今住んでいる市では「水辺の楽校」というイベントを開催している。市内を流れる川で川遊びしたり、自然観察をしたりと身近な自然に親しむ活動だ。子供が1年生のときから参加していて、都合が付く時には必ず申込しているが、抽選に当たらないこともある人気イベントだ。
中でも「石ころウォッチングと野鳥観察」は、楽しみにしていたので、当選した子供は大喜びだった。1年生のときから通算して3回目の参加になるが、漫然と活動しているだけだった1年生、少し知識を得て動けるようになった2年生、そして野鳥の知識をたっぷり蓄えてやる気まんまんの3年生と、毎年参加し続けていると、子供の成長が実感できて面白い。
子供は「石に執着する子」ではないかと書いたことがあるが、興味の度合いとしては野鳥の方がずっと大きい。石ころはそれほど熱心じゃないかもなあと思っていたが、一緒に参加していた夫によると、それなりに積極的に活動していたらしい。去年は見つける石のほとんどをチャートだチャートだうるさかったけど、今年はそんなこともなかったよとのこと。もっとも子供は石そのものより、見つけた石をロックハンマーでかち割る方を楽しんだに違いないが。
『石ころ 地球のかけら』は『しずくのぼうけん』の石バージョンともいえる本で、石が旅をしてさまざまに変わっていく様子も、擬人化された石のキャラクターのテイストも、似通ったところがある。しかし、一滴のしずくと違うところは、生まれも育ちも旅先も違う石たちが、それぞれ外見を異にし色や模様の違いを見せるところ。あたかもひとの人生のようで、もういい年である私は、来歴を想像しそれぞれの石の来し方行末に思いを馳せてしまうのだ。
しかし、そんな感傷などおかまいなしに、時に石ころは人の命を奪う凶器と化すこともある。有珠山の場合のように噴火を予知できることもあるが、多くの場合、たとえ科学的知見があろうとも予見の難しい災害であることは(予知の努力を否定するものではないけれども)、くり返し起こる被害を見ても明らかだ。噴火によるエネルギーは、もの言わぬただの石ころが、まさに「地球のかけら」であることを否が応でも教えてくれるのだ。

- 作者: 桂雄三
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1998/04/01
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