こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

方言どこどこ?(第133号)

夫と二人暮らしだった頃、子供に勉強を教える仕事をしていたことがあった。

結婚した直後、夫に転勤の辞令が出たので、私は勤めていた会社を辞め、生まれ育った関東地方から、まったく土地勘のない西日本方面へ引越すことになった。運転免許がなかったのでまず取得して、住んでいる町のいろいろを覚えて……ようやく落ち着いた頃、仕事を始めることにしたのだ。

この記事では「家を買ったから」というパターン(夫の会社の定番でもある)だったが、「結婚したから転勤」というパターンも存在する。もちろん独身でも転勤はあり、地元女性と結婚にいたることも。さびしいから結婚したくなるらしい。ただ、生まれ育った土地を離れたくない(転勤族とは結婚したくない)という女性もいるので難しいところではある。

とある県職員の知人などは、基本、県内異動(離島なし)なのだが、お付き合いしている女性にプロポーズしたら、その県内の自分の市を離れたくないということで、振られてしまったことがあるらしい。まあ、それは表向きのことで、他に理由があったのかもしれないが……。

夫の会社では、同業他社への転職を盾に、ガンとして地方転勤を拒んだという強者もいるので(彼自身は地方出身なのだが)、転勤を拒否できないわけではないらしい。彼も、地方に行きたくないだけで、転勤自体を嫌がっていたわけではないけれど。

家の夫は、地方勤務大歓迎、都市部で電車通勤とか真っ平ごめんというタイプなので、一応都市部に住む今の状況は不満であるらしい。そうはいっても、子供の学校のことを考えると、遠方への帯同をどうするか、これから悩む時期が来るのだろう。もっとも夫の会社の業界的には、転勤に忠誠心を求めているところは少ないのではないか。どちらかというと、キャリアアップや”法令遵守”的な面が強いはずだ。

 

話が脱線してしまったが、引越し先で、子供に教える仕事、つまり家庭教師をしていたわけだ。初日から遅刻するわけにもいかないので、念のため事前にどの辺にあるのか調べて行くことにした。地理感覚がないことに加え、まったく知らない土地なので、たどり着くのも苦労した。

表札でわかるだろうと行ってみたら、その辺全部同じ名字の家で驚いたり。教えた帰りはもう暗くなっているが、本当に真っ暗闇でこれまた驚いたり。何より驚いたのが言葉の違いである。

定期テストの感想を見たら「英語がわや!」と書かれていて、“わや”って?とか。

「ここ、きちんと計算してね」と注意すれば、「せんないわー」とか。

私は子供に勉強を教えていたが、逆に子供には土地の言葉を教わっていたような気がする。会話する中で、そこの“方言風”には話せるようになったが、“わや”とか“せんない”がにスッと自然に出るまでには至らなかった。

隣県に引越したときも同じ仕事をしたが、「せんない」が「たいぎい」に変わったのが面白かった。どこの子供にとっても、勉強は、せんなかったり、たいぎかったりするものなのだろう。

そういえば、私の父も本来転勤がある仕事のはずだが……どうやって突っぱねてきたのだろうか?母が他の土地への移動に耐えられたとは思えないので、どうにかやり過ごしたのは、子供(私)のためにも正解だったと思うが。父は、忠誠心はともかく、愛社精神だけはあった人だった。