こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

風はどこからくるのだろう(第61号)

人生において、もっとも風のことを考えたのは、鹿児島在住時代だったと思う。降灰という、生活に影響する桜島上空の風向きは、いちばんの関心事だった。風向きは季節によって変化する、ということを否応無しに実感させられたのも桜島のおかげだ。

風は目には見えないものだけれど、風のことを教えてくれるものは身の回りにある。たとえば雲。雲の形によって上空にどんな風が吹いているのか、推測することができる。この本によると、樹木の形がどういう偏りをもつか(偏形樹)によっても、その一帯に吹き付ける風の向きや強さまで推定することができるらしい。自然に生える木だけでなく、各地に植えられている防風林や防砂林もその地域の風のことを教えてくれる。

 

しかし、ひとの人生にまで大きく影響を与えることになった「風向き」といえば、福島県周辺で、2011年3月11日とその後数週間のうちに吹いた風だろう。風だけでなく、地形や降雨の影響もあったとはいえ、避難指示区域の区分色分け地図を見ると、その時の気象状況を色濃く反映していることがよくわかる。ここで得られた知見は大きいものだろうが、今後二度と、同じような状況でその知見を生かす日が来ないことを祈るほかない。

皮肉にも、この号の最後にはこんなことが書かれている。

風は、空気をよごすこともなくその力を利用できるので、さいきんは風車が見なおされてきました。太陽エネルギーとともに、風力エネルギーはこれからも注目されてゆくでしょう。

「空気を汚さないためのエネルギー」のはずだった原子力発電が、逆に、空気を土地を水を汚すことになってしまったなんて、1990年当時誰が考えただろうか?そしておよそ20年後、本当の意味で「風力エネルギーが注目されてゆく」ことになるなんて、誰が想像しただろうか?