こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

すてきなタータンチェック(第402号)

小学生の頃、タータンチェック柄の巻きスカートが大好きだった。巻き終わりが大きめのピンで留めてあるのも、すごく気に入っていた。違う柄のを2着買ってしょっちゅう着ていた覚えがある。クローゼットを見てみれば、今もタータンチェック柄のシャツや上着がある。どれもやっぱりお気に入りだ。

本号の著者もチェック柄、やはりタータンチェックをこよなく愛する女性だ。小さいころ、スカートや靴下、文房具、部屋のカーテンなどなど、身の回りにはチェック柄があふれていたという。

当時人気のアイドルグループがチェックを身につけていたこともあって、チェック柄は、ちょっとした流行にもなっていました。

と書かれているが、これはもちろんチェッカーズのことだろう。もっとも名前が先にありきで、チェックの衣装は後付けだったようだが。

タータンの“本場”はイギリス。しかし彼女を「眠っていたタータン好きのわたしの魂に火がつきました」という状況に陥らせたのは、イギリスではなく、カナダだった。『赤毛のアン』を愛読していた作者は、舞台となったプリンス・エドワード島に留学するという夢を果たす。そこのお土産屋さんで出会った布地が「プリンス・エドワード島・タータン」だった。「このタータンはプリンス・エドワード島州がみとめた"公式"なタータンである」という言葉に疑問をもった作者は、その歴史を調べ始めることになる。

カナダのタータンは、スコットランドからの移民の手によるものであること、私たちが「イギリス」と呼んでいる国は、実は4つの国(イングランドウェールズスコットランド北アイルランド)の集まりであったこと、タータンはそのうちスコットランドに由来するものであること。そして、タータンとは単なる柄ではなく、元は"織りもの"であり、"織ることによって生まれるチェック柄"であるということ。

タータンを巡る旅は、スコットランドエディンバラから始まり、テイラーやタータン工場を回った後、ついに本当の“本場”であるスコットランド北部のハイランド地方に行き着く。ハイランド地方の歴史博物館、タータン博物館を訪れ、タータンが生まれ、その柄が「イギリス」に、そして海外に広がっていくまでの歴史をひもといていくのだ。

本書を読んで、タータンの歴史と背後にある文化、そして定義を知れば、タータンを見る目が変わること請け合いである。私の持っているシャツの柄、近所の学校の制服、デパートのショッピングバッグ…身近なところにはタータンがあふれているけれども、こんな単純なルールで作られていたんだとわかると、自分でもタータンを作ってみたくなる。色が無限にある以上、タータンのパターンも無限だ。無限であるということは逆に、あるパターンを「自分のもの」とする、自らのシンボルとして決めるということにもつながってゆく。先に述べた「プリンス・エドワード島・タータン」のように、州や地域、地方の"公式"なタータンを認めるというのは、歴史的なことばかりでなく、タータンのもつ「自由さ」も関係しているのだと思う。

登録制度など伝統を重んじる一方、無限に自由にパターンを作り出すことができる、タータンは、まさに英題のとおり"Magical Design"なのだ。