『かべかべ、へい!(第114号)』は「壁」だった。
これは「屋根」の絵本。
冒頭「もしも屋根がなかったら」というお題で書かれているが、屋根のないところで暮らすサイーダさんは、雨の時どうしてるんだろう。
興味深いのは、12〜15ページ「東洋と西洋の家のたて方ー〔木と石〕」。
〔東〕では4工程目でもう屋根を作っているが、〔西〕で屋根を葺くのは最後の工程だ。やり方は異なれど、どちらも『地鎮祭』や『定礎』で無事の完成や存続を祈るのはいっしょ。
完成した〔東〕の建物を見た猫が言うことには、
ひるねはどこでするの?
屋根?えんがわ?
こたつはある?
〔西〕の建物を見た猫がどんなことを言っているかは、本書を当たってみてほしい。
『やねはぼくらのひるねするばしょ』とは言うものの、屋根でお昼寝する猫をとんと見かけなくなった。近所を見渡してもお昼寝しやすそうな屋根がない。
16〜17ページ「いろいろな土地に人が住んでいる」。植生分布図と似た世界地図が展開されている。区分は7つ。たとえば日本にあたる部分の凡例は「日本のように雨はてきとうにふって大小の木がはえている」。熱帯雨林にあたる凡例は「あつくてあつくて雨がとても多いジャングル」。区分の線は清々しいくらい真っ直ぐでざっくりしている。なんせ初出の月刊誌発行は1989年。この当時、一からこういう地図を作るのは大変だったのかもしれない。今だったらもう少し細かく作るのだろうが、これくらいざっくりしてた方がかえって見やすい。ひととおり読んだ後、38〜39ページの「今までに出てきた屋根のあるところ」と見比べてみると面白い。
比べるといえば、合わせて読むと楽しいのが『地球生活記―世界ぐるりと家めぐり』。「ふしぎ」でもお馴染みの小松義夫氏の本だ。
たとえば本書6ページ「よこあな」の家だと『地球生活記』では、
など見てみると面白い。
本書28ページ「かわった形の屋根」だと『地球生活記』では、
- 112ページ「とんがり帽子(プーリア地方のトゥルッリ)」
- 212ページ「天然エアコン(ハワ・ダン*2のある家)」
- 28〜31ページ「のっぽの穀物庫(赤土のなかのニオフォイン村の暮らし)」
が参考になる。ちなみに『地球生活記』には載っていないものの、本書28ページの「タナ トラジャの家」は『家をかざる(第409号)』で紹介している。興味のある方はご覧いただければと思う。
お日さまの光りも、風も、雨も、雪も、大切なお友だち。
だけどやっぱり、おちつける屋根のある家がほしい。
世界には、家のない子どもがたくさんいます。
みんながすきなとき、屋根の下にくらせるようになるといいね。
今さらながら、本誌と傑作集では紹介文が違うことに気がついた。他の号もパッと見た感じ、傑作集ではより詳しい説明が付けられている。