こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

理科

アシカとアザラシ(第475号)

最近Xに流れてくるのが、#アザラシ幼稚園。 オランダにある野生アザラシ保護施設、ピーテルブーレンアザラシセンター関連のポストだ。リハビリプールでのんびり過ごすアザラシたちに和みっぱなしになる。 アザラシの愛らしさは動きにある。陸の上じゃずんぐ…

光る石 北海道石 新鉱物Hokkaidoiteはっけん記(第473号)

奇跡的かつ貴重な絵本だ。 なんせこの北海道石の発見は2023年。できたてほやほやホットな段階での出版なのだ!「たくさんのふしぎ」は月刊誌だけど、年単位の時間をかけて作られるものが多い。それを1年やそこらで仕上げている。これも『石は元素の案内人(…

チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(第470号)

母の日を擁する5月にふさわしい一冊。 40ページまるまる、母の美と愛で満ち溢れている。チョッキリたちの美しい姿態と、チョッキリ母ご自慢の揺藍がこれでもかとずらり。子孫を残すための本能とはいえ、その作業の巧緻さに感嘆すること間違いなしだ。小さな…

恐竜の復元(第465号)

骨格標本だけを見て、なんの生きものか当てるのは意外と難しい。 川上先生も言われるとおりだ(『つばさをもった恐竜族 (たくさんのふしぎ傑作集)(第30号)』参照)。まあ鳥かどうかくらいは判別できるかもしれないけど、なんの鳥かまではよほどの専門でな…

いろいろ色のはじまり(第463号)

これは色の化学の本だ。 「たくさんのふしぎ」には、色を題材とするものがいくつかある。 草木染めを扱った『草や木のまじゅつ (たくさんのふしぎ傑作集)(第3号)』。 “素人”の草木染めの実践(実験?)が出てくる『ギョレメ村でじゅうたんを織る (たくさん…

「植物」をやめた植物たち(第462号)

朝ドラ「らんまん」は、植物学者牧野富太郎をモデルにしたドラマだ。 昨日は主人公の万太郎が、山中で会った遍路宿の案内役に導かれ、不思議な植物を見つけるシーンがあった。のちにヤッコソウと名付けられる植物だ。 地面に這いつくばって観察する万太郎。 …

シャボン玉は生きている(第103号)

シャボン玉って意外とじっくり観察する機会がないものだ。 子供の頃は吹くのに夢中だし、大人になってから遊ぶ機会はほとんどない。子供ができたとて、やるのは子供自身。親はただ見守るだけだ。 シャボン玉の道具、いつか遊ぶかな〜と思ってずっと取ってお…

似たもの動物園(第85号)

ミミクリーズの「ザッツミミクリーズショー」が好きだ。 「どっちがどっち?」はいつも面白い。 どっちがどっち?SP | ミミクリーズ | NHK for School コント仕立てながら、似たもの同士の違いがしっかりわかるようになっている。 『似たもの動物園』で中表…

地球は日時計(第8号)

創刊年、1985年度ラインナップの一冊。 いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集) はてなし世界の入口 (たくさんのふしぎ傑作集) 草や木のまじゅつ (たくさんのふしぎ傑作集) 庭にできたウサギの国 (たくさんのふしぎ傑作集) 恐竜はっくつ記 (たく…

過去と未来とわたしたち(第457号)

『宇宙とわたしたち(第385号)』のきょうだい本といえるものかもしれない。 私たちの体を作る物質は、100億年間も宇宙をめぐってきたものです。宇宙の中で、星や星間ガスと形を変えながら、100億年以上の時間をかけて、めぐりめぐって、いま、私たちの体の…

花がえらぶ 虫がえらぶ(第65号)

『花がえらぶ 虫がえらぶ』の英題は、 "THE MARVELOUS PARTNERSHIP BETWEEN INSECTS AND PLANTS" 植物と昆虫の共生関係について描いた絵本だ。『サンゴしょうの海 (たくさんのふしぎ傑作集) (第28号)』が海の生きものの“共生”なら、こちらで取り上げるは陸…

ヘリコプターのしくみ(第454号)

主役はドーンとど真ん中真正面にご登場。 衒いのない表紙、そしてタイトル。紛うことなくヘリコプターが主人公の絵本だ。 表紙の絵、よくよく見ると操縦席に人の影が見えるのだが、あくまで脇役。 ヘリコプター(とそれに類するもの)が登場しないページはほ…

なぜ君たちはグルグル回るのか 海の動物たちの謎(第452号)

今年も彼らがやってきた。 マガンたちだ(『からだの中の時計(第440号)』)! 今年の初飛来確認日は9月17日。去年より1日だけ早い。 10月に入り、続々と到着し始めている。 よくもまあ何千キロも離れた繁殖地から、毎年毎年ジャストなタイミングで渡って…

石は元素の案内人(第449号)

子供は「石に執着する子」。 おまけに、いま学校で学習してるのは、元素など化学分野だ。 この『石は元素の案内人』に飛びつくだろうなと思ってたら、案の定届いてすぐに飛びついた。 学校にも“石友”がいて、石談義や石の交換みたいなのもしてるらしい。先日…

植物でシャボン玉ができた!(第403号)

7月の日曜日、子どもをつれて、近くの公園にでかけました。 本号はこんな軽やかな一文から始まる。しかし実はすごい本なのだ。 お話の枕は、著者が小学1年生のときの思い出。高柳さんは1948年生まれなので、かれこれ60年以上前のことだ。 掃除の時間のこと…

