こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

オルゴール誕生(第292号)

小さな木の箱のふたを開けると音楽の演奏がはじまるオルゴール。

「オルゴール」というと外国語のように聞こえますが、

ほんとうはオランダ語から生まれた日本語です。

オルゴールって日本語だったのか!その昔、オランダ人が持ってきた手回しオルガンに由来するものだ。音楽を奏でる箱、江戸時代の人はさぞかし驚いたことだろう。

昭和生まれの私にとって、音楽を奏でる箱といえばレコードだった。記憶にある限り、少なくとも10歳まではレコードを聴いていたはずだ。忘れもしない8月の晩、日本航空123便行方不明の報を知ったとき、ベートーヴェンピアノ曲を聴いていたからだ。

オルゴールの祖先は、ヨーロッパの塔時計。塔時計といえば、小学生のころ『時計塔の秘密』が好きだったことを思い出した。『幽霊塔*1の方ももちろん読んでいる。学校の図書室に満ちていた、古びた本のにおいを思い出す。

つい脱線してしまったが、オルゴールには過去を引き寄せるなにかがあるのかもしれない。オルゴールの音色は、美しいけれどどこか物悲しく、二度とかえってこないものを思い出させるからだろう。

塔時計の登場、品質の良い青銅の流通、そしてカリヨンの誕生。その後、家の中に置ける壁掛け式時計が発明され、からくり細工で装飾される。ゼンマイの発明と技術の進歩によって、時計とからくりの仕組みはさらに発展してゆく。こうして1796年「音楽を箱のなかに閉じこめた」のが、スイスのアントワーヌ・ファーブルという男だ。これがオルゴールの誕生と言われている。オルゴールの歴史を振り返れば、時計と密接に関わっていることがよくわかる。

 この後、時計、オルゴール、からくりの3つの技術は、それぞれべつべつに発展していくことになります。

時計との蜜月関係を終え「オルゴール」として歩み始めたあとは、「音楽」の部分が課題となってくる。時計やからくりと別れたことで、オルゴールの役割はもはや音楽一つ。演奏の質や長さを改善する必要が出てきたのだ。改良を重ねた大型のシリンダーオルゴールは、音色も美しく、難しい曲を演奏できるまでに発展していった。

一方で、家庭でも手軽に楽しめるような、小型のオルゴールも作られるようになった。本号の写真に載る、裁縫箱、貯金箱、アルバムなどが組み込まれた品は、いつの時代かのどこの誰かが、プレゼントとして贈ったり、愛用品として使っていたものなのだろう。愛用の日用品がその人の一部と化すように、オルゴールも人に付くような気がする。贈り物なら、愛する人にあてた贈る人の気持ちが込められているし、自ら選んで買ったのなら当然深い愛着が込められるからだ。だからこそ、再現演奏という主要な役割を終えた今でも、贈り物や愛用品として使われ続けているのだろう。

現在は閉館してしまったが、かつて著者は「オルゴールの小さな博物館」というミュージアムを運営していた。実物の美しい作品や音をもう味わえないのは残念なことだが、オルゴールの音色自体は、

オルゴールの小さな博物館 公式ホームページ

で試聴することができる。 

月刊 たくさんのふしぎ 2009年 07月号 [雑誌]

月刊 たくさんのふしぎ 2009年 07月号 [雑誌]

  • 発売日: 2009/06/03
  • メディア: 雑誌

36〜37ページには、江戸時代に作られたからくり人形にも触れられているが、このページでは、科博に収蔵されている「茶運び人形」などを見ることができる。江戸末期の「オルゴール付き枕時計」も掲載されている。

*1:リンクは貼ってみたが、私にとって宮崎駿のイラストは余計なものだ。