こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

絵とき ゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) (第96号)

電車に乗って、ぼーっと車内広告を眺めていた時のこと。

ゾウの時間 ネズミの時間』というタイトルが目に入ってきた。あ、たくさんのふしぎ?と思ったら。中公新書の新刊『ウニはすごい バッタもすごい』の宣伝に合わせて紹介されていたものだった。

『絵とき ゾウの時間とネズミの時間』はもとは中公新書の本を、子供向け絵本に仕立て直したものだ。作者は本川達雄氏。肩書きに「シンガーソングライター」という言葉があるのを見てちょっと驚いた。

ゾウは寿命が長く、ネズミは寿命が短い。

じゃあネズミはすぐ死んでしまってかわいそうなのか?人間から見ると寿命が長い方がいいようにも思えるが、事はそう単純ではないらしい。

哺乳類の場合、いろんな動物の寿命を心周期で割ってみますと、15億という数字が出ます。つまり、哺乳類の心臓は一生の間に15億回打つという計算になるわけです。

ハツカネズミの寿命は2−3年ですし、インドゾウは70年近くは生きますから、ゾウはネズミよりずっと長生きなのですが、心拍数を時間の単位として考えるなら、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるわけですね。(ゾウの時間・ネズミの時間 本川 達雄 氏

たくさんのふしぎ」では「ヒトの時間」については書かれていない。ヒトはどの辺に位置するのかなと私が思うくらいだから、子供たちだってきっと疑問を持つはず。ヒトについて盛り込めなかった疑問は、上記のインタビューを見て氷解した。15億回という心拍数からすると、推定される人間の寿命は26.3年だというのだ。実際の寿命とはえらい違いだ。私たちは少々長く生きすぎなのかもしれない。