こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ヒツジのおくりもの (たくさんのふしぎ傑作集)(第21号)

東北の現住地もだいぶ暖かくなってきたが、今冬はほんっとに寒かった。ずっといる人も、そう言うんだからまちがいない。東京時代はほとんど着なかったセーターが大活躍。なかでもウール。アクリル混紡のもあるが、ウール100%がだんぜんあったかい。これにダウンを羽織ればとりあえずしのげる。

冒頭のページには、

南の国では冬でもセーターのいらないところがある。

北の方にすむ人たちは、10月から4月ごろまでセーターのおせわになる。

なんて文言もあるけれど、たしかに鹿児島時代はセーターなどお蔵入りしてた。転勤族が物入りというのは、カーテンなど大物ファブリックだけでなく、衣服など地味なところにもかかってくる。土地の気候に合ったものに買い替えたり、追加で買い揃えたりで、お金がどんどん飛んでいく。なんとも頭の痛い話だ。

 

各ページのタイトルは下記のように付けられていて、

セーターさん、今年もよろしく

セーターは1本の毛糸から

毛糸はヒツジの毛から 

ヒツジの牧場

ヒツジの小屋

ヒツジの1年

毛刈りはじまり

たくさんの毛をありがとう

ヒツジの毛をあらう・そめる

毛をとかす

毛をつむぐ

毛糸をあむ・おる

ヒツジいろいろ

世界中のヒツジたち

これら引用の一かたまりごとに、タイトルのデコレーションの色が変えられ、トピックの切り替えが一目でわかるようになっている。

手書き文字をふんだんに使ったイラストは、ウールのセーターのようにほんわか素朴な感じ、とても心地いい。

驚きを感じるような内容はほとんどないけれど、

好ききらいはないけれど、どくのある草はぜったいに食べません。

とか、

あんまり寒い日には、おとなのヒツジたちが集まってみんなで赤ちゃんヒツジをあたためることもあります。

とか、

ヒツジは何千年も人間にかわれているうちに、夏になっても毛がぬけかわらなくなってしまいました。フカフカの冬毛のまま夏をすごすヒツジは、だからとてもあつがりや。

とか、

日本では北海道や東北でヒツジをかっていますが、1万5000頭くらいしかいません。それでヒツジの毛を外国からたくさん輸入しています。その量は世界一*1

とか、へえ〜そうなんだーと思うところも多かった。

服にもなり肉にもなることから、品種改良がすすみ、3000種もにのぼるなんていうのも知らなかったこと。

子供は、オーストラリアの人口の少なさと、ヒツジの多さに驚いていた。この号では「やく1500万人」と書かれているが、今は2500万くらいには増えている。にしても日本よりは少ない。あんなに広いのに?と聞くので、住めるところが限られているからだよ、と説明してみた。日本にいると、大陸レベルのスケールってなかなか実感できないだろうなあと思った。

なんかわたしヒツジ大好きなはずなのに、なんで気分が盛り上がらないんだろうとモヤモヤしてたけど、わたしにとっての「ヒツジのおくりもの」は肉であって、毛ではないということに思い当たった。牧場で触れ合おうとして微妙に警戒されるのは、肉として見てしまっているからだろうか?

現在は月刊誌のタイトルも自由にデコレーションされているが、この号はじめ創刊からしばらくは、ゴシック体でシンプルに作られているものが多い。傑作集になるとき、デザインが変わると、雰囲気もガラッと変わることがある。これ↑なんかも「ヒツジ」部分がかわいらしいモコモコになって、内容ぴったりになった。

*1:現在は需要の関係でもう少し減っている可能性がある。