョコレートの扱いだ。テンパリングなんて繊細すぎる作業に懲りて、チョコレート菓子を作るのは早々にあきらめた。プロのもの買ったほ…

御殿場線ものがたり (たくさんのふしぎ傑作集) (第12号)

東京駅から新幹線の「ひかり号」に乗って、25分くらいたったら、車窓のながめにちゅういしてください。相模平野をすぎて、みじかいトンネルがつぎつぎにつづく丘のなかを走っているはずです。 と、とつぜん、あたりがあかるくひらけ、左に相模湾、右前方に箱…

ナイル川とエジプト (たくさんのふしぎ傑作集)(第35号)

“エジプトはナイルのたまもの” 世界史を勉強すれば当たり前のように聞く言葉だ。エジプト文明が栄えたのはナイル川のおかげ、みたいな意味でとらえていたように思う。ヘロドトスの『歴史』からひっぱってこられたものだけど、実はそういう意図で書かれたので…

知床 わたしの動物カレンダー(第262号)

今朝は気温が氷点下23度、この冬いちばんの寒さです。寒さで顔がヒリヒリします。でも天気は快晴、じっとしているのがもったいないので、板の裏に滑りどめのついたスキーをはいて、森の散歩に出かけることにしました。私はこの季節こそ、森歩きがもっとも楽…

みんな知ってる? 会社のしごと(第431号)

出る前から思っていたのは、「たくさんのふしぎ」らしくない号だなあということ。 会社や仕事についての児童向け書籍など、世にうなるほどあるからだ。 極め付けは内容紹介の文。 子どものみなさん、よく聞いてください。あなたが学校にいる間、「会社で働く…

コーヒーを飲んで学校を建てよう キリマンジャロとルカニ村(第339号)

私は「たくさんのふしぎ」を読むときに、奥付に書かれた英題も見ることにしている。見るのは読んだ後。読む前に見てしまうと“ネタバレ”することがあるからだ。日本語タイトルではどんな内容かわからなくても、英題はそのものズバリを表していることがある。 …

旅をするチョウ(第211号)

わたしが、はじめてアサギマダラを知ったのは、1996年11月9日の新聞の夕刊でした。 その年の秋、アサギマダラというチョウが、宮城県の蔵王山から愛知県の知多半島まで飛んできたことや、知多半島から鹿児島県の喜界島へ飛んでいったことが確かめられたとい…

おんまつり(第429号)

「おんまつり」とは、春日若宮おん祭のこと。 世界遺産 春日大社/春日若宮おん祭 12月15日に最初の神事がおこなわれるから、もうすぐだ。 若宮、なので、春日大社御祭神そのもののおまつりではない。神様のお子様である若宮さまをおまつりしたものなのだ。…

地下にさくなぞの花(第186号)

『地下にさくなぞの花』は、なんの予備知識もなければ、知らないまま読んだ方が断然面白い。私自身一人の子供にかえって、ワクワクしながら読み進めたからだ。「地下にさく花」というワード、表紙の写真にピンと来なかった人は、ぜひともこのエントリーを見…

ノイバラと虫たち (たくさんのふしぎ傑作集)(第123号)

『ぼくが見たハチ(第161号)』と同じ、藤丸篤夫氏による「ふしぎ」。 舞台となるのはたったひと株のノイバラ。5月、たくさんの花を咲かせる時期に、小さないのちのドラマがいくつも繰り広げられる。 “いのちのドラマ”なんて書くと、ウェットな感じがしてし…

キタキツネのおとうさん (たくさんのふしぎ傑作集)(第289号)

『キタキツネのおかあさん (たくさんのふしぎ傑作集) (第304号)』 より一足先、およそ1年前に書かれたのがこの『キタキツネのおとうさん』だ。 『おかあさん』では、 雌ギツネがこんなにいそがしくしているのに、雄ギツネは楽でのんきな毎日をおくってい…

種採り物語(第233号)

『種採り物語』の種は、野菜の種だ。ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ネギ。菜っ葉にトマト、キュウリ、カボチャ、ジャガイモ。みんなスーパーでフツーに見かける野菜だけど、種など見たことがない。カボチャはあるか。トマト、キュウリの種は口に入るだけだ。 …

大きな 巨きな木(第270号)

地球に生きているすべてのなかで、もっとも大きな生き物が、じつは木などだということを、みなさん、知っていましたか?ゾウだって、クジラだって、木の大きさにはかないません。 「たくさんのふしぎ」は、判型が決まっているし、ページ数もほぼ決まっている…

球根の旅(第171号)

今年も春、お花に関するイベントは軒並み中止になったところが多かったのではないだろうか。佐倉ふるさと広場(千葉県)では「チューリップフェスタ」が中止されたものの、見物に来る人が後を絶たなかったため、やむなくすべての花を刈り取ることになってし…

かべかべ、へい!(第114号)

