こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

土の色って、どんな色? (たくさんのふしぎ傑作集)(第252号)

この本の著者、栗田宏一氏の作品を、2回ほど見たことがある。

『土の色って、どんな色?』の著者の作品とは?と思われるかもしれないが、各地で採集した土を使ってこういう作品を作っているのだ。

最初に見たのは、東京都現代美術館を訪れた際、ついでに常設展をのぞいた時だった。本書の表紙も美しい色の土で彩られているが、この《ソイル・ライブラリー JAPAN》も、ガラス瓶に入った土が並べられていて、優しい色合いで作られたグラデーションが何とも言えず美しい作品なのだ。ガラス瓶ひとつひとつには採集地が記載されていて、学術的なコレクションにも見えるところが面白い。子供と、ほらここ前住んでた鹿児島の家の近くの町だよ、とか冬に旅行に行ったところだね、とか郷土めぐりみたいな会話も出たりして、知っている町を見つける楽しみもある。

初めて見た時からそれほど時間も経たないうちに、氏の作品を、今度は東京都美術館で見ることになった。Museum Start あいうえののイベントで、「キュッパのびじゅつかん」を中心にしたプログラムに参加した時、《SOIL LIBRARY/JAPAN》、《SOIL LIBRARY/TOKAI》が展示されていたのであった。

 

本書は、各地の土と、作者がそれを採集する様子で構成されている。きれいに整えられた”作品”としての土しか見たことがなかったので、採集の様子の写真は興味深いものだった。土の採取は当たり前だが、泥臭く地道な作業なのだ。どの写真にも、作者の表情はなく、後ろ姿または下を向いて一心に土を集めている様子が写されている。

どこにでもあるような普通の土が、あんなに美しい作品に生まれ変わるなんて本当に不思議だ。もちろん普通と言っても、作者の目を通して選ばれた土なのだから、普通ではなく磨けば光る宝石と同じような”原石”なのかもしれないが…。

特に印象に残ったのは、北海道当別町の土。

雪解け水につかって、灰色だった土。

乾かしたら、まっ白に生まれかわった。

身を屈め、水の中に手を差し伸べながら、ていねいに採取する様子に、なぜだかわからないが心を打たれた。

土の色って、どんな色? (たくさんのふしぎ傑作集)

土の色って、どんな色? (たくさんのふしぎ傑作集)