子供の好みはわからない。瓦せんべい系は好きなのに、クッキーは食べなかったり。アイスクリームは食べるのに、生クリームのケーキは嫌いだったり。ケーキは食べないくせに、カステラは大好きなのだ。
カステラといえば、長崎。長崎にはこれまで何回行ったことだろう。高校の修学旅行に始まり、長崎ペンギン水族館にはかれこれ5回、長崎ランタンフェスティバルにも訪れたことがある。銀鍋であら料理を堪能するのは、たまの贅沢、最高の贅沢だった。おみやげは、やはりカステラ。からすみには手が出なくても、カステラを買わずに長崎を出たことはない。
『ぐりとぐら』では「あさからばんまでたべてもまだのこるくらいの大きいかすてら」を作る様子が出てくるが、カステラを焼くのはフライパンだ。長崎でもカステラを作ろうとした当初、オーヴンは存在しなかったので、フライパンのような鍋を直火に置いて焼いていた。
さあ、焼けてきたぞ。でもなかまでなかなか火が通らない。そこで上にも油紙を置いて、熱したこてをあてて、表面を焦がす。いや、それでもまだ半焼けだ。そこで上下をひっくりかえす。これでなんとか、できあがり……。
というように、中まで火を通すのに苦労した様子が描かれている。
これではなかなか焼けないので、お菓子屋さんは考えた。なべに蓋を付けて蓋の上にも炭火を乗せ、上下から焼き上げるという方法を編み出したのだった。この鍋は「カステラなべ」と呼ばれるようになり、この仕組みは「日本人が発明した日本式オーヴン」であると書かれている。
カステラは「家主貞良」「加須底羅」というような漢字表記も作られるくらい、日本人に愛される“和菓子”となった。関東地方で生まれ育った私が、カステラといえば思い出すのが、文明堂のコマーシャル。「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂♪」というCMソングは、一度耳にしたら忘れられない名フレーズだと思う。
一度耳にしたら忘れない、というのは三度くらいしたら聞き飽きると同義。細部には何の注意も払わなくなる。CMに登場する人形劇の、あの動物は何か?ネコですよね?え、実は子グマなんですか!?まあ、もともとネコのつもりで作ったということなので、誤解するのも無理はない。電話は二番というのもさほど疑問に思わず流してきたが、交換手を使って電話をかけていた頃の名残だということも初めて知った。
つらつら書いていたらカステラ食べたくなってきた。明日のおやつはカステラにしよ。

- 作者: 明坂英二,齋藤芽生
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