こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

クリスマス・クリスマス (たくさんのふしぎ傑作集) (第57号)

クリスマスが嫌いだ。

気忙しい年末に、異教のイベントを突っ込まなくてもいいじゃないか。夫との交際中も、クリスマス・イヴを過ごすなんて一度たりともしたことがなかった。頭の中身も若過ぎた当時は、たとえ子供ができたとしても、クリスマスなんてやるもんかと粋がっていた。

しかし!

現実を見れば、ツリーを背景にした、あるいはプレゼントを前にした子供の笑顔が毎年のように記録されているではないか。親はこの喜ぶ顔を見たいがために「いい子にしてないとサンタさん来ないよ」という定番の文句を繰り出しつつ、忙しい合間をぬって準備に勤しむのだ。

クリスマス・クリスマス』によると、この文句「サンタさんは来ないよ」ではなく、来てほしくない存在をもって脅すこともあったようだ。セント・ニコラス(サンタクロース)のお供は赤鼻のトナカイばかりではない。「むちうちおじさん」とやらも連れてくることがあったのだ!この「むちうちおじさん」は懲らしめの袋をかつぎ、片手には木の枝の鞭をもって現れる。いい子にはご褒美を、悪い子は袋に詰められて連れていかれてしまうのだ。なまはげもかくやという感じである。どこの国も似たり寄ったりだなあ。

日本では子供たちが心待ちにする日であり、カップルは絆を深める(かもしれない)平和な日である一方、誕生日を祝われる当の本人の生まれた地は、平穏とはほど遠い状況に置かれている。

何も憂えることなく、クリスマスソングを鼻歌で歌いながら包装紙を破く姿に、幸せそうな子供の顔というのは何ものにも代え難い、親への「クリスマスプレゼント」なのだとしみじみ思う。