エネルギー(第315号)

体中みなぎる すばらしいエネルギー爆発寸前の強力なエネルギー ー↑ THE HIGH-LOWS ↓「E=MC2 」 シンプルな絵本だ。 1ページにあてられる文章は10行にも満たない。しかもフォントは大きめだ。スズキコージ描くイラストを生かすかのように、最小限にとどめ…

クラゲは花(第319号)

海のなかを優雅にただようクラゲ。 実はすごい生きものだということをご存知だろうか? まずは進化の歴史。 クラゲのなかまが誕生したのはなんと約10億年前!それ以来ほとんど体のつくりを変えることなく、現在までずっと生き続けてきたという。 ああ見えて…

西表島のマングローブ(第268号)

知ってるつもりで、知らない植物がある。 たとえばバオバブ。バオバブのイメージはせいぜい『星の王子さま』止まり。これで知った気(木)になってるなんて本当におこがましい。『マダガスカルのバオバブ(第357号)』を読むまで、こんなに種類があるものだ…

うんこ虫を追え(第447号)

舘野さんが、満を持して「ふしぎ」に登場。 しかもうんこ虫と来たよ。 舘野鴻氏との出会いは『しでむし』が最初だった。シデムシという“日陰者”に、美しくスポットを当てた作品。ひと目でつかまれた。その後も『ぎふちょう』『つちはんみょう』『がろあむし…

木のぼりゴリラ(第355号)

類人猿が苦手だ。 あまりにも人に似すぎているからだ。『ことばをおぼえたチンパンジー (たくさんのふしぎ傑作集)(第9号)』でも書いたとおりだ。 動物園でも類人猿コーナーはそそくさと通り過ぎてしまう。じっと見てはいけないような気持ちになってしまう…

コンクリートってなに?(第442号)

朝、ニュースを見てたら、コンクリートに関するトピックが紹介されていた。 『NHK NEWS おはよう日本』で自己治癒コンクリート『Basilisk』が紹介されました。 | AIZAWA 微生物を利用してひび割れなどを“自己治癒”するという。夢のような技術だ。 自己治癒コ…

空とぶ宝石 トンボ(たくさんのふしぎ傑作集)(第100号)

毎朝、新聞を取りに行くついでに、マンションの非常階段を上がっている。運動不足解消のためだ。 我が家は、この町にしては珍しい高層マンション*1だ。周囲に田園風景が広がるなか、虫の季節は夜、巨大な誘蛾灯状態になる。まんま誘蛾灯でガの種類は本当に多…

海中を飛ぶ鳥 海鳥たちのくらし(第398号)

鳥は、人間と同じあたたかい血をもつ恒温動物です。気温に左右されず体温を37〜39度にたもっているため、寒い場所で生きられるものもいます。体温をたもつために、体の中で脂肪をもやしつづけています。脂肪のもとは食べものなので、鳥は生きるために食べつ…

からだの中の時計(第440号)

今年も彼らがやってきた! 彼らとは渡り鳥。 マガン、シジュウカラガン、オオハクチョウ、コハクチョウ、オオヒシクイなどなど……そして種々のカモたち。 なかでも大好きなのがマガンだ。恐ろしいほどの数で見せつけてくる群れのパワーも、決して警戒心を緩め…

ダーウィンのミミズの研究 (たくさんのふしぎ傑作集)(第135号)

帰宅しておやつを食べる息子といっしょに、録画した「サイエンスZERO」を見ていた。 「“地中の王”驚異の実力 きっとミミズが好きになる」 - サイエンスZERO - NHK 冒頭紹介されたのはこの言葉。 「この取るに足らない生き物よりも 世界にとって重要な役割を …

南米アマゾン 土を食う動物たち(第418号)

アマゾンは謎だ。 今や世界最大級となったオンラインストアが、その名を冠したのもわかる気がする。アマゾンは世界最大規模を誇る河川であり、謎に満ちたわくわくするような場所なのだ。この本だってアマゾンと名はついてるけれど、舞台となるのはほんの端っ…

きみの楽器はどんな音 (たくさんのふしぎ傑作集)(第54号)

音はみえないけれどいつもわたしたちのまわりにあります。これからかんたんな工作で、音をつくり、楽器をつくり、みえない音の世界を探検しましょう。 はじめに糸電話をつくります。 ……かんたん?え? はっきりいって“かんたん”なのは、糸電話といくつかの工…

なぜまるい? (たくさんのふしぎ傑作集)(第49号)

なぜまるい?の“まるい”は、どちらかといえば立体的な“まる”、球体の方のお話だ。 自然は、まるいもの、まるっこいものが好きなようだ。 自然のなかには、なぜまるいものが多い(・・・・・・・・のだろう? 球は、いろいろなものがひとりでになっていく形、…

日本海のはなし(第410号)

『日本海のはなし』。 いつもながら「たくさんのふしぎ」のタイトルはシンプルすぎる。 知らんで書店や図書館にあったとしたら、私は手に取るだろうか。興味を引くタイトルでなかったとしても、各号欠かさず読む(読みたいと思う)のは、ひとえに「たくさん…

ハチという虫(第435号)

今年度のラインナップを見て、もちろん楽しみにしていた。 『ぼくが見たハチ(第161号)』で、寄生バチに興味をもった身としては、楽しみにしないわけがない。 期待に違わず、素晴らしい絵本だった。 どのハチもキラキラ輝いている。 ともすれば暗くなりがち…