仙厓義梵を知っているだろうか?
江戸絵画を特集した何処だったかの展覧会で、一目見て気に入ってしまったのだった。以来わが家では、仙厓の画らしきものをどこかで見るたびに、あれギボンだよねー?とか、やっぱりギボンだったよ、とかいう会話が繰り返されることとなった。
ゆるカワとかゆるふわとか評される仙厓の作品だが、“カワ”とか“ふわ”とか女子的な言葉より、“しょーもな!”って感じの方が合うような気がする。昨年開催された展覧会にも行ったのだが、通常の展覧会なら見終わった後ぐったりするものが、これに限っては全く疲れなかったのが印象的だった。
うぉ、これは行きたいっ!ユルふわ禅画・仙厓義梵のあの名品たちが集結「大仙厓展」開催 | 東京都 - アート 日本画・浮世絵 - Japaaan
そんなギボンの問題作?に「◯△□」*1
というものがある。その英題を見た時、ものすごい衝撃が走ったのを覚えている。
"The Universe"
なのだ。宇宙だよ、宇宙。宇宙宇宙宇宙なんだ!
奇しくもこの歌には、“みっつのほしがあったとさ うちゅうのはてのまだむこう”という詞が出てくるが、作詞家はこの作品を知っていて書いたのだろうかと思う。もっとも◯△□は「禅を形で表現する」ものとされているので、仙厓の専売特許ではないらしいし、この場合「宇宙」というよりはむしろ、万物や森羅万象とする方がしっくりくるかもしれない。
『宇宙とわたしたち』では、わたしたちと宇宙とのつながりについて書かれている。ここでいう“わたしたち”とは人間だけではない。
動物も、鳥も、魚も、昆虫も、木も、森も、地面も、山も、海も、
みんな星の中で作られたということなのだ。もちろん、人間の体を作っている物質も、星の中で作られた。だから、わたしたちは星の子どもなのです、と作者は言う。夜空の星も、わたしたちと同じように星間ガスから生まれてきたものだから、きょうだいみたいなもの、だと言うのだ。“人類は皆兄弟”どころの話ではない。
時間学という学問を作ることを目指している作者は、「作者のことば」で、さらに時間とのつながりにも言及する。私たちの体を作る物質は、100億年以上もの時間をかけて、宇宙をめぐってきたもの。つまり私たちの体の中には100億年の宇宙の歴史が詰まっているということなのだ。
宇宙という言葉は、もとは「宇」は空間の広がり、「宙」は時間の広がりを表したものだという。よく“宇宙から見れば、人間はちっぽけな存在だ”と言われることがあるが、このちっぽけな私たちの中に広大な「宇」と「宙」が広がっているのだと思うと、なんだかわくわくするような気分になってくる。

- 作者: 藤沢健太,なかのひろたか
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2017/03/03
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