こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

かっこいいピンクをさがしに(第468号)

いろいろ色のはじまり(第463号)』が色の化学なら、これは色の「文化」の本だ。しかも、ピンクという一色にしぼった。

いま「一色」といったが、じゃああなたが思い浮かべるピンクはどんな色だろうか?

それを考えると、ピンクは決して一色ではなく、人が思い浮かべる数だけあるといっても良い。

「かっこいいピンクをさがしに」ということで理想の色探しの本と思われそうだが、内容はむしろ「かっこいいピンクの使われ方をさがしに」といった感じだ。一般的なピンクのイメージ、しかも手垢がついたようなイメージをいったんリセットしてみたい、そんな気持ちが伝わってくる。

私はピンクがそれほど好きじゃなく、ピンクの服とか持ち物とかほとんど持ち合わせていない。それでもいちばん好きなピンクがある。爪の色だ。どうしてこんなきれいな色を、女の人はマニキュアとかゴテゴテしたネイルで覆い隠してしまうんだろうと、子供の頃からずっと思ってきた。

と、こんな感じであらためて自分の好きなピンク、自分の中に秘められたピンクを探してみたくなる絵本なのだ。

ずっとピンクを考え続けてると、このブログを書いてる目の前のモニターさえピンク色に染まってくるから不思議だ。悪くない。気分が上がってくる。

手垢のついたイメージだろうが、ピンクというのは基本的にハッピーな色なのだ。ちょうど今日、新聞の中央見開きにジュエリー会社の全面広告が打たれていたが、ブライダルフェアということもあり一面のピンクだった。なんだかんだでやっぱり、ピンクって幸せの色なんだな〜と。

「作者のことば」では、娘さんが6歳にしてピンク好きを卒業してしまった話が出ていた。彼女曰く赤ちゃんの色なんだと。しかし薄紫好きになったというのは「青寄りのピンク」に好みが変化したとも言えないだろうか。好きと思ったり嫌いと思ったりでピンクへの想いはゆらゆら揺れ動くと書いているように「好みのピンク」にも揺らぎがあっておかしくない。ピンクの魅力というのは、これはオレンジ?紫?赤?……それともピンク?と、ともすればどっちつかずに見える揺らぎの中にあるのかもしれない。