こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第411号)

ミミクリーズの特集が珪藻だった。

「けいそう」 - ミミクリーズ - NHK

そこで思い出したのが、この『珪藻美術館』だ。

美術館と題され、きらきらしい画像の表紙を見ると、このような“珪藻アート”が中心の本だと思われるかもしれない。

しかし、珪藻アートが載るページは全48ページ中、半分足らずのおよそ20ページ。その他のページには、採集の仕方や、珪藻についての解説、材料である珪藻の殻の処理から、材料を並べるときの注意点まで、作品づくりの舞台裏が余すところなく書かれている。

 そのような努力を積みかさねて、ちいさなガラスがならんだ作品をつくりあげます。現在、このような珪藻アート作品をつくっている人は、私をふくめ世界でも数人です。

という「そのような努力」は、本文を読んでぜひ確認してみてほしい。想像以上に過酷な世界が見えてくる。もっとも作者は過酷とは思っていないだろうし、美を追求するためには当然のことなのだろうが……。

そんな努力の上に出来上がった作品の数々は、ため息が出るほど美しい。写真で見てすごいのだから、顕微鏡で鑑賞したらどんなにか素晴らしいことだろうか。

ちなみに、ミミクリーズの「けいそう」タイトルコール部分では、本号5ページの作品をくるくる回転させた映像が使われている。

1ページ目に載る顕微鏡も実に美しい。1895年にドイツの光学機器メーカーで作られたものだという。当時の顕微鏡は、珪藻のプレパラートの見え具合で品質を判定していたらしい。今でもじゅうぶん、細かい構造を見ることができるというのは驚きだ。

この本は珪藻の「美」を見せるものであるけれど、珪藻は身近な場所のここかしこにあること、珪藻を集めるのは泥臭い作業でもあることも見せてくれる。この世のものとは思えぬような「珪藻の宇宙」を見せられた後で、最後は河原の写真で現実に引き戻されるところが面白い。「珪藻の宇宙」は河原につながっていることを、顕微鏡がなくても、子供たちにも見えるのだということを教えてくれるのだ。

表紙の写真は見開きでつながる形になっているが、これは開いて見ない方がきれいだ。おもて表紙から、背表紙、裏表紙と閉じたまま連続して見る方が断然いい。「たくさんのふしぎ」タイトルロゴのグラデーションの色合いも素敵。傑作集は9月に出るようだが、こちらも「ちいさな・ちいさな・ガラスの世界」の題字部分の色が、珪藻写真の色味と調和して良いデザインの表紙になっている。楽しみだ。