かべかべ、へい! 軽やかなタイトルだ。しかし、その軽さに対して内容は盛りだくさんだ。 冒頭は倭名抄(平安時代に作られた百科事典のような本)による、かべの説明*1から始まる。古今東西さまざまな壁の話、壁の種類、壁画、トリックアートを施された壁*2…

マチュピチュをまもる アンデス文明5000年の知恵(第343号)

昨年のお正月、初詣で高幡不動を訪れたとき、参道沿いにペルー料理のお店を見つけた。 Las Papas【公式】 エスニック好きの我が家が飛びつかないわけがない。ランチに寄ることにした。私はハチノスが大好きなので「カウカウ(Cau Cau)」という煮込み料理を…

マダガスカルのバオバブ(第357号)

バオバブは、サン=テクジュペリが書いた童話『星の王子さま』にも登場する、アフリカを代表する木です。種類は約10種で、アフリカ大陸に1種、オーストラリア大陸に1〜2種、マダガスカルには8種ものバオバブがあると言われています。ぼくは全種類のバ…

クジラの家族(第413号)

「子どものころから、クジラという動物にあこがれをいだいてきた」作者。『クジラの家族』は、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、コククジラ、セミクジラ、シャチ、マッコウクジラと6種のクジラのなかまを、躍動感あふれる写真とともにたっぷり紹介した1冊…

走れ、LRT ー路面電車がまちをかえた(第198号)

LRTとはライト・レール・トランジットのことで、 環境用語集:「ライト・レール・トランジット」|EICネット によると、 欧米を中心とする各都市において都市内の道路交通渋滞緩和と環境問題の解消を図るために導入が進められている新しい軌道系交通システム…

9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく(第415号)

マダガスカルのカメレオンたちが、島のさまざまな場所にわかれて生活しているように、マダガスカルに棲むレムールの仲間、シファカも島のさまざまな森に分かれて暮らしている。 レムール?シファカ?マダガスカルの動物に詳しくない人には聞き慣れない言葉だ…

ぼくはカメレオン(第144号)

冒頭に登場するパンサーカメレオンの色味ときたら、まるで『アレクサンダとぜんまいねずみ』に出てくる “まほうのとかげ”そのものではないか。 本号の「主人公」は、このパンサーカメレオンだ。 19ページまでには、目玉の動きに着目した写真、体色が変わる様…

街のネズミ(第424号)

甲本ヒロトはかつて、 ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから と歌ったものだが、どうしてどうして表紙のドブネズミのなんと愛らしいことか。 本号は、東京の繁華街に棲むドブネズミの姿を激写した「写真集」だ。激写というの…

ポリネシア大陸(第422号)

『イースター島 ちいさくて大きな島』の「作者のことば」で、野村哲也氏は次のようなことを語っている。 イースター島にやって来た最初の人々は、ポリネシアから渡ってきましたが、イースター島からさらに東の南米へ向かった人や、または逆に南米からイース…

漁師とヒグマ(第287号)

先日、NHKスペシャル「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」を見た。 NHKオンデマンド | NHKスペシャル 「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」 知床の海でサケやマスをとってきた一人の漁師が、ヒグマとともに生きる様を描いたものだ。そ…

琉球という国があった(第326号)

現在、かつてはお城だったグスクにも按司や王様は住んでいませんが、グスクにある御嶽にはお参りにくる人の姿が絶えません。グスクは過ぎ去った大昔の遺跡なんかではありません。今でも沖縄の人々の生活のなかに心のよりどころとして生きている場所なのです…

一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして(第414号)

今朝、NHKを見ていた子供が、きょうは「なつぞら」やらないんだね、と言い出した。平和記念式典が始まっていた。8時15分、子供と一緒に黙祷を捧げる。 中学高校と多感な時期を広島で過ごした夫は、毎年黙祷を捧げている。私も山口、広島と転勤先で過ごす…

青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし(第408号)

見開きいっぱいに広がるエメラルドグリーンの海。生き生きとカヌーを操る人々。温かみのある手書きの題字。表紙を見るだけでわくわくしてくる本だ。表紙が、この『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』のすべてを表しているといっても過言で…

きみはなにどし?(たくさんのふしぎ傑作集)(第94号)

今年も早一か月が過ぎた。 年末年始ならともかく、こんな中途半端な時に「きみはなにどし?」もクソもないもんだが、そういえば節分というのも年女年男が関係するではないか。しかし、節分もとうに三日過ぎている。時期を逸していることに変わりはない…。 『…

空のみち 飛行機と航空管制官(第331号)

先日、式根島に行った。行きは船で、帰りは新島から飛行機に乗った。 飛行機が到着するのは調布飛行場。この飛行場を舞台とする絵本がある。『ちいさなひこうきのたび』だ。かつての転勤先だった鹿児島にいた頃、よく読んでやっていた。場所こそ違えど「ちい…