こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

熱はつたわる(第164号)

仮説実験授業というものに、興味をもっている。

子供には、できれば科学を好きになってもらいたい。「たくさんのふしぎ」を読み聞かせするのも、そういう理由からだ。

本を読むだけではダメだ。目で見て、耳で聞いて、臭いを嗅いで、口で味わって、手で触れて……要は感覚に訴えかける作業がないと楽しくない。好きにはなれない。

家で実験するのも限界があるし、何より親も面倒なので、科学館でのイベント(安い!)や学習塾の理科実験教室(無料!)にはずいぶんとお世話になっている。

 

仮説実験「授業」というからには、学校でないと、先生でないとできないのかな、とも思われるが、『熱はどこにたくわえられるか』というブックレットを読んで、これなら家でもできるかも?とやってみたくなった。

授業のとっかかりは石蒸し料理。石をがんがんに熱して、水と冷凍枝豆が入った鍋に投入する。そうすると……あら不思議、あっという間に茹で枝豆のできあがり。

次の実験は、100℃で沸騰しているお湯に、100gの銅を入れて100℃に熱したものを、水100gの中にいれたら「温度は何度くらい上がるか」というもの。100gの銅というのは十円玉22枚で代用するのだ。

続いて100gの銅に替え、100gのアルミニウムで実験。100gのアルミというのはお分かりだと思うが、1円玉100枚で代用する。目的は、銅とアルミニウムを比べることによって重さが同じなら、たくわえられる熱量もおなじか?」を調べること。

今度は同じく銅とアルミを使って体積が同じなら、たくわえられる熱量も同じか?」という実験。

これらの実験から「銅とアルミニウムでは、重さや体積を同じにしても、同じ100℃にしたときに含まれる熱量はちがう」という結論が導き出された。

真骨頂はこの後だ。なんと続けて、

<熱というのは、原子や分子がはげしく運動しているためにおきるものだ>ということから、銅とアルミニウムの原子の数を同じくらいにしたら、そこに含まれる熱量も同じになるかもしれない、という仮説を立て「たくわえる熱量は原子の数できまるか」というところまで実験するのだ。

原子の数というところでは「モル個」の単位まで説明する。モル……molって、高校の化学で頭が痛くなった覚えしかないよ!

銅100gに含まれる銅原子の数「約1.6モル個」と、同じ1.6モル個のアルミニウム原子が含まれる42gのアルミを使って、実験スタート。結果は……銅もアルミも同じだけ水の温度が上がりました〜パチパチパチと、めでたしめでたしで終わる。

と思いきや、本当に「原子の数」で決まるか?というダメ押し実験が続く。今度は鉛と比べる実験だ。鉛はこれまた釣具屋で買ってきたおもり、という実用品。

最後はしゃぶしゃぶ用のおもちで「もちしゃぶパーティ」という石蒸し料理をもって実験は本当に終了。

子どもたちの感想の、なんと楽しそうなこと。

子供にとって勉強は、楽しいことばかりではないのだろうが、楽しいと感じることが多いといいなとは思う。

熱はどこにたくわえられるか (やまねこブックレット教育)

熱はどこにたくわえられるか (やまねこブックレット教育)

つらつら書いてきて、家でもできそうとは思ったけれど、石蒸し料理だけで終わってしまいそうだ。それでもいいのかもしれないが。

さて、子供はこのブックレットではなく、

を熱心に読んでいたが、電子レンジのページではたと止まり、質問を発した。

「電子レンジの光って見ちゃいけないの?ほら……太陽と同じで目に悪いの?」

えーと、息子よ、それはただの電球の光だよ。庫内を照らす灯りだよ。安心して見ているがいいよ。

目には見えないもの(マイクロ波)というのは、なかなか説明が難しいものだ。